小説『遊戯王 New Generation』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 ペガサスから新たなカードを受け取って早数日。
 此処『童実野中央スタジアム』では、

 「アグニをリリースし、現れろ『極炎龍皇−グレイス』!」
 「フム、此れが我の新しい力か…悪くない。」
 遊哉:LP2900
 極炎龍皇−グレイス:ATK3800


 「現れたかグレイス…さぁ来い緋渡!」
 遊星:LP3100
 スターダスト・ドラゴン:ATK3200(スターダスト・ウォリアー素材)


 新たに開発したエンジンと、デッキ調整の為に遊哉と遊星がライディングデュエルを行っていた。










 遊戯王デュエルモンスターズ New Generation Duel28
 『第2の機皇帝』










 遊哉と遊星にとっては調整のためのデュエルだが、そのタクティクスの高さから自然と観客は増えている。
 無論デュエル中の2人にそんな事は関係ない。

 「行くぜ遊星!極炎龍皇−グレイスでスターダストに攻撃、『アルティメット・ブレイズバスター』!」

 放たれた炎がスターダストを粉砕し遊星のライフを削り取る。

 「く、流石だな緋渡。」
 遊星:LP3100→2500


 「此れくらいはしなくちゃだろうが。ターンエンド!」

 「俺のターン。トラップ発動『ロスト・スター・ディセント』。墓地のターボ・ウォリアーを蘇らせる。」
 ターボ・ウォリアー:DEF1500→0    Lv6→5


 「チューナーモンスター『アサルト・シンクロン』を召喚。」
 アサルト・シンクロン:ATK900

 「レベル5と成ったターボ・ウォリアーにレベル3のアサルト・シンクロンをチューニング。
  集いし鼓動が、破壊の炎を巻き起こす、光射す道となれ!シンクロ召喚、滅ぼせ『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」
 「ガァァァァァ!」
 レッド・デーモンズ・ドラゴン:ATK3000


 ペガサスより渡された真紅の悪魔龍がその姿を現す。


 「アサルト・シンクロンを素材とした事で、レッド・デーモンズの攻撃力は400ポイントアップする。」
 レッド・デーモンズ・ドラゴン:ATK3000→3400


 「来たなレッド・デーモンズ。だが、強化しようとグレイスの攻撃力には及ばねぇぜ!?」

 「確かにこのままではレッド・デーモンズの攻撃力はグレイスには及ばない。だが、墓地の『スキル・サクセサー』の効果発動。
  墓地のこのカードを除外する事で俺の場のモンスター1体の攻撃力をエンドフェイズまで800ポイントアップさせる。」
 レッド・デーモンズ・ドラゴン:ATK3400→4200


 「グレイスの攻撃力を上回っただと!?」

 「バトル、レッド・デーモンズ・ドラゴンで極炎龍皇−グレイスを攻撃、『アブソリュート・パワーフォース』!」


 遊哉:LP2900→2500
 「やってくれるぜ。しっかーし、この瞬間グレイスの効果発動!
  グレイスが相手によってフィールドを離れたとき墓地のドラゴン族シンクロモンスターを2体まで復活させる。
  舞い戻れ『炎龍皇−アグニ』『邪龍皇−ヴァリアス』!」
 炎龍皇−アグニ:DEF2100
 邪龍皇−ヴァリアス:DEF2200


 「流石だな緋渡。だが、アサルト・シンクロンを素材にしたレベル8以上のシンクロモンスターはバトルフェイズ中に2回攻撃できる。
  行けレッド・デーモンズ・ドラゴン。アグニに攻撃、『灼熱のクリムゾン・ヘル・フレア』!」

 「そうは行くかよ!トラップ発動『飛竜の堅鱗殻(けんりんかく)』。俺の場の守備表示のドラゴン族が攻撃される場合、
  エンドフェイズまで攻撃対象になったドラゴンの守備力は相手の攻撃モンスターの攻撃力+1000ポイントの数値になる!」
 炎龍皇−アグニ:DEF2100→5200


