小説『とある科学の零回帰』
作者:トムヤム()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>


前書き

サイトが復活してよかったです。
これからガンガン投稿できたら・・・と思うのですが、実は自分、受験生なんですよ。
ですので、中々投稿出来ない可能性が非常に高いです。


なので、投稿された時には『あ、コイツ現実逃避してるな。』と温かい目で見てくれると嬉しいです。

それでは、どうぞ

――――――――――――




「ふむ、あの実験も中々いい結果で終わったね。あれのおかげで(体晶)も完成した事だし。」

「その言葉を聞く限り、あの実験はアンタの指示で行われたんだな?」


「・・・・篠崎 零君だね?何処でそんな事を聞いてきたのかな?」

「そんな事はどうでも良い。質問してんのはこっちだ。で、どうなんだよ?」

「その通り、全て私の決定だ。この実験を考案したのも私。実験を行うよう命じたのも私。ああ、勿論被験者に(置き去り)を使うよう命じたのも私だ。
おかげでこの(体晶)も完成したんだよ?」

「・・・何だそれは?」

「これは体晶(たいしょう)と言って能力を意図的に暴走させるものだよ。あの実験にも試験的に投薬したんだ。そのおかげでやっと完成したよ。」

小さな薬のケースをこちらに見せながら自慢そうに話してくる。中には錠剤のようなものが見える。

「そうか・・・それだけ聞ければ十分だ。」

「そうかい、じゃあさっさと自分の部屋に戻りなさい。君のための実験も用意してあるから。」

「いや、その必要はない。何故ならアンタはここで今死ぬから。」


「何を・・・っ!」


「どうした?苦しそうだぞ?」


「ゲホッ・・・貴様、何をした!?」
“何か”から解放されたように蹲り苦しむ木原(きはら) 幻生(げんせい)

「言っただろ?アンタはここで死ぬんだよ。」


「・・っぁ!」


「あの子達が味わった苦しみを少しでも味わいながら・・・死ね。」

「く、・・・こん・・な事を、しても・・・何も、変・・・わらな・・い、ぞ・・・」



「そんな事分かってるよ。敵討ちなんて高尚な真似をしているつもりはない。





これはただの、ただの復讐だ。」





「なんか終われば呆気なかったな。」

結構覚悟してきたんだがな。特に何も感じね&#12316;や。


え?どうやって殺したかって?

よくいろんなトコで聞くじゃん。一番苦しい死に方は水死だ、とか。流石にこんな所にそんな水なかったから気道の空気のベクトル止めて窒息死させてやったわ。


「こいつは貰ってく。お前はあの世で閻魔様にでも地獄に落としてもらえ。」

この(体晶)はあの子達の物だ。お前が持っていて良いものじゃない。
さて、もうこれでこの研究所にいる理由も無いな。一度、剛の所に戻るか。











「お帰り、零。……それで木原教授は……?」

「思いっきり苦しめてあげたよ。
それで、頼んでおいた戸籍とかは、どうなったの?」

戸籍は俺にはどうすることも出来ないからな。こればっかりは保護者の剛に頼むしかないから。

「……その事なら、完璧だよ!」

剛は少し顔をしかめたが、それを隠すように声を張り上げ、サムズアップしてくる。ホント良い奴。

「なんでそんなに自信あるの?」

「いや〜、実は僕、大学では数学専攻でね、今じゃこんな所で情報管理をやらされているけど。
それが高じて、今でもプログラミングなんかを作るのが趣味だったりするんだけど。」


「へ〜。」

「ちょうどその頃、『絶対暗号コンクール』っていう数学のコンクールがあってさ〜。作ってたら、なんか気合入っちゃって、すごいのが出来たから応募してみたのよ。
そしたら、まさかの優勝しちゃって。それでね―――――」


剛が熱弁して、止まらなくなったから簡単に要約すると、





『オメガシークレット』という乱数で、

『とにかく解けない』ことで有名

これで暗号化されるとプログラマ自身も解くことが出来ない

学園都市が誇る世界最高のスパコン、樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)でも解読に200年かかる

小さなクズファイルも、大きい重要なファイルも等しく解読に200年かかる

しかも1つ1つに異なる乱数処理が施されており、1つ解いたら、また200年かけて解読しなければならない




と、いうことらしい。


「それで、僕は思いついたんだよ!そこの数列に、虚数を組み込ませ――――」

「あ〜!はいはい!分かった分かったすごいすごい!」

「む、なんか投げやりだなぁ。まあ、いいか。
話を戻すけど、その『オメガシークレット』をこのプロジェクト全てのファイルにかけたんだ。」

「そんなことしたら、木山先生も見られないじゃないか!あの子たちを救うためには、あのデータが見れないと大変だろ!?」


「ちっちっち、甘い。甘いよ零君。具体的に言うと、バーモ○トカレーの甘口と中辛を混ぜた位甘い!」


そんなに甘くないって事はそれなりにイイ線いってたってことだよな?
しかも、カレーの甘いって一般的な甘いとは、意味ちがうよな

「僕が作ったプログラムだよ?僕自身が解読できなかったら意味がないじゃないか。」

「いや、さっき自分で説明してたじゃん。」

「あれは世間向けの設定で、本当はちゃ〜んと裏口(バックドア)を作ってあるんだ。」

「じゃあ最初っからそう発表すれば・・・あ、それじゃ暗号として意味がなくなるのか。」

「そのと〜り。だから、その“裏口”を木山にも渡しておく。これで、万事解決だろ?」

「それならいいか。

・・・ホントにありがとう、感謝してる。」


「なんだい改まって。」

「いや、会った時から迷惑かけてばっかだし。今もすごい迷惑かけてるから、さ。」

「そんなこと今更じゃないか。それに、これは僕の趣味みたいなものだから気にしないでいいよ。

・・・・・此処ももう、すぐに辞めるだろうから。」


「・・・・もしかして、俺のせい?」

「ハハッ。違うよ。実は零と会った時、すでに辞めようと考えていたんだ。
だけど、零が此処を出るまでは此処にいようと思ったんだ。」

・・・っていうことは、今まで俺の事守ってくれてたんだな。


「・・・・そう。じゃあ、此処を出たら教師になるといいよ。剛。」

「そうかい?実は僕も向いてるんじゃないかと思ってたんだ。」

「うん。絶対向いてる。俺は保障するよ。


・・・それじゃ、今までありがとう。」


「零!」


「なに?」

「辛い事とかあったら、遠慮なく電話してね。番号は登録しておいたから。」

おいおい、ヒトのケータイ勝手に見たのかよ。

「大丈夫!何もしてないから」


「そーかい。」


ま、見られて困るようなものは入ってないけど。





それじゃ、行きますか。





―――――――――――――

後書き

“オメガシークレット”については思いつきで書いただけです。恐らくもう登場しないでしょう。
なので、あまりツッコまないでください。


それでは、トムヤムでした。

-9-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




とある科学の超電磁砲 07―とある魔術の禁書目録外伝 (電撃コミックス)
新品 \630
中古 \300
(参考価格:\630)