小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 「此処は…あん時の。」

 決勝戦を控えた遊哉は不思議な場所に居た。
 其れは前に夢で見たのと同じ場所であり、目の前には金色の龍が佇んでいる。

 「お前も『龍皇』みたいだが、前の奴とは違うよな?」

 「ふ、流石気付きましたか。」

 「前の奴は『闇』属性だったが、お前は『光』属性だし、此のカードは白紙のままだ。」

 そう言って真っ白なカードを見せる。

 「其処まで見切るとはお見事。私は『雷龍皇−イズナ』。闇の龍皇より前に、先ずは私が力を貸しましょう!」

 瞬間光が辺りを包み…


 「その力、存分に使わせてもらうぜ『雷龍皇』!」

 景色が控え室へと戻る。
 新たな仲間を得て、緋渡遊哉、いざ出陣!







 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel20
 『降臨!轟く雷龍皇』〜遊哉vsアギト1〜








 「さぁ、いよいよお待ち兼ねの決勝戦だ〜!!第1回『闘いの王国(バトル・キングダム)』の覇者は果たしてどちらか!?
  方や龍皇を従えし『ドラゴン・マスター』緋渡遊哉!対するは幻影の担い手『ヴィジョン・アサシン』アギト=アルツベイン!
  泣いても笑っても此れがラスト・デュエル!『闘いの王国』決勝戦、デュエルスタートォォォォォ!!!」





 「「デュエル!!」」


 遊哉:LP4000
 アギト:LP4000



 「俺の先攻、ドロー!俺の墓地にモンスターが存在しない時手札の『ガーディアン・エアトス』を特殊召喚出来る!」
 「その悪しき力、打ち砕きます!」
 ガーディアン・エアトス:ATK2500


 行き成りの☆8モンスター。
 遊哉は速攻型、そしてアギトもまた『ヴィジョン』を使った速攻型。
 此のデュエルは大型モンスターの召喚合戦となりそうだ。

 「魔法カード『レベル同調』を発動。エクストラデッキから自分フィールド上のモンスターと同じレベルのシンクロモンスター1体を選択し
  そのレベルと同じになるようにデッキからチューナーとチューナー以外のモンスターを墓地に送りモンスターをシンクロ召喚する!」

 「行き成りレベル8の龍皇か…良いよ、精々あがいて見せてよ?」

 「ほざいてろ!!俺はデッキからレベル4のチューナー、ハイパー・ドラグーンとレベル4のシャドウ・クロウを墓地に送ってチューニング!
  燃え盛る紅蓮の双眸、そして灼熱の牙よ、全てを焼き払い此処に降臨せよ!シンクロ召喚!烈火の化神『炎龍皇(えんりゅうおう)−アグニ』!!」
 「覚悟は良いか、愚かなる者よ!!」
 炎龍皇(えんりゅうおう)−アグニ:ATK2900



 「出たー!緋渡遊哉、行き成りエースモンスター『炎龍皇−アグニ』を召喚した〜!
  しかもチューナーにハイパー・ドラグーンを使った事で強化されての御登場だ〜〜!!!」


 「その通り。ハイパー・ドラグーンの効果によりアグニの攻守は500ポイントアップし戦闘耐性を得るぜ!」
 「ふむ…此れくらいでなくてはな。」
 炎龍皇−アグニ:ATK2900/DEF2100→ATK3400/DEF2600(戦闘破壊不可)


 「お得意の高速召喚が炸裂だ〜!このままデュエルの主導権を握るのか、緋渡遊哉!」


 「MCのおっさん、此れくらいで驚くなよな!今の俺はのっけから絶好調!
  魔法カード『皇の秘術〜召喚』を発動!俺のフィールドの『龍皇』1体を選択し、
  選択した龍皇と同じレベルになるようにデッキか墓地からドラゴン族モンスターを2体以上特殊召喚する。」

