小説『IS インフィニット・ストラトス 〜銀の姫と白き騎士〜』
作者:黒翼()

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第二十七話『買い物デート』



Side〜ウリア〜

今日は一夏とデートです。
今日来たのは臨海学校のための水着と、新しい下着を買うためです。
流石に下着売り場は一夏はダメなので、途中別れて行動することになります。

「いい天気だなー」

「そうですね」

天気は快晴で、雲はほとんどありませんからね。

「じゃ、行くか」

「はい」

私は一夏の左腕を抱く。
すると集まる視線。
男女問わず視線が刺さり、特に男性の視線は一夏への嫉妬と、私を舐め回すかのような気持ち悪い視線がありました。
……ハサンたちに始末させましょうかね。

「……凄い視線だな」

「そうですね」

止まない視線。
流石の私でも気持ちが悪いです。

(ハサン)

<どの程度で?>

ハサンは私が言いたいことがわかっているようです。

(気持ち悪い視線を向ける人には気を逸らせてください。 それでも止めない人なら、事故を装ってくれても構いません)

たとえば、足元に球体を滑り込ませて転ばせたり、頭上の木の枝を落としたりとか、いたずらでも可ですね。

<御意>

ハサンは『サーヴァント』内から消えて、『妄想現像(ザバーニーヤ)』で分裂しているハサンたちは各々で行動を開始したようです。
おかげで気持ちの悪い視線が消えました。

「ん? 視線が消えた?」

あ、一夏は視線を感じ取れるほどになっていましたか。
一夏、鈍感でしたからね。

「ウリア、何かしたのか?」

そしてどうして私に訊きますかね?
確かに私が指示をしましたけど。

「……ええ、まあ。 指示だけしました」

「へえ、いい気味だな。 ウリアに変な視線があったからな。 どうせなら死ねば良いのに……(ボソッ)」

一夏!?
最後物凄く物騒なこと言いましたよね?
ボソッとですが、聞こえましたよ?
最近、一夏が黒くなっている気がします。

「まあいいや。 じゃ、行こうぜ」

「そ、そうですね」

一夏の『私を見る他人』への対処は過激ですね。
少し驚きましたよ。




 ☆




「水着売り場はここだな」

駅前のショッピングモール『レゾナンス』。
『ここにでなければ市内のどこにも無い』と言われるほどのショッピングモールです。
駅とくっついているので『駅前』というのは変ですが、一夏がそう言っているので私もそれで通します。

「どうする? 男と女の売り場が違うけど、一旦別れるか?」

「そうですね……、別れましょう。 待たせてしまいますが、個人的に買いたい物もあるので、一時間後ここに集まることにしませんか?」

「おう、わかった。 だけど、何かあったら絶対に連絡してくれよ。 すぐに飛んでいくからさ」

「はい、わかりました」

「じゃ、一時間後にまた」

「はい」

一夏は男性水着売り場へと向かっていった。

『リグレッター』

『わかった』

念話でリグレッターに話しかける。
話しかけただけで内容がわかるみたいですね。

『いくら他の英霊が居るからと言って、油断しないでくれよ。 最悪令呪を使って呼んでくれ』

『心配性ですね。 大丈夫ですよ。 でも、もしものときはお願いしますね』

『ああ、任せろ。 俺は俺のところに行ってくる』

『お願いしますね』

悪い女が一夏に文句を付けないか心配なので、移動範囲に制限の無いリグレッターに監視を任せました。
監視と言う言い方は悪いので、ボディガードと言ったところでしょうか。

「あ、私も早く選びましょう。 待たせたくはありませんのでね」

少しは時間をかけたいところですけど、待たせることだけはしたくありませんから。
私は少し歩くペースを上げて、先に下着売り場へ。
サイズが合っていれば、私はそれで構いません。
まあ、頭の中でどんな感じになるかイメージできるので、わざわざ試着する必要はありません。
それに、多少金額がかかっても気にしませんし、構いません。
それよりも少し急ぎましょう。
もう三十分ほどしかありませんから。


Side〜ウリア〜out


Side〜一夏〜

ウリアの個人的な買い物と言うのは知らないが、予測は出来ている。
胸回りがきつくなってきた、とか言ってたから、下着でも買いに行っているんだろう。
流石に俺も女性下着売り場に入るのはきついからな。
ウリアもそれを見越しての行動なんだろう。
まあ、ありがたいと言えばありがたいんだけど、あまり離れたくは無いな。

「っと、俺も自分の水着を買わなきゃな」

ふと思ったんだが、水着と下着買うのに一時間で足りるのか?
女性ってそういうのに時間をかけると思うんだけど。
まあ、ウリアならいくら待たされようと気にしないけどな。

「んー、これにするか」

俺はシンプルなネイビーのトランクスにした。
俺は中学生時代にいろいろバイトしていたからそこそこ軍資金はある。
きつめのバイトも入れていたから、それで体力アップとかも兼用していたしな。
でも、ウリアほどではないけどな。
ウリアは生粋のお嬢様だ。
俺には勿体無いほどのな。
だから、そんなウリアが俺を愛してくれるなら、俺もウリアを愛し続けるし、守り続ける。
今はまだウリアを守れるほど強くないけど、いつかはウリアを守れるほど強くなりたいものだ。
それに、愛する人一人を守れないなんて嫌だからな。

「大分時間に余裕があるな」

ゆっくり選んだつもりだったんだが、まだ四十分近くもあった。
んー、何をするか。
……思いつかんな。
……よし、適当にぶらつくとしよう。

「あれ? 一夏か?」

「ん?」

ちょっとぶらつくと俺の中学時代の男友達、五反田弾にあった。

「お前も買い物か?」

「まあな。 蘭もいたんだけど、今はトイレだ」

「ああ、だからその大荷物なのか」

弾は大荷物だった。
ちなみに、蘭と言うのは弾の妹だ。

「んで、お前は一人なのか?」

「いや、彼女と一緒だぞ。 今は別々に行動しているけどな」

「あの超絶美少女か。 羨ましいねぇ、まったく」

超絶美少女か。
的を射ているな。
というより、ウリアは世界で一番可愛いんじゃないか?

