「・・・あれ、どこだここ。」
OK。まずは周りを確認してみようか。
上 天井
下 畳
横 障子の襖
前 お茶を飲んでいる 金髪の知らないネーチャン(もの凄い美人の)←これ重要
まあどこにでもあるような和室だ。前にいるネーチャンを除けば。
「え〜と、あなたは…」
「他人の名前を訊くときは、自分から名乗れって教わらなかった?」
「俺の名前は篠z――――「私の名前は…」――――結局訊かないのかよ。」
「なによ。うるさいわね、まあいいわ。私の名前はヘラ。他に訊きたい事は無い?篠崎零君。」
「なんで俺の名前を知ってんだ?ていうかヘラってまさか…」
「そうよ。あなたの想像通り私は神。全知全能の神と呼ばれるゼウスの妻にあたるわね。」
「で、なんでそんなに偉い神様が俺の前でお茶を飲んでんだ?んでもって何で和室?」
「あなたがここにいるのは死んだあなたを私が連れてきたからよ。和室なのは私の趣味よ。」
ギリシャ神話の神様が和室が好きって・・・ってなんか聞き捨てならない言葉が聞こえたような!?
「え〜と、聞き間違いかもしれないのでもう一度言ってもらっていいですか?」
「しっかり聞いてなさいよ。え〜っと、和室なのは私の趣味よ。」
「・・・・もうちょっと前です。」
「そうよ。あなたの想像通り私は神。かしら?」
「アンタ分かっててやってるだろ?」
「え?何のことかサッパリわかんな〜い。」
ぶん殴っていいよね?思いっきり。こっちは状況も分からず困ってんのにしょーもないことでイライラさせやがって。相手が美人じゃなかったら俺の必殺、七色のスープレックスで犬〇家にしてやるのに。」
「褒めてくれるのは嬉しいけど〇神家は嫌だからこの辺にしとくわ。」
「何で俺の考えていることが分かった!?やっぱり神様は心が読めるのか!?」
「いや、まず声に出てたからね」
「おお!・・・・・まあ冗談はこれ位にして俺が死んだっていうのはどういうことだ?」
「そのままの意味なんだけど。あなたは人間界で死んだ。本来ならあなたの魂は一定の手順を経て輪廻転生の輪に入る筈だったの。だけど私が手をまわしてあなたの魂をここに連れてきたって訳。」
この神様、色々変だな。欧米系の綺麗な顔してるのにここ和室だし、輪廻の考え方は元々仏教が生まれるきっかけになったバラモン教の考え方だし。
「いいのよ、別に。輪廻、という言葉はバラモン教から引用したものだけど
「まず何で俺は死んだの?」
「あれ、覚えてないの?」
ん〜そう言われてみればなんとなく覚えてるかも。確か・・・
◆◇◆◇◆◇◆
確か俺は、道を歩いてて・・・丁度教会の前を歩いてたとこだっけ?
「あ、危ない!!」
「え?」
ヒュゥゥゥゥーーーー!!
「嘘でしょ!?」
俺が上を見上げると教会の屋根に掲げられていた十字架がドンドン近づいてきていた。
ドスン!!
「グボッ!!」
◆◇◆◇◆◇◆
そして見事に串刺し。という訳ですか。
「思い出したみたいね?」
「まあね。でもこれが何でここにいる事と関係あるの?運はかなり悪かったと思うけど。」
「まああ、直接は関係ないんだけど・・・実はね・・・カクカクシカジカという訳なのよ。」
「はあ。」
説明されたことを要約すると。
今から2000年くらい前。このヘラさんが人間界を観察していた。
↓
布教活動していたイエス(後のキリスト)に一目ぼれ。
↓
処刑されると知り、輪廻の輪から外す事(所謂解脱)で神格化し、助けた。
↓
しかし神とはいえ、輪廻を歪めるとその歪めた因果も輪廻を廻り、生まれ変わる筈だった者にその因果が廻ってくる。
↓
その生まれ変わる筈の者が俺だったと。
「・・・・ひどくね!?俺って神様の一目ぼれのせいで死んだの!?っていうかアンタ結婚してんじゃねえのかよ!!不倫だろソレ!!」
「だってしょうがないじゃない。一体何年アレと一緒にいると思ってるのよ。そりゃイイ人がいたらそうなるわよ。」
「なんでこの神様はこんなに俗物的なんだよー!!神様だからそういうのは無いんじゃないの!?」
「あら、おかしい?そもそも神が全てのものを創り出したのよ。太陽、空、大地、そして人間もね。ならそういった感情や考えが神にもある、むしろ神から生まれた、と言っても過言じゃないのよ。」
「う・・・確かに。・・・・ハァ〜〜もうその話はいいや。まさかキリストのせいで死ぬとは・・・ん?待てよ?」
キリストの最期は十字架に掛けられて処刑されたから・・・
「広い意味ではキリストの代わりに処刑されたってことになるわね。用いられた道具と結果は同じだし。」
ここはあのセリフを言っても良いよね?
「不幸だーーー!!!」
「(キランッ♪)」
なんか急に目が輝いたような・・・
「そう。流石に私もかわいそうだと思ったの。だから・・」
だから?
「だから転生させることにしました〜。」
「えっ!?マジで!」
「本気と書いてマジで。」
「いや〜以外に優しいんだなあんた。」
「そりゃそうよ〜なんてったって神様だもん。」
「・・・・本音は?」
「口封じ。」
「・・・・・・」
やっぱり最低だよこの神様!?
「ちなみに拒否ったら・・?」
「輪廻に戻してやる。せいぜいプラナリアにでもなればいいわ。」
「転生します!いや、転生させてください!!」
実験室で遊び半分で切り刻まれるのはイヤだ!!
「それでいいのよ。それで。じゃ〜転生先はさっきセリフ使ってたから‘とある魔術の禁書目録’にしましょう。」
「いや、危険すぎるでしょう!?あんな世界!!」
ひとつ|幸運なのは原作を知ってることかな。
「(少し癪だからスピンオフの‘超電磁砲’の方にしましょう。)」
「なんか言った?」
「いえ何も。それで私は優しいのであの世界に何もせず放り出すつもりはないわ。なので能力を差し上げます。」
「へぇ〜どんな能力くれんの?」
「口頭でも説明は出来ますがそれでは面白くないので向こうで自分で確認しなさい。」
スッゲー良い笑顔でサムズアップして言われた。
「おい、それどういう意味――――「パカッ」――――パカッ?ってオイィィィィ!!!何最後までふざけてんだよぉぉぉ!!!!」
こうして俺は新しい世界への第一歩を踏み出した・・・のか?