小説『IS〜ただ一発の魔弾として〜』
作者:ディアズ・R()

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第八話





やっと戻ってきた、私のIS。
AIが付いてた。
名前は、アリスです。

(マスター、そろそろアリーナに行かなくて良いのですか?)
「むむ、そうですね。では行きましょう」

声は女性型で、とても丁寧だ。
うむ、料理が出来るなら嫁に欲しい。
ちなみに、クラス対抗戦は、面倒だからスルーしようかと思ったら、耶麻田先生及び大神村先生と一緒に、観戦する事になってしまった。
一君の「見ててくれ!」発言で、逃げられなくなってしまった。
オノレ……

「むむ!何か嫌な予感がします!」
(サーチをかけておきますか?)
「お願いします」

とりあえず……アリーナに行きましょう。


◇◇◇◇◇


ハッ!
寝てました。
なんか、うるさいですね。

「隔壁がロックされてる。とにかく、今は待て」
「……了解しました」

……何かありました?
ポッキーを食べながら、モニターに映る戦闘を見た。
イオ君の白桃とトントンのISが、謎のフルスキンISと戦っていた。

「……What?」

寝てる間に、何があった?
口を開けてボーっとしてたら、オーディン先生がこちらに気付いた。

「誰が北欧神話の最高神だ」

心を読まれてしまいました。
それで、どうなってるんですかね?

「そうだな……簡単に言うと、所属不明ISがアリーナ内に侵入。その後、織斑と凰が戦闘を始めた。そんなところだ」

なるほど。
寝てていいですか?

「教師としては、そうして欲しいが……お前なら、どうにかできるな?」
「……マジですか?」

やろうと思えば、いくらでも出来ますけど……いろいろ壊れますよ?
どうなっても、私のせいじゃないですからね?

「安心しろ、戦闘自体無かった事になる」

なら安心ですね。
私と小野村先生の会話についていけないのか、刹那さんと夜魔堕先生が、ポカンとしている。
可愛い顔だわ〜
ん?なんか、足りない?
……あ。

「尾莉武等(おりむら)先生」
「なんだ、美香御(みかみ)?」
「帆兎姫(ほうき)さんはどちらに?」
「……山田君」
「え、あ、はい!」

なにやら、ヤバ目なご様子で。
急いだ方がいいですかね?
斑鳩君達の方も、限界みたいですし……

「アリス」
(最短ルートは検索済みです)

流石ですね。
少しだけ、小走りでモニタールームから出て行く。
さてさて、偶には本気になりましょうかね。


◇◇◇◇◇


視点・一夏

「……鈴。エネルギー、まだあるか?」
「少しだけならあるわ」

謎のISの攻撃を避けながら、通信で会話する。
さっきから、同じ様な攻撃ばっかだな……
もしかして……

「なぁ、あれって無人機かな?」
「はぁ?そんなわけ……いや、でも、無人じゃ動かせないはずよ」
「でも、無人かもしれない……だろ?」
「てか、それがわかってもどうしようもないじゃない」

だよな〜
こんな時、ユラなら………そうだ。
あるじゃないか、勝つ方法が。

「鈴」
「何よ」
「合図したら、アイツを止めてくれるか?」
「出来れば苦労しないわ」
「頼んだぞ!」
「ちょ!?もう、どうなっても知らないからね!」

鈴が、謎のISに突っ込む。
俺は、限界ギリギリまで上空に上がる。
真下に謎のISが来るように調整して、集中する。

「白式。今だけ、俺に力を貸してくれ」

俺の言葉に答える様に、手に持った雪片弐型が震える。
エネルギー状のブレードが、より無駄を無くした刃になる。
準備は出来た。
あとは、諦めないこと!

「鈴!」

合図をした瞬間、鈴が衝撃砲を謎のISの足元に連射する。
土煙が凄いが、ISのハイパーセンサーの御蔭で、何所にいるか良く見える。
俺は逆様になり、突きの態勢をとる。
残りのエネルギーを全て使うつもりで、ブースターに送り込み、解き放つ。
瞬時加速(イグニッション・ブースト)で、一気に落下する。

「オォォォォォ!!!」

謎のISがビームを放ってくるが、ワンオフ・アビリティーの零落白夜(れいらくびゃくや)が、切り裂いていく。

「シールドエネルギーを無効化出来るなら、このぐらい……出来なくてどうする!!」

ドォン!

体全体に衝撃が来るが、ISの御蔭で、大した衝撃ではなかった。
そして、雪片弐型が謎のISを地面に縫い付けた。
エネルギー状の刃が、謎のISの頭部に突き刺さっている。

「……勝った、のか?」

雪片弐型を引き抜き、謎のISの反応を窺う。
機能が停止してるのか、一切の動きが無い。
あと、予想通り無人機だった様だ。

「一夏!」
「あぁ、勝ったぜ」

振り向き、鈴の方へ歩く。
だが、次の瞬間、警告アラームが鳴り響く。

【ロックされています。注意してください】
「なっ!?」

振り向こうとしたら、先ほどの落下よりも激しい衝撃が、ぶつかった。

「ガァ!!」
「一夏!?」

壁に激突し、倒れる。
ISの展開が、強制的に解除される。
鈴が駆け寄る。

「一夏!一夏!」
「ぅ……どう、なった?」
「良かった……正直、かなりヤバ目。まさか、あのタイミングで二次移行(セカンド・フェイズ)するなんて」

先ほどまでの腕が異常に長い深い灰色をしたISは、完全に別物になっていた。
大きさが倍近くあり、手の部分に巨大な鍵爪が付いていた。
赤く光る二つの目が、こちらを見据える。
その時、怒鳴り声が聞こえた。

『一夏ぁぁぁ!!男なら、その程度の敵、倒して見せろ!!』
「ほう、き?」
「何やってんのよ、あの馬鹿は!」

謎のISが箒の方を向いて、掌を向ける。
時が、止まったように感じた。
このままじゃ、箒が殺される。
そう思った瞬間、叫んでいた。

「やめろぉぉぉぉぉ!!!」

だが、謎のISは、無情にも、攻撃した。
掌から放たれたビームが、箒がいた放送席に向かっていく。
手を伸ばす。
助けたい。
でも、助けられない。
視界が黒く染まる感覚に陥った。

『まったく……面倒事は嫌いです』

頭に響くような声。
何時も聞く、彼女の声。
視界が戻り、前を見ると、一つのISが浮いていた。
そのISは、黒い全身装甲(フルスキン)。
ロボットの様な、重厚な装甲。
それは、謎のISのビームを防ぎ、何事も無かったかのように、そこに佇む。

『殲滅女神(イセリア・クィーン)……彼の者に、絶望を与えましょうか』

その声は、まさしく。

「ユラ……」

-9-
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