小説『ソードアート・オンライン stylish・story』
作者:アカツキ()

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第十話 血盟騎士団

「これはこれは・・・【血盟騎士団】がこんな大人数で何か用か?」

それは現時点で最強のギルド【血盟騎士団】だった。ギルドメンバーの一人一人のレベルは高く、攻略組みの殆どはこのギルドに所属する程だった。
シュウはそのギルドの押し掛けのようなものに何の動揺もせずにテーブルに足をかけ、座っていた。そして後から、見覚えのある人物が入ってきた。それを見たシュウは少し顔を真剣な表情になった。

「私は血盟騎士団、副団長・・・アスナと言います。本日は貴方にご相談があって赴きました」

それは第一層以来、会っていなかった妹のアスナだった。しかし表情はあの時とは別物になっていた。眼光が鋭く如何に副隊長を思わせる貫禄になった。それをしばらく見たシュウは足をテーブルから降ろすとアスナに近寄る。

「わざわざ副団長まで出席とはな・・・良いぜ!話くらいは聞いても良いが俺とアンタ、二人で話がしたい。他の連中は下げてくれねぇか?」

シュウがアスナに頼むとアスナは周り部下達に出て行くように目線を移す。それを感じ取った部下達はすぐに応接室から退場し、出入口のドアを閉める。それを確認したシュウはアスナをソファーに座らせ、紅茶を出す。

「悪ぃな。紅茶はまだそれしか淹れる事が出来ねぇからよ?」

「大丈夫です。いただきます」

アスナはシュウの淹れてくれた紅茶を一口飲む。ここで堅苦しいやり取りに溜め息を一つ付くとシュウがアスナに促す。

「おいおい。何のために他の連中を下がらせたと思ってだ?アスナ。二人っきりの時ぐらい素で話せよ?堅っ苦しいぜ」

「でも。もし外の人達に聞こえてたらどうするの?」

「安心しな。ドアの後ろや俺達を盗聴してる奴らはいねぇよ。これでも感知スキルはMAXなんでな」

そう言うとアスナは一呼吸置いて、元のアスナに戻る。それを見たシュウは豪快に自分のイスに座ると話を進める。

「んでも、しばらく見ねぇ間に随分成長したみてぇだな?アスナ。まさかあの血盟騎士団の副団長まで昇進してるなんて思いもしなかったぜ?」

「私はもう逃げたくなかったから、頑張ってレベル上げしてた。そしたら団長の【ヒースクリフ】さんにスカウトされて入ったのよ」

「お前の事だから途中で弱音吐いてるんじゃねぇかと思ってたが、そうでもねぇみたいだな?」

「余計なお世話!お兄ちゃんってホント、チャラチャラした割りに心配性なんだから」

そう言うとアスナは顔を少し赤らめながら紅茶を再び口にした。シュウはそれをクスクスと笑いながら本題に移す。

「話ってのは何となく検討が付いてるぜ?アスナ。攻略の参加だろう?」

「うん。今のレベルと人数じゃ、攻略は難しいと団長が判断してお兄ちゃんは参加させようって事になったの」

「おいおい。攻略組みの中にはキリトもいるんじゃねぇのか?それでもたんねぇのかよ?」

「確かにキリト君のレベルは現攻略組みの中で最高クラスよ。でもキリト君ひとり、強くてもボス攻略なんて出来ない!!」

確かにそうだった。50層を超えて以来、モンスターの危険性が大きく上がっていた。前半の層は、層数+10のレベルがあれば余裕で出来る程だったが後半の層になるとそれが大きく変わっていた。シュウのレベルくらいあれば全然余裕かもしれないが、プレイヤーの腕も試されていた。

「確かに・・・50層超えて以来、モンスターの強さが格段に上がったからな。カイザー・ユニコーンが誰にも討伐出来なかったのも納得が行くぜ」

「カイザー・ユニコーン!?それって最前線の霊峰の主じゃない!!まだ誰も倒せていないって・・・お兄ちゃん、もしかして」

「HPを一割持ってかれたが、倒したぜ?んで、その角をエギルの店に届けて帰ってきたらアスナ達が来たって訳だ」

シュウが右手をヒラヒラさせて答えているとアスナがズイッと近寄る。

「お兄ちゃん。レベル今どれだけあるの?」

「それは営業秘密で答えることは出来ねぇ。んでも、カイザー・ユニコーンをソロで倒した程のレベルって事は分かるだろ?それで、攻略の話は断らせてもらうぜ」

「どうして!?カイザー・ユニコーンをソロで倒した程のレベルを持っているお兄ちゃんなら今の層の攻略なんて、簡単でしょう!?」

「かもな。んでも、俺は自由奔放な性格だからな。誰かの指揮の下で動くって性に合わねぇんだよ」

確かにシュウは刺激を求めているが、自由まで束縛して得ようととは思っていなかった。それなら依頼をこなし、報酬を得た方がシュウにとっては遣り甲斐があった。

「んでも、もし俺の好きにやらせてくれるって言うんなら考えてやらなくてもないぜ?アスナ。そしてそれを了承してくれんなら、俺は命がけでやってやるぜ?」

「もし私がそれを受けて、お兄ちゃんはどうするって言うの?」

アスナがシュウを見る顔はまるで悪人を見ているように眼光は鋭く、視線だけで殺せそうな程だった。シュウの我が勝手な態度に苛立ちを抱えているのかもしれない。

「そう怖い顔すんなって。まるで俺が悪人じゃねぇか!!そうだな・・・今の前線のフィールドモンスターは余裕で倒せるから、峰打ち戦法でレベル上げの貢献だな。そしてピンチの奴を助けるバックアップってとこだ。それならお前達でも悪ぃ話じゃねぇと思うぜ?」

アスナは顎を抱え、考え込んでいた。そして少し長考し、自分の意見を述べる。

「それなら私達も文句は言わない。約束する」

「決まりだな。んじゃ、依頼内容を確認するぜ?今回の内容は、前線攻略の助太刀。そして指揮官たちは俺のやり方に口出ししねぇ事。まあ、俺も作戦なんか考える程、頭は柔らかくねぇしな。そこら辺は任せるぜ?んで、攻略を毎回頼む事はダメだ!俺にも便利屋って肩書きをしょってっから、毎回頼まれると仕事が出来ねぇからな」

「分かったわ。でも報酬は・・・」

「報酬ならいらねぇよ。その分、自由にさせてもらうからよ」

そう言うとシュウはイスから立ち上がって、アスナの目の前に来ると右手を差し出す。

「これから少しの間だがよろしく頼むぜ?血盟騎士団の副団長さんよ?」

「こちらこそ。貴方の活躍振りに期待しています」

アスナはシュウと握手を交わし、この商談は成立となった。

(後書き)

う〜ん。アスナのキャラがイマイチな気がします!!これで合ってるでしょうか?

感想・指摘。よろしくお願いします!!

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