小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

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月明かりに照らされた教会の中には、幻想的な空間を漂わせる。そんな中、思わず腰を抜かした真堂は、突然現れた目の前の現実が信じられなかった。

それは今目の前にある、イエス・キリストのブロンズ像の中に、とてつもない秘密が隠されていることが分かったから―――

ただ、そこえ向かっただけなのに―――

逃れることはできなかった―――

現実という名の―――

神の―――

出会いに―――

その信じられない秘密とは―――イエス・キリストの顔が欠けたところに、人間の顔が見えていた。つまりは十字架に貼り付けにされたイエス・キリストのブロンズ像の中に、生身の人間が入っていたからである。

ピシ……ピシピシ……ピシピシピシ―――ガシャーン!

「―――わあ!」

しばらくたった後、イエス・キリストのブロンズ像に、徐々に入っていたヒビがすぐに浸蝕し始め、もろいガラス細工のように砕け散った。
それと同時にまるで長い牢獄に解放され、中に入ってた人間が倒れ込むように真堂の目の前に落ちた。

「どわあっ!」

突然の出来事に混乱し始めた真堂は、すぐにこの状況にどう対応するべきか考えた。

「えーとえ〜と……よしっ! まず生きているかどうか調べよう!」

真堂はさっきまで、ブロンズ像の中に入っていた人間の全身をよく見たところ。ボロボロの黒いスーツを着ていて、髪型は腰にまでとどく長い髪に、顔は二十代前後の青年。体格は長身で袖をめくり、異様なほどの筋肉質でかなりやせ細っている。
見た目からして、とても生きているとは言えなかったが、真堂がその青年の口元に手を飾してみると―――

 「……スーハー……スーハー」

 驚いたことにちゃんと呼吸をしていた。

「い、生きてる!」

この時、真堂はこの青年との出会いによって、新たなる人生の一変と試練の扉が今開かれたのであった。

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