「―――ハアアアアアアアアァァァァァァァァー!×2」
その火蓋を切る合図は、互いの剣幕がぶつかり合うような叫び声―――
近接戦闘しかできない真堂はハープメイに急接近し始める。
「しゃらくせえェーっ!」
一方でそれに対し、片手を上げてから指を鳴らしハープメイ。周囲に展開した数千本の『針状の煙』が、わずかな空気抵抗に従う義理すら感じさせない勢いで、突撃しつつある真堂に襲いかかる。
そのことで真堂は両腕で顔を隠し、防御の構えを見せたが―――
「ウラアァー!」
それとは全く違い、密集するかのように真堂を集中的に襲った針状の煙達は、さらに体を発光させた彼の謎の能力によって全て凪ぎ払われた。
「ケタケタッ! 面白れぇー!」
唯一の最大の武器が真堂にきかないことを悟り、ハープメイは覚悟を決めたうえでかなり好戦的になる。
そして敵に突撃する少年は、この闘いの終着点を報せを―――
「貫けえええぇぇぇー!」
―――叫ぶ!
攻撃は与え合ってから終え、一瞬すれ違ったように見える。
だがこの時点で決着はすでについていた。
「う……ぐ……!」
真堂は片方の脇腹を横半分までハープメイの鋭い爪で切り裂かれ、地面に膝ま付いてからわずかに吐血する。
裂傷だけでまだ生きていた。
一方ハープメイは―――
「ケタ……ケータケタケタケタ……―――」
攻撃をし終えていつもの奇妙な高笑いをするが、足並みが段々とぎこちなくなっていく。
「ケ……ダ……ば、バカ……なぁ……―――」
そんな中、名残惜しいようなことを口走る直後に、憑依していた肉体もろともに消滅。あの一瞬でハープメイは心臓を貫かれていたのだ。
後は人骨だけ残り、結果としてはハープメイの敗北に終わり、真堂李玖が勝利したのだ。
「勝っ……た……」
決定的な勝利に浸る前に、唐突に白目を向いて倒れる。謎の能力を解かれたことで肉体にかかる反動が、はかりしれないものだったからである。
その時、真堂は夢か幻聴か、脳裏に大切な人間の声が響く―――