「今暇なんだよな。 待つならいくらでも待つんだけど、三十五分くらいは待つんだよ」

「惚気どーも……。 で、お前らはどうして別れてるんだよ」

「水着買いに来ていてな。 ウリアが個人的な買い物があるからってことで、一時間くらい離れることにしたんだよ。 で、今は二十五分ほど経っているんだよ」

「はー。 どうせならお前の彼女一目見てみたいな」

「じゃあ一緒に待つか? 三十分ちょっと」

「俺としては構わないんだが、蘭がな……」

「あれ? 一夏さん?」

噂をすれば何とやら。
蘭が来た。

「よ、蘭。 一ヶ月ぶりくらいか」

「そ、そうですね。 き、今日は彼女さんと一緒じゃないんですか?」

五月に弾の家に行った時に言ったんだよな。
ウリアの写真も見せたしな。

「一緒だぜ。 まあ、今は別れて行動しているけどな」

「そ、そうなんですか」

「会いたいなら三十分後くらいにあそこに来るといい」

「は、はあ」

何となく、言っておいた。
言っておいた方がいいと思ったから言っておいた。

「で、お前はどうすんだ? 三十分近く暇なんだろう?」

「まあな。 まあ、適当に過ごすさ」

「あ、あの、それなら一緒に動きませんか?」

「お、いいな。 どうせならその彼女の話を聞かせてくれよ」

「いつも惚気惚気言ってる奴がよく言うぜ。 まあ、いいけどよ」

それから俺はウリアとのことを話したんだが、途中二人がブラックコーヒーを飲んだ。
……だったら聞くなよ。


Side〜一夏〜out


Side〜ウリア〜

私は水着を買って戻ると、すでに一夏が居ました。

「お待たせしました。 ところで一夏、その二人は誰ですか?」

赤髪の男性と、同じく赤髪の女の子。
似ているので、兄妹でしょうか。

「こいつらは俺の中学時代の友達の五反田弾と、その妹の蘭だ」

あ、一夏の友達でしたか。

「初めまして。 五反田弾です」

「ご、五反田蘭です」

「弾さんと蘭ちゃんですね。 私はウリアスフィール・フォン・アインツベルンと言います。 一夏の恋人です」

「一夏から話は訊いていましたが、実際に会って見ますと本当にお綺麗ですね」

どのような話を訊いてたのでしょうか?

「おいテメェ。 何人の彼女を口説こうとしてんだよ、馬鹿」

一夏は弾さんの頭を殴る。
仲がいいですね。

「うふふ、私は一夏以外の男性に靡く事はありえませんよ」

「わかってるけど、黙ってられるか」

「……本当にラブラブですね」

「……イチャイチャだな」

「そんなにイチャイチャしていますか?」

「「そこだけ異次元みたいに感じるほどに」」

流石兄妹。
息がぴったりですね。
というより、そこまでイチャイチャしていますかね?

「あの、どうしたらそこまで綺麗になれるんですか?」

年頃の女の子らしい質問ですね。

「私はいつ一夏に見られてもいいように、手を尽くしているだけですよ」

「私にもそんな男性が見つかるでしょうか……」

「いつか貴女にもそういう相手が出来ますよ。 そのための努力は怠らないようにしませんとね」

この娘、きっと一夏が好きだったんでしょう。
そんな気がします。
一夏と付き合っている私が言っても嫌味にしか感じられないでしょうが、蘭ちゃんは可愛いですから、きっといい相手が見つかるはずです。

「は、はい、頑張ります!」

「あ、携帯出してください」

「携帯ですか? わかりました」

「私の連絡先を教えます。 何かあったら連絡してください。 相談に乗りますよ」

私に出来るのは相談に乗ることくらいですからね。

「あ、ありがとうございます」

「あー、もう時間か。 行くぞ、蘭」

「あ、うん」

あ、二人は帰るみたいです。

「また会えたらお話でもしましょう!」

「お兄! 一夏さんの恋人を口説かない!」

「そうだぜ、弾。 これ以上ウリアに迫るなら、弾でも容赦はしねえからな?」

「だそうです。 ですけど、一夏と一緒なら、多少なら構いませんよ?」

「よかったねぇ、お兄。 アインツベルンさんがそう言ってくれなかったら一夏さんにぼこぼこにされてたよ?」

「蘭ちゃん、ウリアで構いませんよ。 仲のいい方はウリアと呼びますので」

「あ、はい。 ありがとうございます」

蘭ちゃん、お礼ばっかりですね。

「じゃ、俺たちは行くから。 またな、弾、蘭」

「またお会いしましょう」

「はい!」

私たちは弾さんと蘭ちゃんと別れて、一夏とのデートを満喫しました。


Side〜ウリア〜out



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