第十七話
海での自由時間終了。
特に何もしませんでした。
イデ君はビーチボールやら泳ぎ勝負などをして、エンジョイしてました。
海辺のパラソルの下では、トロピカルジュースが正義。
ラデ○ッツさんも一緒に、のんびり過ごしました。
一番の収穫は、織斑先生の水着が拝めたことですかね?
引き締まった体に、抜群のプロポーション。
眼福とまではいきませんが、これぞ大人の女といった感じでしたね。
思わず押し倒して、胸を揉みながら首筋を舐めるという行動を起こしていまいました。
のほほんさんショックで、頭が混乱していたみたいです。
思いっきり投げ飛ばされて海を跳ねたのは、いい思い出になりそうです。
「ユラ〜醤油とってくれ」
「どうぞ」
そして、現在は浴衣で夕食を食べている。
皆同じなのに対して、私だけミニ浴衣である。
ミニ浴衣とともに『これは仕返しなんだからね!』と書かれた紙が置いてあった。
あの飛行物体の中の者の仕業だろうと予想して、次会ったらズタズタにすることにした。
この時、どこかのウサ耳がビクビクして隠れていたのは、誰も知らない。
「ねぇ、一夏。これって何?」
「ん?わさびだよ。練りわさじゃなくて本わさの方だな」
一夏君の左に何故か私、右にシャンプーさんが座っている。
私の左にはコットンさん、前には兎さんだ。
黒さんはコルロットさんを思いっきり睨んでいる。
そんな黒兎さんの視線を涼しい顔で受け流すセルコットさん。
この二人、何がしたいんでしょう?
「練り?本?美味しいの?」
「食べなさい。食とは恐れずに自身の舌と胃のみで探究するからこそ、最高の味を求めることができるのです。他者に聞いた味ほど、自身の望む味から遠ざかっていくでしょう」
「ッ!?そっか……僕、間違ってたよ!いただきます!!」
「え?そのままは……」
主人公が何か言う前に、男装さんがわさびを食べた。
そのまま食べろとは、私言ってませんよ?
「ッッッッッ!?!?!?」
「あ〜大丈夫かシャル?」
「ら、らいじょうぶらよ……ふうみゅがあって、おいひいよ?」
「それは風味ではなく痛みではないですか?」
「シャルロットさん、大丈夫な様には見えませんわよ?」
「ふふん、その程度でそんな状態では非常時に生きられんぞ!」
金髪ロングさんが金髪ショートさんにお茶を差し出し、銀髪さんがわさびを食べた。
どうなったかは、彼女の為に伏せておこうと思う。
そういえば、パンダさんとモップさんがいないですね。
なんでいないんでしょう?
おりむーに聞いてみましょう。
「どこでしょう?」
「?あぁ、箒と鈴のことか。箒なら、アッチの椅子の方だな。で、鈴は三組の人に連れてかれてたな」
「三組の人なんていたんですね。見てみたかったです」
「……そういえば、そうだな」
そんなことを話しつつ、のんびりと食事した。
そういえば、ほ、ほ、放火さん?は今日、あんまり楽しくなさそうでしたね。
なんででしょう?
考え事をしていたら、なにやら騒がしくなって織斑先生に鎮圧されていた。
何があったんでしょう?
◇◇◇◇◇
「ふぁ〜」
就寝時間の前の自由時間。
現在温泉に入っている。
風呂は、一人で入る派なのですよね〜
「うにゃ〜」
露天風呂の中心で寛ぎながら、星空を眺める。
綺麗な星が……なんと言えばいいのでしょう?
「ほわぁ〜」
「訳のわからん声を出すな」
「誰かと思えば、織斑先生ではありませんか」
「今は教師専用の時間なんだが……まあ、ちょうどよかったか」
教師専用時間なんて、今知りました。
それに、ちょうどよかった?
嫌な予感がします!
そそくさと出ようとしたら、首を掴まれて温泉に投げられた。
逃走は不可能なようです。
こんなことなら、アリスを持ってこれば……
「ふぅ〜さて、聞きたいことがある」
「なんでしょう?好きたタイプはのほほんさんです」
「……そうか。とりあえず、率直に言う。一夏のことをどう思っている?」
「おりむーですか?もう少しお菓子を携帯する方がいいかと」
「……言い方が悪かったか。好きか?嫌いか?」
「それはもちろん、好きですよ?それがどうかしました?」
何故か怪訝な顔をする織斑先生。
何か間違ったこと言いましたかね?
「お前の言ってる好きは、どういう意味だ?」
それを聞いて、理解した。
あぁ、この人ブラコンか。
さて、真面目に考えましょう。
イッチャーのことが好き。
なら、どういう好き?
友達として?
男として?
……どうなんでしょう?