 「守備力5200だと!?」

 「反射ダメージを受けてもらうぜ!」


 遊星:LP2500→1500
 「く…カウンターダメージは痛いが、この瞬間レッド・デーモンズの効果発動。
  相手の守備モンスターを攻撃した場合ダメージステップ終了後に相手の守備モンスターを全て破壊する。」

 「な、マジかよ!」

 「喰らえ『デモン・メテオ』!」
 「ゴォォォォォ!」


 降り注ぐ火球が遊哉のモンスターを全滅させる。

 「更にトラップ発動『破壊神の系譜』。レベル8以上のモンスターが相手の守備モンスターを破壊した場合、
  俺のフィールドのレベル8以上のモンスターはもう1度攻撃できる!」

 「うそだろぉぉぉぉ!?」

 「レッド・デーモンズ・ドラゴンで緋渡にダイレクトアタック、『アブソリュート・パワーフォース』!」

 「…どわぁぁぁ!!」
 遊哉:LP2500→0


 鮮やかな且つ怒涛の連続攻撃で今回は遊星の勝ち。

 で、D・ホイールは強制停止し、只今ピットエリア。


 「やられたぜ、まさか『破壊神の系譜』が伏せてあるとはな。手札にドラゴンが無かったのがきつかったぜ。
  レッド・デーモンズ組み込んだことでメインデッキの中にも攻撃的なカード増やしたみてぇだな?」

 「あぁ、レッド・デーモンズを召喚したら守備モンスターを出す事はできないからな、思い切って攻撃的なカードも増やしてみた。
  緋渡もデッキを調整したんだろ?以前よりも速攻に磨きが掛かっている。まさか龍皇を4ターン連続でシンクロしてくるとは思わなかったぞ?」

 …どうやらこのデュエル、調整と言いながら可也『ガチ』な戦いだったようだ。
 まぁ好敵手であり親友な2人にとって手加減など例え調整の為のデュエルであっても絶対にありえないのだが。


 「相変わらず凄いタクティクスだこと…何で当たり前のように毎ターンモンスターをシンクロ出来るんだろ…」
 「シンクロに特化していると言ってしまえば其れまでだけど…」
 「それ以上にあの2人はきっと世界の誰よりも己のデッキの力を引き出せるはずよ。其れこそ120%の力をね。」
 「まぁ、そうじゃなきゃ満足できねぇがな。俺達も負けてらんねぇ!」

 チームメイトの霧恵達も遊哉と遊星の抜きん出た実力には脱帽せざるを得ない。
 其れは興味本位で見ていたギャラリーもまた然り。

 そんな中、


 「いいデュエルだったぜ兄ちゃん。見てる方も思わず熱くなっちまうくらいにな。」

 厳つい大男が話しかけてきた。
 2m近い身の丈に、金髪の丸坊主と髭、そしてグラサンに革のライダージャケット。
 見た目の威圧感が半端無い…

 「俺はフレディってモンだ。ま、デュエリストの端くれよ。どうだい今勝った方の兄ちゃん、俺といっちょやらねぇか?」

 グラサンの下から好戦的かつ挑発的な視線が遊星に向けられる。
 無論其れを受けて黙っている遊星ではない。

 「良いだろう。そのデュエル受けて立つ。」

 「2連戦だぜ?行けんのかよ?」

 「大丈夫だ。其れに売られたデュエルを蹴るわけには行かないだろう?…デュエリストとして。」

 「だよな。」

 売られたデュエルは買うが礼儀。
 普段はクールに見える遊星も、デュエルとなれば熱くなる。

 「決まりだな。それじゃ、相手になってもらうぜ、『闘いの王国』の4強が1人不動遊星!」

 「!!知っていたのか…ならば尚の事負けられない!」

 こうして2人はスタート地点へ。








 ――――――








 「「ライディングデュエル、アクセラレーション!」」

 遊星:LP4000
 フレディ:LP4000


 シグナルグリーンと同時に2台のD・ホイールが一気に加速し第1コーナーへ突入する。

 「(エンジンの調子は最高だ、行ける!)先攻は貰う!」

 更に加速し、遊星が第1コーナーを制する。
 先程の遊哉とのデュエルで既にエンジンが温まっていたのも有るだろうが其れを差し引いても状態は最高。
 新型エンジンの調整は大成功のようだ。

