小説『真剣に私に恋しなさい! 〜 最強の武将の名を受け継ぐ男? 〜』
作者:ラドゥ()

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特別話『仁の少女との甘いひと時』



サイド:京

…私の名前は椎名京。別に覚えなくても良いけど。

突然だけど私には好きな人がいる。

その人の名前は【篠宮四季】。私にとっての運命の人…。




私は昔学校全体からイジメられていた。

その原因は私の母親(書類上はであって、私はあのババアが母親なんて認めないが)にあった。

あのババアは父さんがいながら他の男に色目を使っていやらしいことばかりしていた。

ほとんど家にはいなかったし、いても家に知らない男の人を連れ込んでたりしていた。

そんなあいつはいつしか近所の人からこう呼ばれることとなった。

【淫売】と…。

それも当然だろう。あいつは父さんがいるのに他の男の人にちょっかいばかりかけてだんだから。

父さんもそのことを知っていたようだけれどなにもいわなかった。ひょっとしたら下手に離婚して椎名家のスキャンダルになるのを怖がったのかもしれない。…私としては離婚してくれてたほうが良かったけれど。

そんなあいつのことを親から聞いたのだろう。同級生たちは私のことを【淫売の娘】としてイジメ始めた。


ある時は殴られたり蹴られたりし、またある時は水をかけられたりもした。


荷物を隠されもしたし、無視もされた。


最終的には私の名前は【椎名菌】になって、皆が遠巻きに私のことをあざ笑うようになった。


辛かった。

寂しかった。

なんで自分がこんな目に合わなくちゃいけないんだって。

一度は死のうとも考えたがなかなか勇気がでなかった。

でもそんなことを、何度も考えてしまうような、そんな地獄の日々だった。










そんな地獄の日々から救ってくれたのが四季だった…。

いつものようにいじめられた私を颯爽と助けてくれたその華麗な姿に(京ヴィジョン)、今思えばその時に確信したんだと思う。








この人が私の生涯をかけて愛していく人だって・・・。







「だから私がいっしょの布団に寝ても大丈夫なんだよ」

「いや意味分かんないから」








サイド:四季


ゴホッ!ゴホッ!ど、どうも。ゴホッ!篠宮四季です。現在風邪で寝込んでいます。

いや〜、まいったね。せっかく今日は日曜日だからって父さんたちが遊園地のチケットを用意してくれたのに、まさかこんなときに風邪をひいちまうとは。風邪だと気の治療も通じないんだもんなー。

まあそんなわけで俺は今1人でお留守番です。本当は行くのをやめようとしてたんだけどせっかくのチケットが無駄になるからいってくるようにいっておいた。それで俺は今1人でベッドに寝ていたんだけど、


「ん?」

起きたらなぜか京がベッドの中に入り込んでいたんだ。

いや、首傾げてないでなんでいんのか教えてほしいんだけど。

話を聞くと、俺のことを心配した母さんが京に俺の看病の依頼をしたらしい。

いや、それはいんだけどさ…。

「なんで俺の布団の中に?風邪うつるぜ?」

「四季の風邪なら移してほしい」

「いや、お前ねぇ…ゴホ、ゴホ!」

あ〜、喉痛い。

俺がせき込んでいると、

「大丈夫…?」

京が心配そうに覗きこんできた。

「だ、大丈夫だから少し離れなさい。本当にうつっちゃうだろ?」

「四季のためなら移っても構わないとさっきもいった」

「いやなんでだし」

俺がそういうと京はほほ笑む。

「私が四季のことが好きだから」

「…ああ、そうかい」

かわいいじゃないか、ちくしょうめ。

いまさらだがこの京は俺に惚れている。いや正しくは惚れてると刷り込まれてる()というべきか…。

この京は元々学校でいじめられてたのを俺が助けてファミリーの仲間にしたんだが、そのせいか俺に好意を寄せてるようなんだ。いやいつもの俺なら気のせいだと思うところなんだが実際に面と向かって「好きだ」といわれたらさすがに気づく。

京のような美少女に好意を寄せられたら普通は喜ぶところなんだが…

(惚れられた理由がなあ…)

京が俺に惚れた理由は俺が京をイジメから救ったから。いうなれば一人ぼっちの状態に手を差し伸べられたんだからそれは子供なら好意も持つだろう。しかし…。

(そんなつもりで助けたんじゃないしなあ…)

それに京の場合、あれは一種の刷り込みに近い。俺に対する感謝の念を恋愛感情としての好意とい勘違いしたのだろう。だからうまくいえないけれど、そんなものは本当の恋愛感情ではないと思う。

だから俺は京の思いに応えるわけにはいかないんだけどなあ…

(この眼をを見てるとなあ…)

京の純粋にこちらを見る眼を見るとついその思いに応えたくなる。

(ハッ!いけない、いけない。そんな軽い気持ちで京の好意に応えるなんて…)

ここは京にビシッ!といわなければ。お前の思いは感謝の念を勘違いしたものだと。だから俺なんかにこだわる理由はないんだと…。

「なあ京?」

「嫌」

「……」

せめて最後までいわせてくれよ…。

「四季がなにをいいたいのか私にも少しはわかるよ?」

それは仁の少女の独白。

「確かに私が四季を好きになった理由には私を助けてくれたっていうのもある」

自らを地獄から救ってくれた少年への

「でもそれだけじゃない」

恋する乙女の

「私の思いはそんなものじゃない」

宣戦布告。

「私の思いを舐めないで」

「必ずあなたを私のものにする」という少女の決意。






「…………」

正直に言うと驚いた。

京がここまで強い気持ちで俺のことを慕ってくれてるなんて…。

どうやら俺は所詮は子供と、京の気持ちを甘く見ていたらしい…。

「京おれh、むぐぅ!?」

京の気持ちを聞いた俺が言葉を紡ごうとしたか、できなかった。










京に唇で口を塞がれたから…


「ん・・ぴちゅ、むちゅ・・・んん」

「ちょ・みや、むう、ま、むちゅ、ぴちゃむちゅ」

抵抗しようとする俺をしり目に、京は舌まで入れておれの口内を蹂躙してきた。

いつもならすぐに引き離せるのだが、風邪と突然の事態に頭がうまく働かず、京のなすがままとなった…。

一分ほどたってようやく京は俺の唇を離してくれた。俺と京の唇に銀色の糸が繋がる。

おそらく俺の顔は真っ赤だろう。京の顔も真っ赤だが、それでもおれの眼を真っ直ぐと見てくる。むしろ俺のほうが恥ずかしさで眼を逸らしてしまいそうだ。

「四季が私にそういう感情を持ってないことはわかってる。だから」

そういってほほ笑む恋する乙女みやこの顔は、

「必ず私を好きって言わせて見せるから!」










―― 見惚れてしまうほどに綺麗だった…。



この後京が看病として作ってくれたお粥があまりに辛くて食べられなかったり、そのお粥を食べさせようとして京が口移しを実行しようとしたためにそれを必死で止めたり、俺が睡眠をとってる間に布団にもぐりこんでそのまま寝てしまった京を小雪が発見して大騒ぎしたりいろいろあり、俺の風邪が長引いたのはいうまでもない。





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