小説『IS〜ただ一発の魔弾として〜』
作者:ディアズ・R()

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第十六話





「海っ!見えたぁっ!」

誰ともわからないそんな声が聞こえた。
窓から外を覗けば、海が見えるというのがわかりますね。
何を見ているんですかね、いっちゃん?

「いや、寝てるよな?」
(寝てますが、何か?と申しております)

身体は寝ても、脳は起こせますもの。
これをレム睡眠という。
私の脳波から考えていることをアリスを通して伝える。
身体は休めて、会話もできる。
これでピーナッツクリームとパンがあれば、どんなことでもしますよ。

(ところで、先ほどから気持ちわ、失礼。ニコニコしているシャンタックさんはなんなんですか?)
「え?あ、あはは〜いや〜この前の買い物の時、一夏が買ってくれたブレスレットが嬉しくって〜♪えへへ〜♪」
(ほうほう。どうでもいいですね)
「自分から聞いたくせに……」
「まあまあ」

隣のラゥラさんが寝不足なようで、舟を漕いでいる。
同室のシャルラさんが言うには、ISの通信機能を使っていたそうだ。
誰と話していたのでしょう?

「ユ、ユラ!」
(はい、なんでしょうか帆鵜鬼さん)
「こ、これを受け取ってくれ!」

そう言って鵬樹さんが、サーモンピンクカラーのシンプルな指輪を渡してきた。
なんででしょう?
身体は寝てるので、手が動かないんで受け取れませんよ。

「……は、嵌めるぞ!」

顔を真っ赤にしながら、私の右手薬指に指輪を嵌める星軌さん。
何故そこに嵌めるんですか?

「あ〜箒?なんでいきなり、ユラにプレゼント?」
「う、うむ……この前の買い物の時、ユラに誘われなかったら外にも出なかったからな。それに、ユラには何時も世話になってるから、そのお礼も兼ねてるんだ」
「そうなのか?じゃあ俺も送った方がいいよな〜何時も世話になってるし」
「でしたらわたくしも!」
「Zzz……ハッ!私も用意します!!」

そういうことらしい。
宿に着くまで、暇ですね。

「そろそろ目的地に着くぞ。全員、席に座って降りる準備をしろ」


◇◇◇◇◇


気が付いたら旅館に着いて挨拶が終わり、宛がわれた部屋にいた。
本来なら部屋ではなく大広間で雑魚寝するのだが、父が何やらしたようだ。
のほほんさんと一緒に寝る機会が無くなってしまったことは、とんでもなく残念である。

(マスター。そろそろ水着に着替えて海へ行ってはどうですか?もうすでに、皆さん海へ行っていますよ?)
「なんと!急がなくてはいけませんね!!」

というわけで、パパッと着替えて海へ向かう。
途中、ワンサマーラブ君とモップさんが、道端にウサギの耳が生えているのを無言で見つめいていた。
なので、ISを起動してグレネードをぶっ放して、ウサギの耳を消し飛ばした。

ドゴォォォォォ!!!

「「えぇぇぇぇぇ!?」」
「邪魔だったので、つい♪反省も後悔もしていませんよ♪」

まだ生体反応があったので、アサルトライフル、ショットガン、ミサイルポット、エネルギーライフルをラピッド・スイッチで連続交換して乱射する。
徐々に高揚して来る感覚。

「あは♪アッハッハッハ♪さぁさぁ!まだまだ平気でしょう!お願いですから、私に血を見せてください!!アハハハハハ!!」
「ユラストーップ!!」
「流石にやり過ぎだ!!」
御二方に止められてしまいました……でも、

「身体の疼きが、止まらないんですよ!熱くて、熱くて、でも、もっと熱が欲しい!!だから、私に熱を頂戴!!」
(マスター。上空に飛行物体です。地面のウサ耳はフェイクのようです)
「あら?あらあら?通りで血の匂いがしない訳ですね〜じゃあ、ぶっ殺しましょうか♪」
(対長距離用武装・白夜を起動)

