小説『真剣に私に恋しなさい! 〜 最強の武将の名を受け継ぐ男? 〜』
作者:ラドゥ()

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第六話 闘いの後にですか。

サイド:四季

「勝者!篠宮四季!!」

修練場が喧騒に包まれる。

「ふう・・・。」

俺は鉄心さんの試合終了の宣言を聞き、やっと緊張を解く。

(終わったか。)

危なかった。なんども負けるかと思ったけど。

(・・・っていうか、俺一応チート能力持ってるよな?いくら俺がまだ子供だからっていっても、そんな俺に負けを覚悟させるって、百代さんどんだけだし。さすが鉄心さんの孫娘ってことか?)

俺が、川神一族の理不尽さを嘆いていると、

「四季ーーーーーーーーーーーーー!!」

「は?」

「どーーん!」

「ブべらっ!?」

小雪の声が聞こえたほうをむくと、急に小雪が弾丸のごとく俺の胸に飛び込んできた。

鳩尾うった・・・。

苦悶している俺を無視して小雪が、興奮しながらまくしたてる。

「すごいすごいすごいよ四季!四季って、とっっっっても強いんだね!!」

うん。褒めてくれるのはうれしいんだが、とりあえず頭を鳩尾におしつけるのはやめようか。

あの闘いのあとにこれはさすがに。ああ!ぐりぐりすんな。

俺が小雪の攻撃?に、男の意地で耐えていると、野太い声が聞こえてきた。

「こ〜ら、ゆきちゃん。四季君も疲れているんだから、そんなことしちゃだめでしょ。」

そういって、父さんが小雪を抱え上げる。小雪がぶーぶーいってるが気にしない。あなたの息子でよかったですお父様!

「しっかし、まさか百代を倒すたあな。俺もたまげたぜ。」

「そうネ。素晴らしい闘いダタヨ。」

その声に振りかえると、そこにいたのは二人の男性。一人は俺たちを門で出迎えてくれた釈迦堂さんと、えーと?

「釈迦堂さんでしたよね?そちらのカンフースーツのお兄さんはどなたですか?」

釈迦堂さんと一緒にいたのは、カンフースーツ?を来た細目の男性。みるからに、「アチョー」とかいいそうな見ためだな。

「ああ、そういやちゃんとした自己紹介してなかったな。俺の名前は釈迦堂形部。川神院の師範代の一人だ。そしてこっちの細目が。」

「細目っていワナイ!私はルー。ルー・イー。釈迦堂と同じで川神院の師範代を任されてるネ。よろしく頼むヨ。」

「あ、はい。よろしくおねがいします。」

「ぼくを無視するな〜!」

「ああ、悪い悪い。」

俺たちが雑談していると。

「大分仲良くなったようだの。」

鉄心さんが俺たちのほうにきた。あれ?

「鉄心さん?百代さんは?」

そういえば姿が見えないが。

「ふむ、百代なら今は医務室におるよ。」

「医務室!?大丈夫なんですか!?」

もし、後が残るような怪我でもしてたら!?

「ふぉふぉふぉ。問題ないぞい。あの程度の怪我なら気の治療ですぐに完治するしの。」

まじかー。半端ねえな、気。・・・気の治療のやり方教えてもらえないかなー。

「モモの回復力なら、もう治療も終わってるころじゃろ。ほれ、噂をすれば。」

鉄心さんがそういうと、


ドドドドドドドドドドドドドズッバーン!!








「私、復活☆♪」

修練場の扉が急に勢いよく開いたと思ったら、百代さんがテンション高く復活宣言をしていた。

ていうか、そういうキャラだったかあんた?



困惑する俺に構わず百代さんはノシノシとこちらに歩いてくる。

なんだなんだ。

百代さんは俺の前に立つと、

バッチーン!

「痛っ!?」

俺の背中を叩いた。

俺はその痛さに思わず、声を出してしまったが、百代さんはそんな俺に構わず、バシバシ、背中を叩いてくる。

「ハハ!いや〜、強いなお前!私が同年代に負けたのなんて初めてだぞ!!流石、『鬼神』の息子といったところか?」




『鬼神』ってなんだ?父さんのことか?

