小説『FAIRY TAIL 天候魔法の眠り姫』
作者:唯野歩風呂()

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九、ルーシィ頑張る





 「いやーっ離してよ変態!」

 「ウッホ!」

 「キャァ!」


 力の限り暴れると、氷の地面に放り出された。
 周りを見渡すと氷の洞窟のようで、あの場所から上ってきたことから、山頂付近のヴァルカンの住処なのだろう。


 「おんな、おんな、ウッホッホ〜」

 「イタタタッ。このエロ猿、見てなさいよぉ」


 恐らく、助けは期待できない。
 頼りのナツは、レーナの無差別魔法の餌食になって期待できないし、レーナの天候魔法は強力だけど、ここで発動されたら、命に係わる。

 むしろ来てほしくない。


 「あたしだってやるんだから!『開け 金牛宮の扉 タウロス』!!」


 雄叫びを上げて現れたのはビキニパンツを穿いた二足歩行の牛。
 その背には大きな斧が背負われている。

 タウロスは呼び出したルーシィを見ると――


 「……ルーシィさん、相変わらずナイスバディ。モ〜素敵です!」


 と目をハートにして言い放った。


 「そうだ、こいつもエロかった……。えぇい、もう!タウロス、あいつをやっちゃって!!」

 「モ〜ッ!お任せあれ!!」


 そういうとタウロスは背中の斧を手に持ち、振り下ろす。
 すると地面が割れ、ヴァルカンへと延びる。

 しかし、ヴァルカンはそれをやすやすと避けると、素早い動きでタウロスへと迫る。


 「速い!」

 「っ!?」


 タウロスはヴァルカンの攻撃を迎え撃とうとし、


 「オラァ!!」

 「ナツ!?」


 復活したナツに蹴り飛ばされた。


 タウロスは吹っ飛び、地面に伸びた。

 もう駄目っぽい。


 「弱ぁっ!」

 「おい、なんか怪物増えてんじゃねぇか?」

 「味方よ、味方!星霊よ!」

 「猿が?」

 「牛の方!!っていうかあんた、よく生きてたわね」

 「まぁ、レーナの無差別攻撃には昔から慣れっこだからな……ははっ」


 何故だろう。この時のナツが影を背負った大人に見えた。


 「くっ……察するわ。――ところで、どうしてここが?」

 「俺の鼻はよく利くんだ。レーナの雷で雪が止んでたし、匂いを追ってこれた」

 「まるで犬だね」

 「そうね…………って、レーナ!?」


 気づいたら洞窟の入り口にハッピーに抱えられたレーナが眠そうな顔をしてそこにいた。


 「やっほー、ルーシィ。……よく寝てる?」

 「えぇ。生きて――って!何で『よく寝てる?』なの!?普通そこは『生きてる?』とか『無事?』とかでしょ!!」

 「えーっ、だって生きてるのも無事なのも見れば分かるし……そしたら、あと一つしか――」

 「もっとあるわよ!」

 「……ぐー」

 「ね・る・なぁぁあああああ!!」


 ルーシィはレーナの襟首をつかみ、ガクガクと揺さぶる。


 「ルーシィ、さっきから怒ってばっかり。やっぱり睡眠不足からくるイライラなんじゃない?」

 「だから違うぅっ!!」







 ※※※※※※※※※※







 ルーシィが騒いでいる間、実はヴァルカンとナツのバトルが進んでいたりしていた。


 「俺はマカオを連れて帰るんだぁああああああ!!」


 ナツの炎をまとった拳がヴァルカンを吹っ飛ばすも、ヴァルカンはすぐに体制をお建て直し、衝撃で折れて落ちてきたつららを吹き飛ばす。

 ルーシィは飛んできたつららを何とか避けた。
 ナツは直撃だったが、「火にはそんなもん効かぁぁん!」とノーダメージ。


 「あ、レーナは!?」

 「ここだよー」


 見上げると、ハッピーが寝ているレーナを抱えて飛んでいた。


 「超お荷物!何で起きないの!?」

 「すぴー」


 レーナはとても幸せそうに寝ていた。
 そう、憎たらしいほどに。


 土埃が晴れ、だんだん視界がよくなってきた。
 目をこらし、ヴァルカンを見ると――。


 「ウッホ」


 手には巨大な斧が握られていた。




〜あとがき〜

なんだかルーシィに殺意もたれまくりのレーナ。
でも、しょうがないんです。
それが、ボケとツッコミだから…………。(なんてね)



-9-
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