小説『IS〜ただ一発の魔弾として〜』
作者:ディアズ・R()

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第十話

モニタールームにたどり着いたら、先生に叩かれた。
縦は痛いです。

「今回の事は無かったことにしてやる」
「つまり、唯の緘口令ですよね?」

このブラコン。

ガスッ!

「そうだ」

どっちに反応してそうだと言ったのかによって、これからの接し方を考えねばなりませんね。
とりあえず、ブラコンと仮定して言い訳しましょう。

「……言っておきますけど、私がキスしたわけじゃないですからね?」
「ほう。なら誰だ?」

気になるんだ。
やっぱりブラコンだ。
織斑先生は、出席簿を握り締めた。

バキッ!

出席簿が、砕けただと!?
……砕いていいのかね?

「二重人格というやつです」

まあ、私死にたくありませんから。

「なるほどな……まあ、いい。今回の事、誰にも言うなよ」
「了解です。帰って良いですか?」
「うむ」

と言う訳で帰ります。
ドアを開けて帰ろうとしたら、ドアの向こうから人の気配がした。

「ちょっと待った!」
「少し待て!」
「お待ちになってください!」
「待ちなさい!」

四名の少年少女が、モニタールームに飛び込む様に入ってくる。

「……説明面倒なんで、ブッ放していいですよね?」
「それはやめろ……ヤるなら教師のいないところでやれ」
「残念です」

二人が物騒な会話をしている間にも、四人は詰め寄ってくる。
先生はすでに退避済み。

「ユラ!そ、その、あ、あれはどういう意味なんだ!!」
「いきなりあんな、は、破廉恥な事をしてどういうつもりだ!!」
「あのISは何なのですか!?」
「アンタ何者よ!!」

私、聖徳太子じゃないので同時に言われても……複数の声を聞くのって、聖徳太子でしたよね?
思考分割とか並列思考すればいいんでしょうが、この程度のことに使うのは……適当に誤魔化しましょう。
そうしよう。

「秘密ということにしておいてください」

誤魔化せてませんね。
とりあえず、織斑先生の一声で今日は解散になった。
緘口令もちゃんとしかれた。
なので、一般生徒の傍にいれば、聞かれないということですね。
……普通に部屋に押し掛けて来そうで、嫌なのですが。


◇◇◇◇◇


あの日から何日かたったある日。
時計は、五時をさしている。
朝の、五時。
……眠い。
起こしていた体をパタリと倒す。

「Zzz……もう、食べられませんよ〜えへへ〜」

涎を垂らしながら、もう一眠り。


◇◇◇◇◇


ピーナッツ。
ピーナッツバター。
ピーナッツクリーム。
涎が、止まりません。

「もぐもぐ」

そろそろ行かないと、遅刻しそうです。

(今日は転校生が来るそうです)
「はむはむ、転校生?」
(はい。書類上はフランスの男性とドイツの女性の二人だそうです。両方代表候補生で、マスターのクラスに入るようです)
「代表候補生ってなんでしたっけ?」
(……)

無視されました。
AIが冷たい……アツいよりはマシですね。
電気水道ガスを確認して、部屋を出た。


◇◇◇◇◇


「転校生を紹介する」

織斑先生のその言葉で、二人の人が入ってくる。
最初に自己紹介したのは、何故か男の服を着た女子。
男装が趣味なんでしょうか?

「フランスから来ました、シャルル・デュノアです。こちらに僕と同じ境遇の男子がいると聞いて、入学を決めました。これからよろしくお願いします」

とりあえず、金髪さんだ〜
私も、昔は金髪に憧れました。
手入れがめんどそうなので、すぐにどうでも良くなりましたが。

『……き』

あ、なんかやばそう。
耳を塞いで伏せる。
いちのき君が、疑問の視線を向けてくる。
視線で塞いでおく様に言っておいた。

『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

大音量の黄色い悲鳴。
正直うるさい。

「ぐぅ、耳が……」

いったんはギリギリ塞げた様だが、塞ぎ方が甘かったようで少し被害を受けていた。

「男!また男!しかも守ってあげたくなる系!」
「僕っ子キター!」
「お母さん!このクラスになるよう生んでくれてありがとう!!」
「踏み付けて蔑んだ目で罵って下さい!」
「……あんた、それは」

楽しそうですね〜
そう言えば、掃除さんとセクストゥムさんは、私が耳を塞いだ時に同じ様に耳を塞いでいて被害無しだった。
でも……

「女ですよね」
「そうなのかユラ?」

小声で呟いたのに、いーさんが反応した。
盗み聞きとは、気持ち悪い。
……なんでこんなにイライラしてるんでしょう?
とりあえず、なぜ女性と判断するか懇切丁寧に教えてあげます。

「歩き方、声の響き、小さな仕草、目線、姿勢、髪艶、肌から見て間違いなく女です。胸は、サラシか何かで押さえているのだと思います」
「へ〜よくわかるな」
「そう言うー夏君は気をつけた方が良いですよ?」
「なんでだ?それと、一夏な。文章にすればわかんないだろうけど、聞く分には全然違うからな?」
「失礼。壱榎君は、あの人がお風呂に入っていてシャンプーが切れていたのを思い出し脱衣所に入った時に全裸の女体を見てしまう、なんて事が起こりそうです」
「はは、何でそんな具体的なんだよ。あるわけ無いだろ、そんなこと」

だといいですけど。
もう一人の転校生が、織斑先生と何か話して自己紹介を始める。

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

ドイツの女性の様だ。
銀髪の刺々しい雰囲気の改造制服を着た軍人っぽい人。
ちなみに、私の制服も改造済みです!
長袖の上着と膝あたりまであるスカート。
見た目はシンプルだが、冬は暖かく夏は涼しい特殊素材なのですよ。
内側はモコモコしていて、着心地最高ですから。
そんなことを考えていたら、ラウィッヒさんがないくんに近寄ってくる。

「貴様が!」

叩かれるんだろうな〜と思って見ていた。
理不尽に叩かれるのはかわいそうなので、先にハリセンで叩いた。

バシンッ!

