小説『真剣に私に恋しなさい! 〜 最強の武将の名を受け継ぐ男? 〜』
作者:ラドゥ()

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第十五話 VS九鬼揚羽。未来を賭けた戦い!ですか。(後編)



とある国の某都市のとあるビルの一室に二人の男の姿があった。


一人はスーツに身を包んだサラリーマン風の男。メガネをかけたその風貌は平凡なものであるが、その佇まいは見る人が見ればただ者ではないことがわかる。


彼は『ジョン・ドゥ』。「身元不明の男」というコードネームを持つその男。
上海ニューホテルで四季と戦闘を行った人物である。
四季によるダメージがいまだに抜けていないのだろう。彼の体には所々に手当の後があった。

そんな彼は目の前の男にこの間の出来事。九鬼英雄誘拐の任務についての報告に来ていた。どうやら彼の上司のようだ。


「そうか、失敗か…」

「申し訳ありません」

「いや、そのことについて君にいうことはないよ?この任務は元々必ず必要だったというわけではなかったからね」

そう。確かにこの仕事がうまくいけば彼らの計画プランの進みが早くなるのは確かだが、しかしかならず必要ではなく重要度はそこまで高くなかった。そう、問題なのはこのことではなく、


「しかし、何者だい?その君の邪魔をした子供・・というのは?」


そう、彼が問題としているのは任務の成否ではなく、その任務の邪魔をした人物のことである。

自らの目の前にいるこの男。コードネーム『ジョン・ドゥ』は、組織のなかでもかなりの腕を持つ人物。その男を一方的に倒したのがいまだ成人もしていない子供だということが、彼には信じられなかった。

彼の言葉に、ジョン・ドゥの顔がわずかに歪む。彼は必要ならどんな表情でもできる男だが、自らの感情を外にだすことは実はめったにない。そんな彼がこのような顔をするということはそれほど四季にやられたことが屈辱だったらしい。

「私にもわかりません。突然乱入して邪魔してきたので」

「そうか…」

男は自らの手元にある報告書に目を落とす。

「どうやら、詳しく調べてみる必要があるようだね」

その報告書には今回の任務についての詳しい経緯が書かれていた。もちろん、任務を邪魔した少年。『篠宮四季』についても。

こうして四季は闇に潜む者たちに目をつけられることとなった…。









―――そのころの九鬼邸・鍛錬場


サイド:四季


ヒュームさんの試合開始の合図と共に、俺と揚羽さんの気の拳が激突する。

「ぬおおおおおおおおおおおお!!」

「てりゃああああああああああ!!」


ドゴッオオォォォオン!!

お互いの気の籠った拳が激突する。

まずは単純な力比べ。

拳の威力は互角に思えたが、


「くうッ!?」

揚羽さんの拳の威力に俺の拳が押されだした。

「おおおおおおおお!!」

好機とばかりに揚羽さんの拳の圧力が増す。


バシ!

「ちッ!」

俺の拳が揚羽さんの拳に弾かれる。全てを粉砕せんとする拳が俺の顔面に迫る。

「もらったあああああ!!」

「なめるな!!」

俺は自らの気を使い、揚羽さんが纏ってる気に干渉する。

「なッ!?」

俺の干渉を感じたのだろう。揚羽さんが驚愕の表情を浮かべる。

【鬼道流奥義・鬼流し】発動。

相手の気に干渉し、攻撃を受け流すこの技は、幼いころから鍛え上げられた鬼道流の特色である気の操作能力があってこそできる技である。

俺は鬼流しにより揚羽さんの拳に纏っている気に干渉し、攻撃を受け流し、膝に気を纏って叩きこむ。


「ちッ!」
揚羽さんは舌打ちするととっさに後ろに飛び、俺の膝蹴りをかわす。

ブオン!

俺の膝蹴りは標的を捉えることはなく、空をきった音だけが聞こえる。

(逃がさない!!)

俺は片足を軸に回転し、もう片方の足に溜めた気を揚羽さんに放つ。

「我流」

「!?」

「猛虎蹴撃もうこしゅうげき!!」

俺の脚から放たれた気が虎の形となって、揚羽さんに襲い掛かる。


【我流・猛虎蹴撃】

「恋〇無双」の凪というキャラが使っていた技。なかなかかっこよかったので、隠れて練習していた技のひとつだ。

虎の形で構成された気弾に、しかし揚羽さんは慌てることなくもの凄くいい笑顔を浮かべる。その笑みはどこか戦いでテンションが最高潮となったももさんと似ていた。

「ははは!さすがは四季。それでこそ我の婿となる男だ!」


(いや、違うからな?)

心の中で揚羽さんに突っ込むが、もちろんそんなものは揚羽さんには届かない。

「だが、この程度では我の愛は止められんぞ!」

そういうと、揚羽さんは猛攻脚撃を両手で受け止め、

「ふんぬ!」

ひねりつぶした。って、

「ひねりつぶした!?」

そんな俺の叫びに揚羽さんは心なしか胸をはる。

「これが我の愛の力だ!」

いやいやいや!猛虎蹴撃は追尾能力を重視した技だけど、他の気弾よりその構成は頑丈にできてるはずなんだけど!?

「ちッ!」

どうやら単純な力パワーならあちらのほうが上らしい。いや、俺は『最強の気』をもらってるはずだから、この場合は揚羽さんの力の使い方がうまいってことか?もしくは俺が力を使いきれてないのか。

(まあ、パワーで負けてんなら他で勝負すればいいんだけどな!)