 遊哉の場の『龍皇』はレベル8のアグニ1体のみ。
 つまりレベル合計が8までドラゴンが現れる。

 「俺は墓地からチューナーの『ハイパー・ドラグーン』をデッキから『ヴォルケイノ・ドラゴン』を特殊召喚する!」
 ハイパー・ドラグーン:ATK1500
 ヴォルケイノ・ドラゴン:ATK1900


 「レベル合計8…氷龍皇までも呼ぶ気かい?」

 「残念だがハズレだ、見せてやるぜ俺の新たな仲間を!レベル4ヴォルケイノ・ドラゴンに、レベル4ハイパー・ドラグーンをチューニング!
  天空を翔ける金色の翼、轟く雷鳴の咆哮、虚空を打ち貫き此の地に降り立て!シンクロ召喚!迅雷の化神『雷龍皇(らいりゅうおう)−イズナ』!」
 「私の雷による裁きを受けるが良い!」
 雷龍皇(らいりゅうおう)−イズナ:ATK2800



 「なな何と〜!1ターン目にして2体目の『龍皇』が登場だ〜!
  しかも『雷龍皇』、始めてみる龍皇!一体どれほどの力を秘めているのか〜!?」



 「久しいですね炎龍皇…共に暴れようとしましょう!」

 「うむ!雷龍皇よ、御主も我と同様に強化されておる!手加減無しで行くぞ!」

 「マスターを勝利へ導く事こそが我等の使命。共に参りましょうアグニ、イズナ!」

 「期待には応えて見せますよ、エアトス殿!」
 雷龍皇−イズナ:ATK2800/DEF2200→ATK3300/DEF2700(戦闘破壊不可)


 「まだまだぁ!装備魔法『強者の闘気』をエアトスに装備。
  コイツはレベル8のモンスターにしか装備出来ないが、装備モンスターの攻守は500ポイントアップし戦闘耐性を与える!」
 「外道相手に手加減など無用です!」
 ガーディアン・エアトス:ATK2500/DEF2000→ATK3000/DEF2500(戦闘破壊不可)


 「カードを2枚伏せてターンエンドだ。」

 1ターンで☆8にして攻撃力3000オーバーのモンスターが3体!
 今までを上回る速攻召喚でペースを握るつもりらしい。

 「僕のターン…ふ、3体のモンスター、愚かだね。」

 「アトミック・ヴィジョンか?愚かはテメェの方だ!トラップ発動『皇の秘術〜練成』を発動!
  俺の場に『龍皇』が存在する時、互いのプレイヤーは手札を全て捨て、新たにデッキからカードを5枚ドローする!」

 「な、僕の戦術をあらかじめ読んでいたのか?」

 「此れだけのモンスターを前に全く怯まないんだ、何かしらの除去手段があると考えるのは普通だぜ。
  そんでお前の場合、自分のアドバンテージを確保するには『ヴィジョン』を使うだろうと思っただけだ。」

 「大した洞察力だよ緋渡遊哉…だが、僕も引きが良い。
  エクストラデッキより『鎧黒竜サイバー・ダーク・ドラゴン』を墓地へ送り、現れろ『ヴィジョン・サイバー・ダーク』!」
 「ギョワァァァァァ!」
 ヴィジョン・サイバー・ダーク:ATK1000


 「ヴィジョン・サイバー・ダークの効果発動。特殊召喚時、墓地のヴィジョンを装備できる。
  僕はお前のカードの効果で墓地に送られたアトミック・ヴィジョン・ドラゴンを装備。」

 墓地より引きずり出されたヴィジョンモンスターが禍々しい機械竜に装備される。

 「装備したモンスターの攻守分、ヴィジョン・サイバー・ダークの攻守が上場。アトミック・ヴィジョンの攻守5000が上乗せされる。」
 ヴィジョン・サイバー・ダーク:ATK&DEF1000→ATK&DEF6000


 「ヴィジョン・サイバー・ダークの効果はまだある。僕の墓地のモンスター1体に付き攻撃力が100ポイントアップ!」
 ヴィジョン・サイバー・ダーク:ATK6000→6400