ていうか、誉めてくれるのはありがたいんですが、そんなに叩かないで!今思い出したけど、俺は治療受けてないから、さっきの決闘のダメージが残ってんだから!?

俺が困っているのを察してくれたのか、鉄心さんが百代さんを諫めてくれた。

「これこれモモ。四季君はまだ治療を受けてないのじゃ。そうおもいっきりバシバシ叩くでないわ。」

ありがとう鉄心さん!流石、川神が誇る武神!空気が読める!!(関係ない)




百代さんは、よほど興奮していたのだろうか。

鉄心さんにいわれて、やっと俺の状態に気づいたようだ。

気まずそうに謝ってきた。

「おっと、すまない。同年代にこんなに強いやつがいたことについ興奮してしまった。」

「ハハ。それはありがとうございます。俺は大丈夫ですよ。一応鍛えてありますからね。百代さんのほうは?傷のほうは大丈夫ですか?」

「くくく。それは心配しすぎた。あれくらいの傷なら気での治療ですぐに完治する。」

なるほど、そうでもしなきゃ、怪我が怖くて厳しい修練なんてできないもんな。

「それは良かったです。俺も女の子に傷が残すのは嫌ですからね。」

俺がそういうと、百代さんは若干機嫌が悪くなったようだ。

あれ?なんかしくった?

「四季。」

「は、はい」

緊張で声が少し上擦る。

な、なんだろう。

「女の子扱いは嬉しいが、私はその前に一人の武人だ。あまり度が過ぎると私に対しての侮辱と見なすぞ?」


それは生涯を幼いながらも武に捧げようとした少女の覚悟ゆえの怒りであった。

真剣勝負の世界に性別を持ち出すなということだろうか?

(そんなつもりはなかったんだけどな。)

しかし、彼女を怒らせたのが、俺のそんな発言だというのも事実。

ここは、本音を喋りながら謝罪も一応すべきだろう。

「すいません。百代さんを侮辱するつもりはなかったんですが。でも、心配するのも当然ですよ。特に、あなたみたいなかわいい女の子はね?」

そういって百代さんと目をあわせると、

「・・・////////(ボンっ!」

急に顔を赤くし、って、赤!?超赤!?

「だ、大丈夫ですか!?百代さん、顔が真っ赤ですよ?」

「だ///だ、大丈夫にき、決まってるだろう//////!!」

いや、ものすごい顔真っ赤なんですけど。

う〜ん。どうしたんだろう?とりあえず、

「ちょっと失礼。」

「へ?ちょっ////!?」

俺は百代さんの額に自分の額をくっつけて熱を測る。

後ろで釈迦堂さんたちが「ほう」とか「へえ。」とかいってるが、なんのことだ?

俺はいまだに顔を赤くしている百代さんの額から離れる。ん〜熱はないみたいなんだが。

「熱はないみたいですけど、少し休んできたほうがいいのでは?顔も真っ赤だし。」

「へ?あ、////ああ、そ、そうだな////。ジ、ジジイ私は部屋に戻る////////!!」

そういうと、百代さんは逃げるようにして、修練場を後にした。それはもう、凄まじい勢いで。

「大丈夫かな?」

「ふぉふぉふぉ、問題ないじゃろう。あれはただ恥ずかしかっておるだけじゃよ。」

「?恥ずかしがるってなんのことですか?俺は特になにもしていないのですが?」

百代さんの熱を測っただけだと思うんだが。そう思ったが、なぜかそんな俺を皆が残念な顔をしてみていた。

な、なんだよその目は。

「まさか、ここまで鈍感な人間がいるとはねえ。奉山さんも苦労しそうですなあ。」

「あら〜。それはそれでおもしろいじゃない♪ひょっとしたら養娘がもっと増えるかもしれないし。」

「ふぉふぉふぉ、それはおもしろそうじゃな。」


なんの話をしているんだ。そして、小雪よ、なぜそんなに頬をふくらませて俺を睨む。

「しらな〜い。」

え、俺なんかした?

「・・・四季のば〜か。」

理不尽だ!?

-9-
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