小説『真剣に私に恋しなさい! 〜 最強の武将の名を受け継ぐ男? 〜』
作者:ラドゥ()

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第二話 幼稚園ですか。



サイド:四季


父さんに稽古をつけてもらいはじめてから、すでに1ヶ月近くたった。

自分でいうのもなんだが、めきめきと力をつけている…たぶん。

比べる相手がいないから、いまいち自分の強さがわからないんだよねえ。
それをいったら父さんは、もう少し上達すれば、相手を用意するといっていた。

なんか「鉄心ちゃんの孫娘なんかがいいわねえ。強いっていってたし。」とかいっていた。

…やばいな。なんかおかしなフラグがたった気がする。

今は気功波の練習をしている。

『気功波』は、本来、体内にある気を体外に放出する攻撃方法で、ドラゴンボールのかめはめ波を思い浮かべてもらえればわかるだろう。

鬼道流は体の身体強化を重視するため、いらないように思うか、そうでもない。
手札は多いほうがいいし、気功波は気の制御能力をあげるのに役にたつ。

鬼道流の気功波の技は二つ。
一つは『魔弾(まだん)』。
小型の気功波で、威力はないが、数がうてるのと、追尾能力を持っているのが利点。

もう一つは、奥義『鬼道砲』。
両手の手のひらを前にむけ、脇に構え、その手のひらに気を収束。そして放つという貫通能力に特化した技。

・・・操気弾とギャリック砲ですね、わかります。

ていうか、操気弾はともかく、なんで王子砲!?そこは普通にかめはめ波でよくない?そこんとこどうなんだ?いや、まあ別にいいけどさ。

そういうわけで、今はその二つの技をいつもの修行場で練習している。

ああ、ちなみに俺がいつも修業をしている場所は、呂家が所有している場所で、そこの山奥で行っている。

呂家ってなにかって?

【呂家】

それは鬼道流の開祖である呂布の息子である“呂星”。彼が各地を回って修行していたときに築き上げた武術家たちのコミュ二ティのことで、現在では流派関係なくただ己の実力を高めるために集まる裏世界最大規模の武術家集団であり、父さんはその呂家の最高幹部である『八神将』の一員らしい。…本当、トンデモ設定多くないか、うちの両親。母さんも元は呂家の武術家だったらしいし。ダンのやつの仕業か?

まあ、呂家の説明はこれでいいだろう。これが結構規模の大きい組織で、全国に修行場を持っているようだ。なんか申し訳ないな。呂家の一員でもない俺がつかっちゃって。


まあ、最近はこんな感じで修業に励んでいる。そして、俺は今、














「こんにちわ、四季君♪」
「こんにちわ、先生。」
幼稚園にいます。

え?なんで幼稚園にいるのかっていわれても、もう俺も五歳だから普通に幼稚園にいくぞ?決して作者が、「あれ、五歳ってことはこいつもう幼稚園いってんじゃね?」とか急に気づいて書いたわけじゃないですよ?(メタ発言)・・・・・・・・・本当ですよ?

まあそんなわけで、今回は俺の幼稚園での華麗なる(笑)日々を見てもらおう。・・・・・・・・・さっきから誰にいってるんだ、俺は?まあいいや。

「あ!四季君!!」

ん?おお!あれは!!

「くまちゃん、おはよう!」

「おはよう。四季君。」

こいつはくまちゃんこと“熊飼満”。食べるのが好きで、家にも両親とよく来るので、自然に仲良くなった。

「くまちゃん、ほらこれ、家の新作!『にしんのパイ』。試食頼むよ!」

そういって俺は幼稚園バックからにしんのパイがはいった籠をくまちゃんに渡す。(明らかにカバンの面積より籠のほうが大きいのは気にしない方向で)

くまちゃんは、子供ながらその舌の評価は確かで、うちの父さんも認めているほどなので、ときどきこうして試食を頼んでいる。

「わあ、本当にできたんだあ。」
「ああ、以外に大変だったんだぜ?結構臭いがきつかったから、それを消すのにいろいろ香草をためしたりしたり。俺も手伝ったんだ!」

今、俺がくまちゃんに渡したのは『にしんのパイ』。このあいだ、幼稚園で皆で一緒にみた『魔女で宅急便』に登場したニシンのパイをくまちゃんが食べてみたいといったのでうちで作ってみよういうことになったのだ。

「お昼にあいつも誘って一緒に食べようぜ?」
「うん。」

そういえばあいつはどこだろう。一緒に食べるならあいつも誘わないと。

「くまちゃん、忠勝は?」
「ああ、忠勝君なら、「よう。」あ、来た来た。おはよう忠勝君。」

今来たこいつは“源忠勝”。うちの常連客の、“宇佐美巨人”さんの息子で、年齢の割に精神年齢が高く、話しがあい、仲良くなった。…仲良くなった理由の一つにはお互いキャラの濃い父親のことを愚痴りあっていたというのもある。

「よう、忠勝。例の物が完成したんだが、お前も食べるだろ?」
「本当に作ったのかよ。お前もよくやるな。」
「まーなー。お客のにーずに答えてこそ料理人だろ?で、食べるか?」
「ああ、じゃあもらう。勘違いすんなよ!ただ料理がもったいないからもらうんだからな!」
「わかってるよ。」