 アギトも流石のもの。
 初手の目論見は崩れたものの、其の後は臨機応変に対処し攻撃力6400ものモンスターを出現させた。

 「バトル。ヴィジョン・サイバー・ダークでガーディアン・エアトスを攻撃!『ヴィジョン・ダークネス・バースト』!」

 「悪いが其れは通さねぇ!手札より『エナジー・アブソリュート』の効果を発動。
  俺が2000ポイント以上の戦闘ダメージを受ける時此のカードを手札から捨てることでダメージ0にし、その数値分のライフを回復するぜ!」
 遊哉:LP4000→7400


 「ふ、やるね。パワーデッキの直情馬鹿かと思ったらトリッキーな戦術も使うんだ。カードを2枚伏せてターンエンド。」

 「誰が直情馬鹿だ、根暗銀髪が。」

 デュエルもさることながら、舌戦も展開されている。
 このまま行くと遊哉からとんでもない『毒』が吐かれる可能性が…

 「お前みたいな奴は世のため人の為に4畳半のボロアパートの1室でカーテン締め切って1日中ネトゲでもしてろ引き篭もり乙!
  俺のターン!」

 凄まじい毒吐いた。
 妙に具体的だし。
 そして極めて普通にデュエルは進行してるし。


 「流石は緋渡遊哉〜!デュエルだけでなく、毒舌も絶好調だ〜!」



 「さてと、雷龍皇の力の一端を見せてやるよ!バトルだ!雷龍皇−イズナ、ヴィジョン・サイバー・ダークを攻撃!」

 「血迷ったか緋渡遊哉?攻撃力6400のヴィジョンに特攻だって?」

 如何考えても自爆特攻としか思えない無謀な攻撃だが…

 「お前、俺の話し聞いてなかったのか?雷龍皇の力を見せるといったはずだ!
  イズナの効果発動!コイツが攻撃する時相手フィールドの魔法罠カード1枚を破壊できる!
  そして、カードを破壊した後でダメージ計算を行うんだよ!装備されているアトミック・ヴィジョンを破壊『マナ・デストロイ』!」
 「フン!」



 ――ガシャァァン!



 「く…」
 ヴィジョン・サイバー・ダーク:ATK6400→1400


 「此れでイズナの攻撃力はヴィジョン・サイバー・ダークを上回った!吹き飛ばせイズナ!『ライトニング・インパクト』!」
 「我が雷で滅びなさい!」

 「そんな効果を持ってるとはね…トラップ発動『幻影障壁』!僕のフィールドのヴィジョンが戦闘を行う事によって発生するダメージを0にするよ。」

 此処は罠で防ぐ。
 無論モンスターは破壊されるが…

 「ヴィジョン・サイバー・ダークの効果発動。破壊された時永続罠扱いで僕のフィールドに留まる!」

 此れだ。
 たとえ破壊されようともフィールドに『幻影』として留まる此の力が厄介なのだ。

 「だが、此れでお前を守るモンスターは居ねぇ!!焼き尽くせアグニ!『インペリアル・ストライク・バスター』!」
 「滅せい、戯けが!!」


 強烈な炎がアギトを襲う。


 「ふ、矢張り君は直情馬鹿だな。カウンタートラップ『ヴィジョン・ミラー』!墓地のヴィジョン1体を除外し僕が受けるダメージを相手に跳ね返す。」

 カウンター炸裂。
 だが『絶好調』宜しく遊哉は其れを通さない。

 「甘ぇんだよ!カウンタートラップ『ドラゴン・ゲイン』発動!
  俺の場にドラゴンが存在する時にカード効果によるダメージが発生した場合その効果を『ライフを回復する効果』に変えるぜ!」
 「斯様な小細工なぞ、我が主には通用せぬわ!」

 「な、其処まで読んでるのか!?」



 遊哉:LP7400→10800



 「だ、だがダメージは与えられなくともヴィジョン・ミラーの効果自体は有効だ。
  僕の墓地のヴィジョン2体を永続罠で場に出す。幻影となりて現れろ『アトミック・ヴィジョン・ドラゴン』『ヴィジョン・レインボー』!」


 更なる幻影が現れる。
 だがしかし、此れで真にアギトを守るカードは無くなった事になる。

 「どうせコイツも『闇のゲーム』なんだろうが…テメェの策で自滅しやがれ!エアトス、あいつをぶっ飛ばせ!『フォビドゥン・ゴスペル』!」
 「喰らいなさい!」



 ――ゴバァァァ!



