小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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『彼に恋をする前の私の心は―――』

そのことで『月に抗った氷結の美女の独り言』という幻聴、つまりは美麻自信のわずかな真相心理が、困惑する真堂の脳裏に叩き込まれることとなった。真堂の能力の一部が勝手に発動したのだ。

「あ〜らら、死んじゃったの〜? 殺してからゆっくり味わおうとしたのに。まあ家畜しちゃあバカみてえな死に様じゃん。ケタケタケタケタ!」

のんきに美麻の死に対してあざわらうハープメイ。

「………」

美麻の思いが全てを知ったと同時に、彼女の命が絶たれたことを知った真堂は夜空を見上げる。
そして幻聴を聞こえる中で少年にある異変が―――

『私やあの人は自分だけの家族が欲しかったのかもしれない―――』

「あ……」

『家は湘南のどっかに建てて、子供を産むんだったら男の子と女の子が二人―――』

「ああ……」

『李玖くんを入れて5人だから、いつも兄弟や夫婦が仲良く暮らせるような家庭を築きたかった―――』

「あああ……」

『でも陽一はもういない。残ったのはあの人の『生きた証』である李玖くんだけ―――』

「ああああ……」

『私は彼が亡くなってから李玖くんを……、あの子を命に替えても支え守っていくことを決めた。悔なんてない。だって私はあの子の為に死ねたんだから―――』

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