お前が素直じゃないことがな。

「二人ともそろそろ教室入らないと。」

くまちゃんの声が聞こえる。おっとっ!もうそんな時間か。

「じゃあいこうぜ忠勝。」
「ああ。」

そうして、俺たちは教室に入っていった。












あ、ちなみに俺たちは『バラ組』だよ。興味がない?そうですか(しょぼん









☆ ☆











「それでは二人一組になってくださいね〜。」

バラ組の山田先生がクラスの皆に呼びかける。しかし、


キャっキャっ。

効果は今一つのようだ。

「あわわわ。」

先生はあわてているだけで、どうしていいかわからないようだ。・・・しょうがないなあ。

俺は席を立ち、手を叩く。

そうすると、クラスの皆の視線が俺に集まる。あっ!くまちゃん菓子食ってる。あとで注意しないと。

「先生が困ってんだろ。お喋りはそこまでにして、とりあえず二人一組になろうぜ。」

俺がそういうと、クラスの皆は俺のいうとおり動きだす。先生のほうを見ると、






「(キラキラキラ)」
もの凄い感謝の目で見られた。正直そんな目で見てくるくらいなら、もうちょっと、ちゃんとしてほしいのだが・・・。まあこの先生はなったばかりらしいから、しょうがないか。・・・・・・まあこの人のフォローばかりしていたら、いつのまにかクラスのまとめ役みたいになってしまったんだが。

「さってと。」

人のことばかり気にしていないで、俺も相方見つけないと。そういって辺りを見回していると、

「あ、あの。」
「ん?」

遠慮がちな声が聞こえたほうにむくと、そこにはピンク色の髪の小柄な女の子がいた。確か・・・

「甘粕だったけ?」

確か“甘粕真与”っていう名前だったな。

「ひゃい、いっしょに組んでもらってもいいでしゅか?はわわ、噛んじゃった。」

・・・どこのはわわ軍師だお前は。

「とりあえず、落ち着け。俺なら大丈夫だから。よろしくな甘粕。」
「は、はいよろしくお願いします。」

今日は二人一組になって相手の似顔絵を描く時間。

あまり自信はないが、下手なものを書くと相手に失礼なので、黙々と一所懸命に書いていると、

「篠宮君は凄いですね。」

甘粕が話しかけてきた。なんの話だ?

「なんの話だ?って顔してますね?」

「む。口にだしてたか?」

「顔にでてました。」

そういって甘粕はほほ笑む。

む〜。ポーカーフェイスには自信があったんだが。

「篠宮君はすごいです。さっきも山田先生のことも助けてたし。」

「あれはそうしないと、話しが進まなかったからだ。」

「それだけじゃありません。篠宮君はいつも困っている人に手を差し伸べてました。篠宮君は皆に慕われてます。」

「・・・・・・・・・。」

むう。確かに懐かれている自覚はあったが、こうも真正面からいわれるとむず痒いものがあるな。

俺が内心悶えていると、

「それに比べて私は・・・。」

甘粕が暗い顔をしている。なんだなんだ。どしたあ。

「どうしたんだ、いったい。」

「私は皆よりおねえさんなのに、頼りないし、助けようと思ってもどうにもできない。さっきも先生を助けようと思っても、どうにもできませんでした。」

そういえば、視界の隅でこいつがおろおろしているのを見た気がする。あれは先生を助けようとしてたのか。

「私は篠宮くんみたいになれないのかなあ。」

なにいってんだこいつ。










「そんなの当たり前じゃん。」
「っ!」

だって、

「俺は俺、お前はお前だろ?」
「ふえ?」

なんか涙目になってこっちを見てきた。なんで涙目?(あなたのせいです)

「俺には俺、お前にはお前。それぞれの良さがある。だからそう悲観することないだろうに。」

俺は知っている。幼稚園で転んでけがをした子がでたら、真っ先に近寄って絆創膏をあげていたことを。落ち込んでいたらその子の話しを聞いて自分なりに慰めていたことを。誰かが誰かに乱暴をしていたら体をはって止めていたことを。
そのやさしい性格が、この子の良さだと思う。

「篠宮君・・・。」

ほめられたことがうれしいんだろう。少し頬を赤くして甘粕がこっちをみてくる。

「それに、今できないならがんばって、将来できるようになればいいしな。」

「っ!?そ、そうですよね!将来なら私もいろいろ成長していると思うし!!」

「あ、ああ。」

どうしてだろう。彼女が成長するビジョンが思い浮かばないんだが。…特に身長が。まあ口にはださないが。

「さ、そんなことよりさっさと描いちゃおうぜ。時間がなくなる。」

「はわわ。そうですね。」

ちなみに、俺が描いた絵を見て、「絵も上手いんですね・・・。」と、甘粕がさらに落ち込んだのは余談である。


そんな感じの、楽しくも愉快な幼稚園生活を送っています。

こんな日々が続けばいいなあ、と思う四季であった。


「以外においしいね。」
「本当だな。」
「癖になりますね。」


おい、勝手に食べるな。俺も食う。

以上、篠宮四季の華麗なる(笑)日常でした!!


-4-
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