「イタ!?いきなりなんだ!?」
「理不尽から守りました」
「今の理不尽じゃないのか!?」
「……フン」

興醒めしたのか、特に何も言わずに空いてる席に座ったラグナロクさん。
目には目を、歯には歯を、理不尽には理不尽を……私は正しい。

「ところで、あいつは何で俺の前に来たんだ?」
「さぁ?ー君が昔何かしたんじゃないんですか?例えば、憧れの人の活躍を邪魔したとか」
「ん〜ドイツに知り合いはいなんだけどな……あ、千冬姉がドイツ行ってたっけ」
「とりあえず、夜道には気をつけておいた方がよさそうですよ」
「流石にそれは……ない、よな?」

途中まで笑顔で話していたおりむーの笑顔が凍ったところで、会話を終了する。
焦りだして騒ぐが、織斑先生にいろんな意味でしずめられた。
愚かな。


◇◇◇◇◇


今日は、外で実習。
セクシーさんと炭さんが、織斑先生に怒られた。
やまぽん先生に人名通くんが、セクハラした。
セプニュさんとコンコンさんが、YAMADA先生にボッコされてる。

「アサルトライフル、ですか……」

この火薬の匂いを嗅ぐと、身体が火照り、ニヤついてしまいます。
あぁ、ヤリたい。

(マスター。落ち着いてください)
「ハッ!私は何を!」

危ない所でしたね。
もう少しで、全員まとめて吹き飛ばす所でした。

「山田先生強いな〜」
「そうですね〜」
「……だらけ過ぎだ」

星神さんに注意されてしまいました。
のほほんさん、慰めて!
のほほんさんの胸に飛び込む。

「お〜よしよし」
「ふにゃ〜」

頭をナデナデされた。
するのもいいけど、されるのもいい……
のほほんさんの胸〜

「こっちのユラは、男に興味無いのかな?」
「……ふん。そんなにユラに構って欲しいのか、一夏?」
「え?いや、そう言う訳じゃないけど……」

カップル二人がなにやらイチャついているので、私ものほほんさんとイチャつく。
良いではないか良いではないか!

「そこはダメだよ〜……ひゃう!ん、ふぁ…ソコ、だ、め……んぁ」
「のほほんさん可愛い〜♪もっと苛めたくなっちゃう♪」

のほほんさんの胸を重点的に、サワサワする。
ねっとり、たっぷり、隅々まで、のほほんさんの身体を堪能させてもらいます!

「……お前等」

怒気の篭った御声がかかる。
私、異地嫁(いちか)君、補兎鬼(ほうき)さん、のほほんさんの四人が、停止する。
ゆっくりと、声の主に顔を向ける四人。
其処には、出席簿を持った阿修羅がいた。

「少し黙ってろ」

カッ!!

一瞬光ったと思ったら、気絶していた。
教訓。
教師の前で、喋らない。
教師の前で、遊ばない。
セクハラは、やめましょう。


◇◇◇◇◇


いろいろあったが、授業が再開する。
クラスメイト全員が男子と男装女子に迫り、織斑先生に叩かれていた。
そして、専用機持ちが教える側になるらしい。
この学園で、私の専用機を知っているのは教師陣と庵君、ほーきさん、セツナさん、キョンシーさんぐらいなので、教師二人に挟まれながら見学。
見てる限り、滞りなく進んでいる。
ラッパさんの所が、遅れている。
織斑先生が、「何とかしろ」と目で語ってきたので、「遠慮します」と返しておいた。
観察してると、のほほんさんがいた。

「今すぐ行きます!」

私は走り出す。
後ろから溜息が聞こえたが、聞かなかったことにした。
のほほんさんにダイプ。
倒れない勢いを計算して、のほほんさんの胸に飛び込む。

「うは〜」
「みーちゃん危ないよ〜」
「良いではないですか〜良いではないですか〜」

この台詞、さっきも言った気がしますが気にしないでおきましょう。

「……お前は、たしか」

ん?誰ですかこの人?
のほほんさんの胸の感触を楽しんでいる時に、銀髪さんがなにやら呟く。
この人、寝る時は全裸ですね。
間違いありません。

「ここの班が遅れているようなので、手伝いに来ました」
「ふん。なら、後はお前がやれ」
「ヤ、ヤレだなんて、確かにのほほんさんとなら……むしろ喜んで!」
「……付き合ってられんな」

そう言って、織斑先生の方に歩いていく、確かラグナロク・ブラスターさん。
任されたと言う事ですね。
のほほんさんは任されました!

「さぁ、のほほんさん!めくるめく快楽の世界へ!」
「あ〜れ〜」

私とのほほんさんの服を脱衣しようとしたら、クラスメイトに全力で止められた。
残念です。
……なんで、こんなに発情してるんでしょう?
部屋に戻って、頭でも冷やしましょう。

この時、どこかで時間を潰さなかった事を後悔するとは、思いもしなかった。





のほほんさんともっとニャンニャンしたい♪

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