トン
   トン
  トン   
      トン


俺はリズムをとるように揚羽さんの周りをストップを刻みながら取り囲む。


「む!」

俺の行動になにか感じたのだろうか。揚羽さんは警戒するように構えをとる。

俺はギアを一気にトップスピートに上げる。


【鬼道流改式・華吹雪はなふぶき】

これは鬼道流独特のの加速術と、ブラ〇クキャットにでてきた歩法・桜花を(後者は漫画を参考に自分なりに試行錯誤して練習したため、ただしく桜花になってるかどうかはわからないが)組み合わせた技で、これを使うと相手には何人もの自分が高速で自分に迫ってくるように見えるのだ。

「くッ!?」

さすがの揚羽さんもこれには焦りの声を上げるが、俺はそれを無視し、揚羽さんに攻撃を加える。

「らああああああああああああああああ!!!」

俺はこれが好機と一気呵成に攻め込むが、揚羽さんも負けてはいない。

「なめるなあああああああ!!」


俺が殴ると揚羽さんはその拳を受け流し、俺が蹴りを放つと揚羽さんはその蹴りを避ける。


放つ、放つ、放つ、放つ、放つ、放つ、放つ、放つ、放つ、放つ、放つ、放つ!

捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く!

しかし、さすがに俺のスピードに対応しきれなくなったのだろう、俺の攻撃が揚羽さんに届き始める。

「ぐ、くう…!」

そんな揚羽さんの懐に一瞬で来た隙をついて入りこむ。

トン

揚羽さんの腹に手のひらを添える。

「しまっ!?」

俺はモモさんとの決闘で放った奥義をここでも放つ。

「【鬼道流奥義・鬼気一発】!!」

ドオオオォォオン!!

「ぐあああああ!?」

揚羽さんは吹き飛ぶが、

(ち!浅かったか)

どうやら揚羽さんはあのとき、とっさに後ろに飛んだらしく、手ごたえがあまりなかった。まあそれでも結構なダメージを加えたはずだが。

(なら、揚羽さんが体勢を立て直す前に一気に勝負を決めるべきか)

俺は揚羽さんにとどめを刺すべく、大地を蹴る。

【鬼道流加速術・鬼脚ききゃく】

これは華吹雪に組み合わせた鬼道流の加速術で、これは体の隅々まで気をめぐらすことにより、主に移動用のみにつかう縮地法と違い、加速による早さをそのまま攻撃の威力に変換できる技なのである。
…もっとも縮地法よりは小回りがきかないため、もし避けられたら決定的な隙ができてしまうのだが。

俺は決着を着けるべく揚羽さんに自らの持ちうる全力のスピードで突っ込むが、


「(ニヤリ)」

そこで揚羽さんの口が歪んだのを見てしまった。

「ヤバッ!?」

俺はとっさに止まろうとしたが、鬼脚を使ってる最中は急には止まれない。
揚羽さんは、どうやら吹き飛んだ時から気を練り込んでいたらしく、ノータイムで膨大な気が揚羽さんに纏わりつく。

「フハハハハ!いくぞ四季。これで我の勝ちだ。【九鬼流決戦奥義・古龍昇天破】!!」

そうして揚羽さんが放った巨大な気の波動に、俺の体は呑まれた。





サイド:帝

「フハハハハ!いくぞ四季。これで我の勝ちだ!!」

そういうと揚羽様は九鬼流の決戦奥義。【古龍昇天破】を、篠宮四季に放った。


「・・・決まったな」


いささか物足りなく感じるが、両者の年齢の差を考えるにこの結果は必然だったのかもしれぬ。

我は試合終了の合図をヒュームにだそうと腰を上げようとしたが、


「何をしようとしているのかしら帝ちゃん。」

我が友。篠宮奉山にそれを止められる。


「もう決着はついただろう?故にヒュームに試合終了の合図を出そうとしていたのだが?」


我がそういうと、奉山はクスクスと笑いをこぼす。


「…何を笑っている」


「ふふ、ごめんなさい。だって試合が本当にに終了しているのなら、そんな合図とか出さなくてもヒュームちゃんがとっくに試合終了のかけ声をかけてるわよ?」

むう。それは確かに。

む?ということは…


「うおおおおおお!!」

「まさか!?」


我はその叫び声に、とっさに先程の戦いに視線を戻す。そこには、









「試合はまだ終わってないわ」

揚羽にその拳を振り下ろしている篠宮四季の姿がそこにはあった。








サイド:四季


揚羽さんが放った龍の形をした巨大なエネルギー破が俺に迫ってくる。


避けようにも、鬼脚を使っている今の状態では避けきれず必ず被弾してしまうだろう。


(考えろ…。どうすればこの危機を回避できる)


そこで俺はふと思いつく。

一種の賭けを。

その賭けがうまくいけば俺は揚羽さんを倒せるかもしれないが、失敗すれば敗北は確定だ。

(男ならやるしかないだろ!!)

俺は腕を体の前でボクシングでいうクロスガード?の体制にすると、とっさに気を練り上げガードを強化する。

そうして俺はそのまま、






エネルギー破の中に突っ込んでいった。


要は避けれないなら耐えきってしまえばいいという、作戦とは呼べない、賭の要素の強い力業だったが、


ズバン!

「うおおおぉぉお!」

俺は賭けに勝ったようだ。


揚羽さんは驚愕の表情を浮かべている。


それもそうだろう。勝ちを確信していたのに目の前でそれをひっくり返されたのだから。


揚羽さんは先程の奥義で気を大量に使ったせいか息が荒い。肩で息をしている。


「これで終わりだああ!!」


そうして俺の拳は揚羽さんを吹き飛ばした。




「勝者、篠宮四季!!」



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