第二章 月に抗う氷結の美女と運命に抗う銀髪の聖女
最終話 犠牲から生まれた力
『彼』に恋をする前の『私』の心は常に冷えきっていた。
さらに地元の北風に長く当たっていたせいもあって、かなり凍り付いてもいた……。
しかもそれと同じくして『私』は憂鬱にもなってもいた。
正直そういう心の病は個人的に厄介なだけで、ただでさえ日常では嫌気が差すほどの暇をもて余し、充実感に大きく欠ける人生を歩んでもいた。
そのことでかなり頂点までしんどくなると「ふざけないでよ!」と、『私』に生をくださった主(神)に文句の一つや二つ言いたい時もあったわ……。
だけどそんな最中、祖父が急に亡くなったのをきっかけに『私』は、『彼』に出会った。
出会った最初はなれないことばかりで混乱したけど、いざ付き合い始めたら、『彼』は春に差すお陽様のように、『私』の心に張り巡らしていた氷を溶かしてくれた。
あの時、『彼』と出会った瞬間に決まっていたのかもしれない―――
この終わりを―――
この運命(さだめ)を……受け入れ…………ること……しか……な……い……と―――
―――とある『氷結の美女』の独り言―――