私は、彼のことを―――
「……友人として好きです」
「そう、か……」
「でも、私は異性として好きかもね?」
ユラの雰囲気が、のんびりしたものから妖艶でいて鋭い雰囲気に変わる。
「ッ……もう一人の方か」
「フフ♪考え事し始めちゃったみたいで、私が簡単に出られたんですよ。それにしても、今日は楽しそうだったな〜私も遊びたいかも?」
「……一夏のこと、なんで好きなんだ?」
「ん〜心かな?彼の心は、熱くて、固くて、おっきいから……見てて飽きないというか、これが限界じゃないんだってね。ホント、羨ましいくらい」
ユラは立ち上がり、夜空へと手を伸ばす。
一糸纏わず、どこか幻想的で、どこか儚げな、不思議な少女だった。
少なくとも、織斑千冬にはそう見えた。
千冬は眼を細めながら、ユラを見つめる。
「……お前は、なんなんだ?」
「あら?私はIS学園一年一組魅神癒螺、それ以上でもそれ以下でもないですよ?……今はまだ、ね」
「……フン、生徒である限り私が守ってやる。だがな、生徒に危害を加えるなら、容赦はしない」
「あらあらうふふ♪安心していいですよ?私から如何こうするつもり有りませんから♪無理やりは嫌いですからね♪でも……ずっとは、ありえませんから……ずっとは、ね」
「……そう、だな」
それ以降、お互いに何も喋らずに温泉に浸かり、一緒に温泉から上がる。
裏ユラは何時の間にか消えていて、いつものユラがそこにいた。
「のぼせ、ました……」
「クク、さっさと上がらないからだ。折角だ、一夏に会っていけ」
「何故です?」
「そうだな、弟を心配する姉の配慮だ」
余計に首を傾げるユラ。
とりあえず、ブラコンだと理解した。
声に出していないが、千冬に叩かれたのは言うまでもない。
◇◇◇◇◇
「【アナタの心臓鷲掴み!・心停止間違いなしの美味しさ】」
「……あの自販機、ここにもあるのか」
「なんだそれは?」
「飲み物です」
「……そうか」
「美味いか?」
「心臓に悪そうな味ですね」
「……大丈夫か、それ」
飲み物はどうでもいいんですよ。
なんで私ここにいるんですか?
ブラコンとシスコンは、近親相姦でもしてなさい。
ガッ!!
……痛い。
「なんだかんだで仲良いよな〜そうだ!千冬姉もユラも、今から―――」
◇◇◇◇◇
織斑姉弟部屋の前。
そこに箒、セシリア、鈴、シャルロットが扉に耳を付けていた。
ユラを探していたラウラが、そんな怪しい四人に声をかける。
「お前達?教官の部屋の前で何を……」
「ラウラ、静かに……」
シャルロットが口に指を当てながら言う。
気になったラウラは、同じように扉に耳を付ける。
部屋からは、千冬とユラと一夏の声が聞こえる。
『ん、ぁ、そこばっかり、ダメ……ふわぁ!』
『一、夏……少し、つよ……んぁ』
『二人とも、そんなんじゃ最後までもたないぞ?』
『そんにゃこと、言われぇても〜うぅんぁ、ひぁっ!?』
『そ、そこは……やめっ、くあっ!!』
『大丈夫だって、すぐに良くなるからさ。それにしても、二人ともだいぶ溜まってたんだ、な!』
『『あぁぁっ!』』
これを聞いていた五人は、全員が顔を真っ赤にしている。
一名ほど鼻血が垂れているが、誰も気にしない。
『よし!じゃあ、次は―――』
『一夏、少し待て』
『え?あぁ、わかった』
『うふふ♪この程度のことで、私を昂らせるなんて……さぁ、もっと私を感じさせて!!あは♪』
『ちょ、ユラ!?この体勢じゃできないぞ!?』
『ふふ♪一緒に気持ち良くなりましょう♪大丈夫、何も考えられなくなるぐらい、いっぱい感じさせてア・ゲ・ル♪』
ドタドタと部屋の中が騒がしくなる。
どうなる!?と五人が思った瞬間、扉が開いた。
五人の方に向かって、思いっきり。
バァン!!
「「「「「イタッ!?」」」」」
派手な音がなった。
五人全員がしりもちをついて、部屋の扉を開けた人物である織斑千冬を見上げる。
「何をしているんだ、お前達?」
「い、いえ、その……」
「ぐ、偶然……」
「と、通りかかって……」
「さ、騒がしかったので……」
「ほう……ラウラは?」
「四人が盗み聞きをしていたので、気になった次第です!」
「「「「ちょ!?」」」」
「馬鹿者共が、まったく……まあいい。ちょうどいいから全員入れ」
「「「「は、はい……お邪魔します」」」」
「はい!」
一人以外見事にハモっている。
ちなみに部屋の中では、下着姿のユラが同じく下着姿の一夏の上に跨って、舌なめずりしていた。
「うふふ♪私の熱を、貴方も感じてくださいね?だから、貴方の熱も、私の中に下さいな♪」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!箒!セシリア!鈴!シャル!ラウラ!千冬姉!誰でもいいから助けてくれ!!」
一夏の状態を聞けば、男なら羨ましがるだろう。
だが、ユラがすることによって、男として何かを失うことになる。
だから一夏は、全力で助けを求める。
そして、助けを求めた結果……刀を持つ者、銃を持つ者、鈍器を持つ者などが傍に立った。
冷や汗ダラダラの一夏。
その後、一夏の悲鳴が旅館に響いたとか響いてないとか。