小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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第二章 月に抗う氷結の美女と運命に抗う銀髪の聖女


第二話 百合の令嬢と眠れる巨人


崇妻家―――現在からおよそ1000年に渡る長い歴史と伝統を誇る富豪と異能の家系。その誕生は崇妻家の史書とされている『崇妻平安創家伝』によって記されている。

西暦921年。薬草積みを趣味とした農民の男性と、アジア大陸一の大妖怪を父に持つ女性の間に産まれた娘が、若くして富と権力を得たことから誕生した。

 その要因となったのは平安時代に初代当主が、官職である陰陽師の道を歩んだことにある。当時の彼女の活躍は朝廷や貴族(公卿)達の信頼が厚く、その事跡は神秘化されていた。

 中にはあの最強の陰陽師である『安倍晴明(あべのせいめい)』にも負けないくらい、数多くの伝説を生んでいく。

 陰陽寮内(事務所)での彼女(初代当主)の評判は、独特の美貌を持った容姿をしてた事で、一種のマドンナ的な存在であり、『安倍晴明』以外の多くの男性を虜にし、幾度か交わったという。

 それから権威の拡大と同時に、ある二人の養子を持つようになり、その後独立してある有力な二つの名家を取り入れ、分家として配下に持つようになった。この二つの分家は後に『崇妻家の双璧』と呼ばれ、どれも優れた才能に恵まれた家系だったのことで、これを契機に『崇妻家』の発展を大きく促進させた。

 そのことでついに公卿(くぎょう)にまで上り詰め、以後1000年以上の家名を日本国内に轟かせた。

 そして明治に入って官職から企業経営に移転し、初期とは関わらず、わずか短期間で『三井・三菱・住友・安田』の同等に有する財閥に育て上げた。

 さらに時がたってから、『第二次世界大戦』終結後。戦後の復興に取り組んだことで財閥から財団に切り替え、『高度経済成長期』には爆発的な発展に恵まれ、現在に至る大企業になった。

だが異能の家系でありながら人外という噂があるが、はたしてその正体は―――

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