第十一話
ハート・バイ・ハート〜それは世界の心〜(注・振らないでください)。
アニメとかの題名ではありません。
缶の飲み物です。
いつぞやの自販機で、冒険してみました。
これは炭酸なのでしょうか?
でも、それらしい表記は無いです。
飲めば分かりますかね?
缶の蓋を開け、一口。
部屋の扉も同時に開ける。
「ユラの予想通りだった!!」
「ぶぅぅぅぅぅ!!!」
あまりの不味さに吹いてしまいました。
おーくんの顔に。
ちなみに炭酸じゃありませんでした。
「……酷くね?」
「臭いので近づかない様に。それで、私は何か予想しましたか?」
予想なんてしましたっけ?
はっきり言って記憶にありません。
それと臭いです。
「えっと、覗いちゃった♪」
「良かったですね、ひと夏のアバンチュール君」
「名前ですらない!?」
覗いたのがのほほんさんの着替えなら、その目玉を抉り出します。
私も見たいです。
特に下半身。
やっぱり全身。
「えっと、一夏。ホントに、魅神さんは大丈夫なの?」
「あぁ、ユラは見た瞬間に見抜いてたぞ?」
何故シャラララーンさんが私の部屋に!?
……なんか、名前が名前で無くなってきてます。
どうでもいいですね。
「シャハさん。私の部屋に何か御用ですか?イチャつくなら、御自分の部屋でどうぞ。ついでにこれあげます、ー君」
「とうとう君しか聞こえなくなったな。ありがとう」
「あ、あはは」
◇◇◇◇◇
何があったか話を聞いた。
シャナさんが先に戻って、シャワーを浴びる。
ワンサマー君が部屋に戻り、シャンプーが無い事に気が付いた。
シャンプーを渡しに脱衣所に行ったら、ご対面。
そして、今に至る。
「帰ってもらえます?」
何故私の部屋に来たんです?
面倒です。
「もうちょっといいだろ?あ、これ結構逝けるな。なんか世界が回ってる」
「それ、ホントに大丈夫?」
村君が、ヘラヘラしながら焦点の合わない瞳で天井を見上げている。
そんな彼を心配そうに見ている乙女一名。
とりあえず、帰って欲しいです。
「か・え・れ。か・え・れ。か・え・れ。か・え・れ。か・え・れ」
「普段迷惑かけてるひ、ヒュラのお願いをきかにゃいわけにはいかないにょ!帰るじょ、ハル!」
「……そうだね。もう、休もうか。肩貸すよ一夏」
酔っ払いと哀愁漂う後ろ姿の二人が、肩を組みながら去っていった。
なにか、重要なフラグを叩き折った気がします!
……フラグって何でしたっけ?
そういえば、アリスの集めた情報にシューベルトさんが何処かの企業に関係していたような……どうでもいいですか。
◇◇◇◇◇
壱夏君とショルさんと一緒に、アリーナに向かっている。
学年別トーナメントのルールが変更され、二人組での参加が必須になったから、練習するそうだ。
ちなみに、私には関係無い。
理由は簡単、手加減できるわけが無いからだ。
戦った相手は、基本トラウマになると予想できる。
というより、トーナメントの優勝者が決まったら、織斑先生とバトルすることになってしまいました。
あの織斑先生と、殺し合い(バトル)……考えただけで、もう!
「ユラ?顔赤いけど大丈夫か?」
「えぇえぇ、大丈夫ですよ?ふふふ、本番まで我慢できるかしら?うふふ」
「……アッチのユラが出てきてる」
「……なんか、艶かしいね」
この火照った身体、どうやって静めましょうか。
おや?アリーナの方から、争いの匂いがします。
舌なめずりをして、ISを展開する。
「ユ、ユラ?」
「今の私の前でヤルなんて、抑えられなくなっちゃうじゃない!!」
「え?ユラ?」
ISの展開と同時に、装甲を破棄(パージ)して一気にアリーナ内に向かう。
後ろから何か聞こえたが、今はそんなことどうでも良い。
「あらあら、お楽しみ中失礼♪乱入させてもらいに来ました♪」
「ユラ、さん……ヤバイですわ」
「アンタ……逃げるわよ」
「フン、今度は貴様か。所詮は有象無象。私とシュヴァルツェア・レーゲンの敵ではない」
「あぁ!その自信に満ちた顔!良い、すごく良いわ!そんな顔されちゃうと―――」
殲滅女神(イセリア・クィーン)の背後に、膨大な光が溢れる。
ISを使っている者ならば、誰でも知っているその光。
だが、その範囲が、規模が、量が多すぎる。
「―――絶望させたくなっちゃうわ♪」
背後には、五十のミサイルポット、二十五のガトリング砲、十のグレネード、五のレールガン、そして両腕にショットガンが二つ。
それを見た者は、顔を青褪めさせる。
ラウラ・ボーデヴィッヒは一瞬驚いたものの、すぐに余裕の表情に戻る。
「数だけあっても、所詮は見掛け倒しだ」
「ふ、ふふ、フフフフフ……」
アリスが何か言っている。
でも、今の私には関係無い。
そう、私は唯、撃てば良い。
「何が可笑しい!!」
「アハ♪貴女はこれで満足ですか?私は満足できません!!まだ足りない!!もっと!もっともっともっと!!貴女の絶望を教えてください!!アッハッハッハッハ!!」
その背中から、二十のビット兵器が浮かび上がる。
これには、流石のラウラも驚愕する。
「馬鹿な!?ビット兵器を二十機も同時に使うなど、不可能だ!!」
「アッハ♪不可能?誰が決めたんですか?さぁ、始めましょう。楽しいダンスを!!」
その瞬間、蹂躙と言う嵐が吹き荒れる。