小説『真剣に私に恋しなさい! 〜 最強の武将の名を受け継ぐ男? 〜』
作者:ラドゥ()

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第一話 鬼道流ですか





どうも〜!前回『マジ恋』?の世界に転生した、篠宮四季です。ただいま俺は、








「ぶうらあああああああ!!!!」


「ぎゃああああああああああああああ!?!!」

襲われています♪

いや、本当はちがうんですけどね?

今、俺に襲いかかっているのは『篠宮奉山』。
見た目は色黒の筋肉の鎧につつまれた大男で、とてつもなく暑苦しいこの男は、実は俺の父親なんです。

なんでこんなことになっているかというと、

「修行中によそ見はよくないわよん♪」

「うお!?」

あ、あぶねえ。何でただのパンチで地面が砕けてんだよ、おい。

そう、今俺は父さんに修行をつけてもらっている。
なんでこんなことになっているのかというと、回想〜ドン!








〜1時間前〜

俺は今、両親と1対1で正座でむきあっている。(正座はなんとなく雰囲気でしている)

何か真面目な話があるということなので、こうしてむきあっているということなのである。
目の前にはいるのは2人。

1人は父親、『篠宮奉山』。居酒屋【トビウオ】の店主で、昼にだしている定食も一手に引き受けており、その暑苦しい見た目からは想像ができないほどの凄腕の料理人である。

なよなよとしてオカマ口調なのが玉に瑕だが、それが逆に親しみやすいのか、よくお客さんの愚痴や相談を聞いているようだ。

もう1人は、母親『篠宮晴美』。綺麗な赤い髪にスッキリと整った顔。

その白い肌からは、まるで病人のような印象を受けるが、その見た目で侮ることなかれ。その気になれば、大の男を吹き飛ばすほどの力がある。

以前、うちの料理に虫が入っているといちゃもんをつけてきたチンピラを、むかいの通りまで吹き飛ばしたのは記憶に新しい。

我が家のヒエラルキーの頂点である。

ちなみに、家事、特に料理が壊滅的を通り越して破滅的で、一度手料理を食べたのだが、天上界にいるダンと再会してしまったほどである。
それ以来、母が台所への立ち入りを禁止されたのはいうまでもない。

いまは、トビウオの看板娘(笑)をして「四季君、後でお話ししましょ&amp;amp;#10084;」・・・・・・・すいません、勘弁してください、お母様。

ま、まあこのようにキャラが濃くも尊敬できる両親たちである。

「四季ちゃん。」

おっと話しが始まるようだ。ちなみに、母さんは俺のことを「四季君」。父さんは「四季ちゃん」と呼ぶ。

「なんでしょう、父さん。」

「もうっ!パパって呼んでっていったじゃない!・・・まあいいわ。四季ちゃん、あなたももう五歳になるわね?」

「はい。」

そう、この世界に転生してから、俺ももう五歳になる。

・・・・・・辛かったなあ。

転生物にありがちな羞恥プレイもそうだったが、父さんが何回も俺にキスしてきたり、はやく自分で行動したいから、一生懸命立ちあがったんだよなあ。・・・・・・生後三カ月くらいに。
今思えば、いくらなんでも早すぎたよな、ハイハイの段階飛ばしてるもんな。
普通の家族なら気味悪がられても仕方ないはずなんだけど、家の家族はすげえ喜んでくれたなあ。・・・・・・はしゃぎすぎた父さんを、母さんが地面にたたきつけた場面をみたとき、絶対に母さんには逆らわないようにするって誓ったけなあ。


「(遠い目でどこみてるのかしら、この子)大丈夫、四季君?」

おっと、思い出にふけっていたら、母さんに心配されてしまった。

「すいません、大丈夫ですよ母さん。父さん話の続きを。」

「そうね。それでね四季ちゃん。あなた、武術をならう気はあるかしら?」


俺はそんな父さんの言葉を不思議に思う。


「武術って・・・、一体なぜ?どういうことですか?」



俺たちが住んでいるこの川神市は武士の末裔たちが多く住んでおり、そのため武術が盛んな街なのだが、我が家はごく普通の自営業の居酒屋。武術とはまったくの無縁のはずなのだが・・・。


そんな俺の言葉に答えたのは父さんではなく母さんだった。


「実はね、四季君には黙っていたけれど我が家はある武将の血をひいている家系でね?それでちょっと特殊な武術を先祖代々受け継いできているのよ」

ま、血をひいているのは父さんだけだけど母さんは続けた。

「へ〜、それは知りませんでした」

まあ、それほど不思議でもないか?有名か無名か問わなければ武士の血をひく人間はこの川神市にはたくさんいるみたいだし。

「ところでその俺たちが血をひいているっていう武将って誰です?」

「呂布奉先よん♪」

「・・・はい?」

え?今なんて言ったんだこの人。なんかあり得ない名前を聞いた気がするんだが・・・。


「えっと、すいません。よく聞こえませんでした。今なんて言ったんです?」


俺がそう聞き返すと父さんは笑顔で再び口を開いた。









「私たちの御先祖様は呂布奉先だっていったのよん」







「・・・え」

「え?」


「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?!?」











☆ ☆









“呂布奉先”。その名はあまりにも有名だ。

たぶん歴史をあまり知らない人でも名前くらいは聞いたことがあるはずだ。

中国の実際の歴史を元にして作られた物語、『三国志』。数ある英雄、豪傑が登場するその物語に最強の存在として登場する武将こそが呂布奉先だ。

三国志の主役の一人である劉備。後に主、劉備の宿敵である曹操に『武神』と称されることになる『美髯公』関羽。そしてその関羽に匹敵する実力者として記されている張飛。その三人と同時に戦っても渡りあえるその実力はまさに最強といってもいいだろう。