 「俺のターン。『ロード・ランナー』を守備表示で召喚。」
 ロード・ランナー:DEF300

 「カードを1枚伏せてターンエンド。」

 先ずは守備固め。
 まぁ順当だろう。

 「俺のターン!」


 遊星:SC0→1
 フレディ:SC0→1


 「『ゼルス・コア』を守備表示で召喚!」
 ゼルス・コア:DEF0

 「カードを2枚伏せてターンエンド!」

 フレディは守備0のモンスターとカードが2枚。
 守備固めだろうか?だが、攻撃が可能になった遊星に守備固めはあまり意味を成さない。

 「俺のターン。」


 遊星:SC1→2
 フレディ:SC1→2


 「トラップ発動『シンクロンハンティング』。ライフを500払いデッキからシンクロンと名の付くモンスター1体を手札に加える。
  俺はジャンク・シンクロンを選択。そして手札のチューニング・サポーターを墓地へ送り『クイック・シンクロン』を特殊召喚。」
 遊星:LP4000→3500
 クイック・シンクロン:ATK700


 「更に『ジャンク・シンクロン』を通常召喚。」
 ジャンク・シンクロン:ATK1300


 「ジャンク・シンクロンの召喚に成功したとき墓地のレベル2以下のモンスターを守備表示で特殊召喚できる。チューニング・サポーターを特殊召喚。」
 チューニング・サポーター:DEF300


 「俺のフィールドにジャンクと名の付くモンスターが存在する時手札の『ジャンク・サーバント』を特殊召喚できる!」
 ジャンク・サーバント:ATK1500


 1ターンで自分のモンスターゾーンを埋め尽くした。
 攻勢に回った時の遊星は半端ではない。

 「レベル1のロード・ランナーにレベル5のクイック・シンクロンをチューニング。
  集いし絆が、新たな力を紡ぎだす。光射す道となれ!シンクロ召喚、轟け『ターボ・ウォリアー』!」
 「ファー!」
 ターボ・シンクロン:ATK2500

 更に、

 「レベル1、チューニング・サポーターとレベル4、ジャンク・サーバントにレベル3、ジャンク・シンクロンをチューニング。
  集いし闘志が、怒号の魔神を呼び覚ます。光射す道となれ!シンクロ召喚、粉砕せよ『ジャンク・デストロイヤー』!」
 「オォォォォォォォ!」
 ジャンク・デストロイヤー:ATK2600


 4本の腕を持ったモンスターがその姿を現す。
 僅か2ターン目で上級シンクロが2体、流石と言うべきだろう。

 「チューニング・サポーターの効果でデッキからカードを1枚ドロー。
  更にジャンク・デストロイヤーの効果発動。このカードのシンクロ召喚に成功したとき、
  このカードのシンクロ召喚に使用したチューナー以外のモンスターの数までフィールド上のカードを破壊できる。俺は2枚の伏せカードを破壊する!」

 「そいつにチェーンしてトラップカード『破壊の褒章』発動!俺の場のモンスター1体を破壊しデッキからカードを2枚ドローする。」

 「自分のモンスターを破壊だと?」

 「そうよ、俺はゼルス・コアを破壊しデッキからカードを2枚ドロー!更にこの瞬間ゼルス・コアの効果発動!
  ゼルス・コアがカード効果で破壊された時、俺の場のモンスターをすべて破壊しデッキ、手札から『機皇帝ゼリエル∞』!」
 機皇帝ゼリエル∞:ATK0

