小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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外に連れ込まれると、外で待っていたと思われる人物を見て、真堂は絶句したと同時に驚かせた。なぜならその人物は、3日前に真堂達を襲ったアシュレイだったのである。

「この前はお世話になりました」

まるで3日前が忘れたかのように、アシュレイは真堂に礼儀正しく挨拶をした。

「なんで……まさか……俺達を!」

「殺しに来た―――それは山々なんだけどさ。今日はそんなことをしに来たわけじゃないんだ」

「え……?」

それを聞いて安心した。とはいかず、目の前に変な超能力を使って、冷徹に人を殺す奴がいる時点で全く安心できなかった

「実はさ、君と一緒にいた真剣白刃取りの男に、僕達は用があるんだ」

「真剣白刃取りの男……まさか、アベルさんを殺しに!」

「アベル?」

(しまった!)

真堂が真剣白刃取りの男と聞いて、つい口が滑ってしまったその時だった。

『本当にいたんだ。『存在しない英雄』が……』

(え……また……)

また中途半端に発動した謎の能力に、真堂はアベルについて新たな謎が浮かび上がってきた。

「アベルねえ……なるほど。それさえ聞ければいいや、行くよアシュレイ」

 「は」

「ま、まって!」

「ん〜?」

名前を聞いただけで納得したディオラウスは、すぐにアシュレイと一緒に立ち去ろうとすると、余計に怪しく思えたのか真堂はそれを止めた。

「二つ聞きたい事がある」

「なに?」

この際だと思って敵の目の前で、全ての疑問をぶちまける事に真堂は覚悟を決めた。

「アシュレイって言ったっけ? 4月15日に人気のない駐車場で俺とジョニーさんを襲った(第一話参照)のは、お前なのか……」

「いいえ、なんのことなのかさっぱりわかりませんね。なにより私はその日、日本にはいませんでした」

(それじゃあ……あの大剣は?)

 真堂の問いアシュレイは答えたが、それは空振りに終わらせる内容だった。

「彼になにかしたのかいアシュレイ」

「いいえ、全くなんのことやら」

それを聞いたディオは茶化すように、自らの従者にありもしないことを問うが、それは事実上全くなにも知らないことだった。

「それで、もう一つ目は?」

この場からすぐに立ち去りたかったディオラウスは、少し話を急かした。

「それは……『存在しない英雄』ってなんだ……?」

「!×2」

「一体アベルさんとどう関係あるんだ……」

二人は今の言葉に耳を疑ったかのように、面食らった表情を浮かべた。そして―――

「プッ、クハハハ! そうか僕の思考読んだんだね、そうかそうかそんなに―――死にたいんだ君」

「うっ!」

殺意を込めた冷たい眼差しで、真堂は後退りし無駄な防御体制に入る。

「……まあいいや、じゃあ一つだけ確かな事を教えてあげるよ」

「え?」


「もし君が、幾人の厄介な敵に狙われている日常を送ってる場合、君は今の家族と一緒に居られると思うかい?」

「それって……ま、まさか!」

ディオラウスの仮説の真相を悟った真堂は、教会を後にしてすぐさま全速力で自宅に向かった。その後、ディオラウスは―――

「行っちゃった。例えだけで分かったんだ」

「ディオ様。急がなければ飛行機のお時間が」

「そうだね、に帰ろうかアシュレイ。僕達の組織『元老院』に―――」

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