ユラの手にスナイパーライフルが現れ、飛んでくる物体に向かって発砲した。
弾丸は飛んでくる物体に命中したが、軌道を逸らせる程度しか効果がなかったようだ。

「むむ……なんだか悔しいですね」
「よ、よかった」
「……私は先に行く」
「え?アレは?」
「では私も、のほほんさんの水着を見に行きますか。なんか、あんまり関わりたくありません」
「え?ユラも?……見に行くか」

箒は着替えに更衣室へ。
ユラはISを待機形態にしてさっさと海へ。
一夏は飛行物体を見に行った。
そして、ある天才は言った。

「死ぬかと思った!!」


◇◇◇◇◇


「良い天気ですね。これからのほほんさんの水着を見れるかと思うと、興奮してきます!!」

パラソルとイスを浜辺に置き、ラムネやらコーラやらが入ったクーラーボックスを傍に設置。
完璧な配置ができたら、のほほんさんを探す。

「うへへ〜のほほんさんの水着は、なにかな〜……なん、だと……」
「あ〜みーちゃんだ〜やっほ〜」
「うわ〜可愛いというかスタイルがいいというか……」
「バランスが良すぎる?」
「ところで、なんで固まってるのかな?」
「さぁ?」

たしかに、たしかに可愛いですよ。
でも、でもですよ。
この場所は海であり、海ときたら水着。
そう連想してもおかしくはないでしょう?
それなのに……こんな……こんなの絶対おかしいよ!!

「の、のほほんさん……それ、水着ちゃうやん……コフッ!」

のほほんさんの全身がしっかりと隠れているキツネの着ぐるみ型水着を見て、倒れてしまったユラ。

「師匠ぉぉぉぉぉ!!!衛生兵ぇぇぇぇぇ!!!」

そして、どこにいたのか唐突に出てきたラウラ。
ちなみに、ワンピースタイプの黒水着をしっかりと着ている。

「ボーデヴィッヒさん落ち着いて!!」
「あのパラソルの所で寝かせよう」
「みーちゃん大丈夫〜?」
「そっとしておいてあげて……きっと、幻想を打ち砕かれたのよ」

というわけで、ラウラが看病?をすることになった。
二人の所にセシリアと箒がやってくる。

「先生は、どうかしたのですか?」
「大丈夫か?」
「む?お前達か。だいぶ落ち着いた方だ」
「肌が、肌が見えない……そんなの水着じゃないです……ハッ!?」
「あ、起きた」
「起きましたわね」
「師匠!」
「……海に行きたい」

海を見てボケーっとしながら、ユラが言った。
三人は何とも言えない表情になって、小声でどうするか相談し始めた。
そこへ一夏がやってきた。

「ユラ〜海行こうぜ〜」
「……日焼け止め、塗らないといけませんね」
「お?じゃあ、俺が塗ろうか?」
「「「!?」」」
「そうですか、お願いします」

上の水着を脱いで、一夏に背を向けるユラ。
現在ユラの脳内は、のほほんさんの偽水着のことでいっぱいで、自分が何をしているのか理解していない。
何時もなら、特に昂っていないのに男に肌を触らせるなんてしない。

「……一夏」
「……一夏さん」
「……貴様」
「な、なんだよ?」

冷たい目で見られる一夏であった。
一夏がアタフタしていると、ユラが振り向いた。
隠さずに。

「どうしたんですか?」
「え?なんでも……ブホォ!?」
「大丈夫ですか?」
「ユラ!前!前!」
「隠してくださいまし!」
「……ふ、ふつくし」

二名、鼻から血を流した。
そんな状態の所に、鈴とシャルが来た。

「あんたら、何やってんのよ」
「一夏って、やっぱりえっちだね」
「な!?違!?」
「先生!日焼け止めならわたくしが塗りますわ!」
「いや!私が塗る!師匠には触らせん!!」
「チィッ!?ブルーティアーズ!!」
「シュヴァルツェア・レーゲン!!」

争い始めた二人を無視して、箒がユラに日焼け止めを塗った。
そんなこんなで、楽しんだ一行だった。

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