小説『ソードアート・オンライン stylish・story』
作者:アカツキ()

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第十四話 真実は・・・

第19層・十字の丘

「グリセルダ・・・。俺が助かるにはもうアンタに許してもらうしかない」

ここには黄金林檎のメンバーが作ったグリセルダの墓があった。シュミットは今回の事件はグリセルダの亡霊による事だと思い込み、ヨルコが殺されたその晩、こうやって出向いて来たのだった。
そしてシュミットは彼女の墓の前で膝を付くと・・・

「すまない!悪かった!許してくれ、グリセルダ。まさか・・・あんな事になるなんて思いもしなかった!!」

謝罪を墓に向かって、言い放つとその背後から声が聞こえてきた。

「その話・・・詳しく聞かせてくれねぇか?シュミットさんよ」

シュミットはビクッと身体を震わせて、声の方をした木を見る。木の裏から出てきたのは・・・シュウだった。

「お前は・・・真紅の狩人のシュウ!どうしてここが分かった!?」

「悪ぃな。付けさせて貰った。俺には真実が分かってきたからよ」

「真実・・・だと!?」

「・・・そこに隠れている二人も出て来いよ」

シュウが墓の後ろに立っている巨木に言い放つとその裏から、フードを被った二人組みが出てきた。シュミットは腰を抜かし、後ずさりをしようとしたが体が恐怖に煽られたのか震え、動かなかった。それをシュウはシュミットの肩をポンと叩き落ち着かせる。

「安心しな。こいつらはお前を気付けたりしねぇよ」

「何故そう言い切れる!?得体の知れない奴なんだぞ!?」

「そうだよな?・・・カインズ。そして・・・ヨルコさんよ」

「なん・・・だと!?」

シュウが二人に自分の考えを言い放つと二人はフードを取った。その人物達はシュウの言った通り、死んだ筈の『カインズ』と『ヨルコ』だった。そしてヨルコが疑問を問いかける。

「どうして分かったんですか?」

「それはな・・・」

ーーー回想ーーー

シュミットが帰った事を確認するとシュウはアスナとキリトに言い聞かせる。

「安心しなキリト、アスナ。カインズもヨルコも死んじゃいねぇよ」

それを聞いたキリトとアスナは驚愕の表情を浮べる。まずはキリトから疑問を問いかける。

「ど、どうしてそう言い切れるんだ!?シュウ」

「簡単なこった。ヨルコは確かに『死んだ』ように見えたが、これを見てくれ」

シュウはフレンドリストを開くとそこにはヨルコの名前がはっきりと映し出されていた。そして今も移動している事を示していた。

「でも、カインズ氏は!?」

「第1層のはじまりの町にはプレイヤーの生存を確認するための石碑があるのは知ってるよな?だが、カインズの名前は死亡したと言う横棒が引かれてなかった。これは今でも生存してるって大きな証拠だ」

「た、確かに」

キリトは顎を抱え、考えているとアスナがシュウに問いかける。

「でも、圏内で殺人を引き起こしたあれは何だったの!?」

「そこが盲点だ、アスナ。あれは殺人なんかじゃねぇ・・・死んだかのように見えたあれは演技なんだよ。そして剣が削っていたのはHPじゃねぇ・・・防具の『耐久値』なんだよ」

「た、耐久値!?どうしてそんな事が分かったの!?」

「エフェクトだ。防具や道具には耐久値があるのは知ってるよな?当然それがゼロになるとポリゴンと化し、消滅する。だが・・・消滅する際のエフェクトはプレイヤーやモンスターが死亡する時のエフェクトと似ているだよ。それを利用すれば、防具の耐久値がゼロになる瞬間に転移結晶を使えば、死んだかのように見せる事が出来るって訳だ」

「どうしてそんな事を!?」

「そこまでは分かんねぇよ。それより、疑問なのはギルドリーダーだったグリセルダをどうやって殺害したかだ」

グリセルダの実力はギルドでトップだったと言っていた。当然ギルドメンバーによる殺害は難しいだろう。キリトは一つの事が頭を過ぎった。

「メンバーの誰かが殺害を依頼したのか?」

「かもしれねぇ。考えられるのは『奴ら』か・・・このままじゃ三人が危ねぇ。俺はこれから三人に会いに行く。キリトとアスナはもしもの時に備えて救援を呼びに行ってくれねぇか?」

キリトとアスナは頷きそれぞれの行動を開始した。

ーー回想終了ーー

「と。こんな感じだ。んで、シュミットさんよ?さっきの事・・・詳しく話してくれねぇか?」

「わ、分かった」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

シュミットはグリセルダが指輪を売却しに行ったあの日。ポーチには回廊結晶とメモが入っていた事に気付き、誰かの指示かも分からずにそれを決行していた。彼本人もそれが殺人の手伝いになるとは思っていなかったみたいだ。

「なるほどな。つまりアンタは誰かの手の上で踊らされていたって訳だ。アンタには殺害の心は一切持っていなかったんだな?」

「も、勿論だ!信じてくれ!!」

「じゃあ・・・誰がグリセルダさんを?」

「それはな・・・っ!!」

シュウはリベリオンを引き抜き、シュミットに飛んで来ていたナイフを弾く。出てきたのは黒いフードとポンチョを纏った三人組みだった。そして右手にはギルドの紋章が描かれていた。

「シュミット!二人を守れ!!」

「あ、ああ!!」

シュミットは二人を庇うように、前に出る。シュウはそれを確認するとメンバーと会話を始める。

「やっぱりテメェ等だったか・・・殺人ギルド【ラフィン・コフィン】さんよ」

シュウがそう言うとリーダーらしい人物が前に出ると会話を始める。

「聖龍連合の幹部は居るって聞いてたが・・・デビルメイクライのシュウまで居るとは聞いて無かったぜ」

「その口調じゃ、誰かから依頼されたみてぇだな?誰から頼まれた?」

「それは答えることは出来ねぇよ。聞きたかったら俺を倒してみろ」

「That sounds fun(そりゃ楽しめそうだ)!!俺もアンタの実力、見てみてぇなって思ってたんだぜ?」

「Honored(光栄だな)。真紅の狩人からお褒めの言葉を頂けるとは思っていなかったぜ?真紅の狩人は俺がやる。テメェ等は他の奴らと遊んでな」

そう言うと他の二人はシュミット目掛けて一斉に襲い掛かるがシュミットは仮にも前線メンバー、そう簡単にはやられないだろうと思ったシュウはリーダーと向き合う。そして互いに殺気をぶつけ合い、シュウはリベリオンを構え、リーダーは斧を構えた。

「んじゃ始めようか?リーダーさんよ!!」

「This may be fun(楽しめそうだな)・・・It’s show time(ショータイムだ)!!」

「OK(良いぜ)!!Let’s rock(遊ぼうぜ)!!」

そしてリベリオンと斧がぶつかり合い、火花を散らし始めた。

(後書き)

感想と指摘。よろしくお願いします!!

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