 「『ゼリエルT』」
 ゼリエルT:ATK600

 「『ゼリエルA』」
 ゼリエルA:ATK1400

 「『ゼリエルG』」
 ゼリエルG:DEF800

 「『ゼリエルC』を特殊召喚する!」
 ゼリエルC:ATK700


 「一気に5体のモンスターを揃えた…それに機皇帝だと!?まさかお前はファントムなのか?」

 「その通りよ!ファントムが1人フレディだ、覚えときな!」

 まさかのファントム。
 つまり遊星は相手の策略に乗せられた形になったわけだ。

 「お前が…何故だ?何故無差別にデュエリストを襲うようなこ事をする、お前達の目的は何だ!?」

 「目的?さぁな、詳しいこたぁ聞いてねぇ。だが俺は暴れられりゃ其れでいい。WRG1の優勝賞金1千万なんて紙切れにも興味はねぇ!
  それに、福沢諭吉って顔があんまり好みじゃないのよねぇ…あらやだもう地が出ちゃったわ♪」

 「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」


 突然の口調の変化…そして変貌に遊星は勿論、客席の遊哉達も絶句した。


 「やっぱりこの格好とキャラには無理があるわね、そぉれ♪」

 更に何を思ったのか着ている服を脱ぎ捨てた。
 そして現れたのはシルバーの袖なし全身タイツに身を包んだマッチョな大男…


 「「「へ、変態だぁぁぁぁぁ!!!」」」


 3人娘の叫びは御尤もである。
 誰が如何見たって此れは変態以外の何者でもない。


 「変態?嬉しいわね、最高の誉め言葉よ♪」

 そして自ら認めた。
 加えて、

 「うふふふ、遊星ちゃ〜ん…あたしが勝ったらちょっと付き合ってもらうわよ〜〜…」

 「い、一体何をするつもりなんだ…?」

 あまりの気持ち悪さに流石の遊星もドン引き状態である…

 「決まってるじゃない…あたしが勝ったら遊星ちゃんを『ピー』して『パー』して『ピーポロロ〜ン』した後『バキュ〜ン』で
  『ズギャ〜ン』の『ドッカーン』が、『ピンピロリ〜ン』に決まってるでしょう?」(余りに危険な発言の為、音声を修正してあります、ご了承下さい)

 顔を赤らめ、身体をくねらせて発せられたこの一言に、スタジアムの空気が死んだ。
 そして…


 「遊星逃げてぇぇぇ!!」
 「今すぐ離脱しなさい、逃げるのは恥じゃないわ!」
 「てかマジやべぇ!負けたら洒落になんねぇ!!」
 「どうしてもやるってんなら絶対勝て!負けたらこの先の人生満足できなくなるぞ!」

 「って、アキ何してんの?」
 「あの変態を抹殺してくるわ…物理的に…」(怒)
 「わ〜まって其れ洒落にならないから!」
 「幾ら変態だからって殺したら犯罪だよ!」


 客席では混乱が生じていた。

 だが、其処は遊星、例えドン引きしようともデュエルは投げ出さない。


 「…ならば俺はお前を倒すだけだ。デュエルは続行する!」



 「「「「「「「「マジか!?」」」」」」」」



 勿論驚いた。
 だが、変態は満足そうだ。

 「うふ、うふふふふ…そう来なくちゃ…いいわよ遊星ちゃん。それじゃあ機皇帝の力を見せてあ・げ・る♪
  さぁ合体しちゃいなさい機皇帝ゼリエルちゃ〜ん♪」

 掛け声と共に5体のモンスターが合体する。
 ついでにアキのサイコパワーが観客席の照明を破壊した…


 「こ・れ・が『機皇帝ゼリエル』よ〜。どう?ステキでしょう〜?」
 機皇帝ゼリエル:ATK3000


 現れた巨大ロボット。
 遊哉の時の機皇帝は人型だったが、こちらはどちらかと言うと四足の獣のような姿だ。


 「此れが機皇帝…」

 「さぁ、遊星ちゃ〜ん。じっくりたっぷり、ディ〜プに楽しみましょうね〜♪ぐふ、ぐふふふふふ…」


 此処に変態を相手取った、色んな意味で危険なデュエルが幕を開けた。
 因みに観客席では、また1つ照明が破損していたりする…


















  To Be Continued… 

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