小説『数ページ 読みきりもの』
作者:下宮 夜新()

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 学校見学をさせてくれている時にふらついた夢魔ちゃんを支えてあげる私。どことなく元気のなくなった夢魔ちゃん、どうしたんだろう?
「あっ、わっわあ。大丈夫?」
 支えてあげた時にバランスを崩して座った姿勢になったバラー。
「ん………あのね。ちょっとごめんね」
 いきなり制服の胸元を広げてくる夢魔ちゃん、バラーはなすすべなく、されるがままだ。
「ええっ 何で!? どしたの〜!?」
 抵抗はしたのだが、強い力で抑えつけられて抜け出すことが出来ない。夢魔ちゃんに触られていると、何だか危険が迫っている感じが強くなった。
「ふー、落ち着いた」
 疲れですぐに立てないバラー、夢魔ちゃんはとてもスッキリした表情をしている。
「ごめーん、バラーちゃんの夢を悪夢に変えちゃった」
 
 何だかボーっとしている頭で何とか理解しようとするバラー。とんでもないことを言われた気がするけど考えがまとまらない。
「夢…じゃなくて悪・・・夢!?」
 話を合わせようと夢魔ちゃんの言う通りにする私、少しずつ考えがまとまってきた。
「な、なんだあ。私、勘違いしていたんだ。てへへ・・・」
 照れ笑いでごまかす私。
「もー、何されると思ったのー?」
 やっと全てを理解出来たバラーは少しの悲しみと怒りで興奮のあまり爪を掌に食い込ませて血をにじませる。
「だって〜〜。夢は私の糧だし」
 夢魔ちゃんはどうやら名前通りサキュバスらしく、夢を悪夢に変化させてしまう特性があるようであった。

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