その呂布奉先が俺の御先祖様と聞いて叫んでしまった俺は悪くないと思う。


とりあえず俺の動揺が収まったところで話の続きを聞いてみると、どうやら呂布には隠し子がいたようで、呂布が曹操に倒される前に母親に連れられて城から脱出し、そのまま誰にも見つからないようにひっそりと生き延びたらしい。まあ呂布の子供なんて当時見つかったら曹操に処刑されるか利用されるかすると思うから見つかるわけにはいかなかったんだろうなあ。


それからその呂布の子供は大きくなってから強さを求め激しい修練を積むようになったんだそうだ。なんでも母親から父の強さを聞いて憧れたゆえの行動らしい。


そして呂布の子供はやはり才能があったのだろう。めきめきと腕をあげていったのだが、ここで一つ呂布の子供に誤算が生じた。

それは強者への飢えである。


彼が住んでいたその村はかつて呂布に忠誠を誓いどこの勢力にも降らなかった呂布の部隊の人間が集まって形成されたもので、その村に住んでいる者たちは腕の立つ猛者ぞろいであったがあまりに呂布の息子の才能が凄すぎたために彼が十代半ばにさしかかるころには誰も彼にかなうことはできなくなっていたらしい。


そして彼は自分と互角の戦いのできる武人を求めて集落をでて様々な場所を旅し、さまざまな相手と部を競い合ったのだという。


そんな彼が最後に降り立ったのが日本の地であり、そこで当時の篠宮家の少女出会い子を為したのだという。


「そうして私たち篠宮家には最強の武将の血が先祖代々受け継がれることになったというわけなのよ」


俺はその話を聞いて意外にすんなり納得できた。


なんでかって?そりゃあ常日頃ただの料理人であるはずの父さんがビルからビルに飛び移ったり、川の上を走ったり、叫び声で窓ガラスを割ったり、でたらめな運動能力を発揮していたら納得するに決まってんだろ。むしろやっとすっきりしたわ。


・・・あれ?ということはそんな父さんを平気で地面にたたきつける母さんは最強以上の化け物ってことに・・・?


チラっと母さんの方を見ると、

「なにか(ニッコリ」

「い、いえ別に。」

これについては触れないでおこう。俺の精神衛生上よくない。


「話を続けるわね?それでその呂布の子供はそのたびで数々の武術家と闘いながら自分独自の武術を創り上げた。四季ちゃんに継いでほしいのはその武術なのよ」


ふむ、なるほど。話の内容にこそ驚いたが、これはある意味チャンスかもしれないな。


俺は別に荒事とかに首を突っ込む気はないし、平穏に日々を過ごせたらそれはそれでいいと思っているが、せっかくダンのやつから特典をもらったんだ。有効活用できるもんはしておくべきだろう。この世界は元は創作物の世界。なにがあるかわからないもんな。


「わかりました。その武術の修業受けさせていただきます」


俺がそういうと父さんは嬉しそうに笑みを浮かべた。


「そう!それはよかったわ!!じゃ、さっそく明日から修業を始めましょうか」


どうやら明日からさっそく始まるらしい。まあそれは別に構わないのだが・・・。


「父さん、俺が習う武術とはいったいどのような武術なのですか?」


さすがにそれくらいは知っておきたいんだが。


そんな俺の言葉に「そういえば教えるのを忘れてたわ」と呟くと、俺の質問に答えてくれた。



「その武は『最優』。自らを鬼へと変える道をたどる人の力の及ばないその武術を創った人はこう名乗ったそうよ。









【鬼道(きどう)流】と」










〜回想終了〜





と、いうわけで、現在父さんに修業をつけてもらっている最中なのである。

最初は基礎能力の向上のために、教わったばかりの気の身体強化を覚えるといったものだが、これは実は子供のころから自分なりに練習していたために、あっさりと成功した。(父さん曰く、まだまだ錬度がたりないらしいが)

それで今は身のこなしの練習のため、気の身体強化を使って父さんの攻撃を避け続けているというわけである。

あるんだが、

「ぶらああああああ!!!」

ドゴオオオン!!

「うわあああああ!?!」

「まだまだいくわよ!!」

「ちょ、ま。」

ドドドドドドオオン

「六王銃!!」

「ちょっ!著作権、って岩が粉々に!?」



俺、生き残れるんだろうか?

「す・き・あ・り」
「あ」

チュドーーーーーーン!!!



-3-
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