小説『ソードアート・オンライン stylish・story』
作者:アカツキ()

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第十一話 真紅の狩人

第55層・迷宮区

「Chew on this!!(これで喰らえ!!)」

シュウの手にはケルベロスが握られ、2M位の蜘蛛のようなモンスター【タイニィー・スパイダー】の集団に突っ込んでいた。ケルベロスは攻撃力は低いが、アタックスピードは持っている武器の中で最速だったため集団戦には持って来いだった。さらに今回は攻略組みのレベルアップ貢献のため倒してしまっては元も子も無かった。
そしてケルベロスを振り回し、スパイダーのHPをギリギリまで削ると・・・

「良いぜ!フィニッシュはお前達で決めな!!」

シュウが後ろに下がると待っていたかのように、攻略組み達が一気に畳み掛け、経験値とお金・・・コルを手に入れていた。

「君のおかげで迷宮区の攻略が順調に進んでいるよ。感謝する」

シュウの前に現れたのは少し歳をとった男性・・・【ヒースクリフ】だった。この人物こそ血盟騎士団の創設者にして全指揮をとっている者だった。
彼の人望は厚く、ユニークスキル【神聖剣】は鉄壁の防御力を誇っており、今までHPゲージを半分に切った事はなかった。今回は団長が指揮を取る事になり、アスナは別の任務に当たっていて、シュウと顔合わせになる事にはならなかった。

「団長様直々に来るなんて俺は聞いてなかったぜ?」

「私も君の力を直に見ておきたいと思ったからだよ。確かに君の強さは底を感じないよ」

「俺は今の自分に満足してねぇだけだ。もっと高みを目指せるって思ってるだけさ」

シュウの心掛けにヒースクリフはフッと笑う。

「本当に惜しいものだよ。君が居れば攻略なんか目ではないだろう」

「アスナにも言ったが、俺は自由を愛する奴だ。悪ぃが、その遠回しな勧誘は断らせて貰うぜ?んじゃ、俺はまた前に戻るぜ」

シュウは再びケルベロスを手に持つと前にでようとするが一旦止まり、ヒースクリフに言い放つ。

「今回の事で一つ分かった事があるぜ?団長さんよ。アンタのような人がいるこのギルドだったら安心できるぜ。リアルの事を言うのはマナー違反だが、アスナを・・・妹を預けられるぜ。信頼してるぜ?ヒースクリフさんよ」

その表情には妹を思う兄の観勒を思わせる表情を浮べていた。それを見たヒースクリフは・・・

「まさかアスナ君が君の妹だったとは」

「おっとこれは口外しないように頼むぜ?アスナは一応有名人だから、この事がバレたら俺の自由が危ないからな?」

そう言うとシュウは今度こそ、蜘蛛の集団に突っ込んでいった。

「アスナ君も良い家族を持っているのだな。アスナ君が彼の事を話している時の表情・・・今までない位に輝いていたのも納得だ」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

そしてシュウの前衛の活躍によってすぐに最終部屋に辿り着くが周りは暗く、良く見えなかった。シュウはボスが出てくるまで、他のメンバーには下がらせていた。こう言ったパターンは不意打ちをしてくるのが妥当だった。

「Hey!!隠れてないで出て来いよ!!遊ぼうぜ!!」

シュウの声がボス部屋に響くと地面からマグマのようなものが飛び出し、そこから全長6Mはある炎を体に纏わせた巨大な蜘蛛のようなモンスター【ファントム・オブ・プロミネンス】が姿を現した。
その禍々しい姿に攻略組みは戦慄を覚えていたがシュウにいたっては・・・

「Wow!!こいつは楽しめそうだぜ!!悪ぃが、こいつは本気で倒させて貰うぜ?」

やる気満々だった。そして所持武器をケルベロスからリベリオンに替え、右肩に担ぐ。そして毎度お馴染みの先手スキル【スティンガー】で様子見をしようとしたが・・・

ガキン!!

