小説『ラグナロクゼロ(シーズン1〜2)』
作者:デニス()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

第一章 黄昏の瞳を持つ少年と長髪の均衡者


第四話 白き刺客と無能者の覚醒


かつてこの世に『天使』は存在した。各書物を探してみて、その存在を記されている書物は『創世記』、『民数記』、『ヨベル書』、『第一エノク書』の四つある。
まず最初は『創世記』第6章1〜4節。地上に人が増え始め、女性が生まれグリゴリと言われる神の子らがその美しさに見惚れ、それぞれ選んだ者を妻にした。そしてその間に生まれたのが存在したという天使(あくまでハーフ)だという。
それから数世紀に渡ってから生存が書かれている『民数記』第13章32〜33節。カナンといわれる地で偵察していたイスラエルの一隊が、「そこに住む民は巨人であり、人間の間に生まれた天使である。彼らアナク人はその天使の出だ」とモーセに証言する場面がある。
そしてその天使は黒い歴史を刻んだ事が書かれた『ヨベル書』第7章21〜23節。巨人達が人間の女性をめとり、そこからその天使が生まれたとされる。天使は「みな仲たがいをして共食いをし、お互いを殺しあった」と記され、この箇所では天使の名称はエルバハ、ネピル、エルヨの三種類あり、これらの言語は巨人を意味している。
最後は体長が記されている『第一エノク書』第7章。巨人の体長は3000キュビット(約1350m)もあり、人間達の食物を食べつくした後に共食いを行ったという。
これらに記されているように、みな現実に起こった事だとは思う。ただこの存在した天使は大昔に名高い英雄達であり、様々な悪業を行った者達でもあって、先祖はノアの大洪水に絶滅しかけたといわれている。
その実在したという天使と人間の間で生まれ、それゆえに神に見捨てられた者達の本当の名は―――

-63-
Copyright ©デニス All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える