 「ぐあぁぁぁぁ!」
 アギト:LP4000→1000


 「カードを2枚セット…宣言してやるよアギト。」

 「く…何をだい?」

 「此のデュエル、お前には1ポイントたりとも俺のライフを削らせねぇ!」

 何とあろう事か『パーフェクト勝利宣言』!
 此れには流石のアギトも顔が引きつる。

 「闇のデュエルじゃなかったら1回戦の忍者君や十六夜が負ける事は無かったと俺が証明してやる!ターンエンド。」

 「パーフェクト勝利宣言だって…?調子に乗るなよ緋渡遊哉!僕のターン!」

 思わず声を荒げる。
 自分が最上のデュエリストと思っているアギトにとって遊哉の発言は逆鱗に触れたらしい。

 「僕は墓地の『ヴィジョン・デーモン』を除外し、ダークチューナー『ヴィジョン・バックギア』を特殊召喚。」
 「ギャギャギャ…」
 ヴィジョン・バックギアATK0


 「ダークチューナー?レベル12で攻守0のチューナーだと?」

 「流石に驚いたみたいだね…でも本当のお楽しみはこれからさ!『ヴィジョン・エッジ・ドラゴン』を召喚。」
 ヴィジョン・エッジ・ドラゴン:1800

 「チューナーと素材か…でもよぉ、そいつじゃモンスターのレベル合計が合わないぜ?」

 「君の言わんとすることは分かる。だがこれから行うのはシンクロ召喚じゃない…闇のシンクロ『ダーク・シンクロ』だ!」

 「ダーク・シンクロだと!?」

 「ダーク・シンクロは素材モンスターからダークチューナーのレベルを引いたレベルでチューニングを行うのさ。」

 未知のダーク・シンクロを説明する。

 「そして緋渡遊哉、此のモンスターは君にとって驚愕に値するモンスターになる。」

 「へぇ?」

 「くくく…見物だよ君の顔が如何歪むのかが!闇の龍皇を見せてやる!
  レベル4のヴィジョン・エッジ・ドラゴンにレベル12のヴィジョン・バックギアをダーク・チューニング!」


 シンクロ召喚とは違い、黒い球体が不気味に現れる。


 「世界に負の力宿りしとき、冥界の扉が開き漆黒の帳が落ちる。全てに等しく破滅を!ダーク・シンクロ!絶望を与えろ『凶龍皇(きょうりゅうおう)−マガキ』!」
 「ぐ…ギャァァァァァァ!!」
 凶龍皇−マガキ:ATK3000





 「なな何と〜アギトも『龍皇』を召喚した〜!其れも未知なるダークシンクロモンスター!
  驚愕のレベルマイナス8の禍々しいドラゴンだ〜!!」





 「レベルマイナス8、攻撃力3000の『凶龍皇』か…」

 「ツマラナイな…驚いてくれないのか?」

 リアクションの薄い遊哉にちょいと不機嫌になる。

 「驚くかよ紛いモンが!そいつが『龍皇』だと?笑わせんな!」

 自らが龍皇を操る遊哉が吼える。
 姿こそハッキリしないが、闇の龍皇とは既に会っているのだ、眼前の禍々しいドラゴンが『龍皇』であるはずが無い。

 「何処までも気に入らないよ緋渡遊哉。此の凶龍皇の力を見てもそんな事が言えるかどうか試してあげるよ。」

 「やってみるんだな!テメェみたいな糞野郎、何匹来ようと相手じゃないぜ!」

 共に吼え、デュエルリングには火花が飛び散るのであった。













  To Be Continued… 

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