「リベリオンが弾かれた!?」

勢いを付けた強力な突きをボスの足に当てようとしたが、堅すぎるのか弾かれてしまう。そしてそれを見たボスは口を開けると、そこから巨大な火球を放ってきた。シュウはそれを咄嗟にリベリオンで防ぐが反動で吹き飛ばされてしまった。ヒースクリフはシュウに近寄り、無事か確認する。

「シュウ君!大丈夫か!?」

「大丈夫だ、問題ねぇ。にしても凄ぇ威力だぜ!!まともに喰らったらやべぇかもな!!」

「どうするかね?私の盾で防御しながらじっくり隙を伺うか?」

「それには及ばねぇよ。今の攻撃で奴は斬撃には強ぇみてぇだな・・・ってことは」

シュウはリベリオンからルシフェルに替えると六本の剣を作り出す。そしてそれをボスの足に向かって投げる。普通なら弾かれるかもしれないがシュウの目的は別だった。
剣がボスに当たる瞬間・・・

「Shoot off(弾け飛びな)!!!」

パパン!!

シュウは掛け声と共に手を鳴らし、起爆剣を起爆させる。煙が晴れるとボスの高い甲殻は弾け飛び、中の筋肉が露出していた。
本来なら堅いモノは斬撃には耐性を持っているが、爆発や打撃の耐性は持っていない事が普通だった。

「思った通りだぜ!!あいつは剣や斧には強ぇが、メイスやハンマーみたいな打撃武器は弱いみたいだ。団長さんよ!今回は打撃武器を所持している奴を優先させろ!!後はあの火炎ブレスだけ注意してりゃ、行けると思うぜ?」

「ふっ・・・君も中々洞察眼が鋭いようだね。分かった」

ヒースクリフはシュウの作戦通りに打撃武器を持った攻略組みに前衛を行い、斬撃武器の所持者は防御などのサポート役に回らせた。
しかし攻略組みがボスの相手をして数十分たったが、火炎ブレスと長い足をリーチに中々近づけさせてくれなかった。シュウはチマチマした事が大っ嫌いだった。常にスタイリッシュに・・・それがシュウの概念だった。それもそうだろう、今まで倒してきたモンスターは10分以内に倒していた・・・つまりシュウはせっかちだった。
そして等々我慢が出来なくなった。

「Enough already(もうたくさんだ)!!!時間が掛かりすぎだ!!俺がもう決めてやる!!団長さんよ!全員を下がらせろ!!巻き添えを喰っちまうぜ!?」

その言葉にはチャラチャラした表情は全く無く瞳にはボスに対する殺気が込められていた。ヒースクリフが攻略組みを下げさせるとシュウはリベリオンから閻魔刀に切り替え、居合いの構えをとり目を閉じた。それを見たボスは一気にシュウに襲い掛かる。

「疾ッ!!」

シュウはカッと目を見開くとその場から消えた。そしてボスの背後に閻魔刀を引き抜いた状態で現れた。そのスピードを見切れた者はヒースクリフだけだった。

「Dust to dust(塵は塵に)・・・」

そして閻魔刀を回転させながら、ゆっくり鞘に納刀して行く。

「And・・・ashes to ashes(そして・・・灰は灰に)!!!」

そして納刀の音が部屋中に響くと・・・ボスの頭が少しずつズレて行くと顔が四散してしまい、そのままポリゴンと化してしまった。

「な、何が起こったんだ!?」

「アイツの姿・・・全然見えなかったぜ!?」

シュウの攻撃が見えなかった他のメンバーにヒースクリフが説明していく。

「シュウ君がやったのは【疾走居合い】と呼ばれている剣術だ。居合い斬りに乗せた体重移動で地面を滑るように移動し、神速に近いスピードで斬り刻む電光石火の技だ。私もあそこまで早い居合いは初めて見る」

「あいつがそんな技を」

「流石は真紅の狩人・・・その二つ名は凄まじいな」

シュウは閻魔刀はリベリオンに戻し、背中に担ぐ。そして攻略組みのメンバーの元に寄ると、凄まじい程の歓迎を受け、質問攻めに苦労したそうだ。流石に武器の事までは答えられなかったが、強くなるために秘訣などを教えて言った。これによってシュウの名前はSAOに轟く事となった。

(後書き)

感想・指摘。よろしくお願いします!!

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