非常に、とても非常にコンパクトな、
手のひら大の宇宙の豆粒のような薄いコスモス色の星に、ぼくは座っていました。
ビカビカと形を変える長い尻尾を引きながら流れ星が僕の前を通っていく。
見えない場所からきて、
見えない場所まで、
その見えない場所が近い場所にあるのか、
とてつもなく遠い場所にあるのか、僕にはわからなかった。
自分の部屋にあるカーテンだって。
それが厚手のカーテンなら、自分からそれを手で分けないと外の世界を見ることも適わない。
そんなように。
僕はこの星に腰掛けていることで、僕を確認し続けているんだ。
きっとそう思っていたんだ。
人が目を閉じてひととき寝る前の、まどろみに見る夢のような、
そんな心地よさを感じていたんだ。
僕は夢の世界も、現実の世界にも、どちらにもいけるんだ。
あるとき他の流れ星と同じように
小さな宇宙船に馬乗りになってやってきた方がいた。
それは振り出しの雨の最初の一滴のように、最初、なんだ気のせいか
と僕に思わせましたが、
やっぱりそれは小さな宇宙船で、彼はその宇宙船に馬乗りになっていたんだ。
「君はそんな所でなにをしているんだい」
僕は答えを持っていなかったので、聞き返した。
「君こそ何をしているんだい」
「僕はこの宇宙の端を探しているんだ。」
僕は厚手のカーテンの端が少しだけ風にゆれて、そして生まれた奇跡の小さな隙間から、
光が僕に語りかけた気がした。
彼はというと、何か僕に聞こうとしたようだったが、口を元の位置に戻して、うつむいて少し考えるようにから、言った。
「君も行くかい?」
僕はその言葉に、なぜだろう、胸が苦しくなった。
「僕はここが好きだから、いいんだ。」
そうなのか、と彼は言った。
だってどう考えても、彼の宇宙船は彼だけを乗せる大きさだったのだ。
「なかなか、この宇宙は面白いんだ。色々な色の、色々な世界がある。
一つも同じ所がないんだよ。」
彼は赤紫キノコの星のこと、青紫キノコの星のこと、
金色石の星に不時着してしまった事、話してくれた。