真堂の自宅。
「ハァ……ハァ……ハァ……、アベルさん!」
体力があまりない真堂は家についたはいいが、目的のアベルの姿がどこにもいなかった。
そう、ディオラウスが言った仮説の意味は、アベル自信がなんらかの現状で、過去に多く敵を抱え込んでいたのではないかと、彼はその場で悟った。
そしてもしかしたらアベルはその敵から真堂一家を狙われないように、彼自信が姿を消してしまうと思い、戻った矢先にまったくそのとうりに行動していたのである。
そして真堂は―――
「ん……? これって?」
客間を通り過ぎたところ、一枚の紙が落ちているのを見つけ、その紙には一言「お世話になりました」と、書いてあった。それを見た真堂は愕然とし、顔半分をを片手で支えた後にとても切なく、むなしい気持ちになり始めた。
「そんな……俺ら、迷惑なんて思ってないのに……、帰る場所も無いくせにどうやって生きていくんだよ! 辛い人生を自分一人で背負い込むなんて、そんなの……悲しすぎる!」
出会ったその日から、少年はできるだけ青年を助ける事と心に決めていた。
同情や人道でもない―――
ただ、少年は知っていたのだ―――
あの『911』で、人間は一人では生きてはいけない―――
もろく壊れやすい生き物だという事を―――
少年はその日に決めた。いつの日か、あの風と共に去った青年を救うと―――
それが、かつて人生を復讐の為に身を捧げた者だとしても―――