翌日、また一人で帰っている矢野原さんに声をかけて途中まで一緒に帰るのを承諾してもらった真水君は気になっていたことを彼女に聞く。
「ボディーガードをつけるほど危険があるの?」
「ええ」
矢野原さんは親かボディーガードから聞いた話をすべて信じている感じで真水君にそのまま話してくれた。
「親の仕事の関係で何があるかわからないそうよ」
(どんな仕事だ・・・)
何で矢野原さんは疑問に思わないのか、真水君は何かに巻き込まれそうなどほぼあり得ない想像に冷や汗を流す。
「何っ!?」
矢野原さんと真水君との距離が空いている真ん中で壁が爆破粉砕されたので彼は驚きを通り越して全身を震えあがらせる。矢野原さんは何かに気づいたようでそれに興味を移していた。
「ヤブ蚊がいたもので」
迷彩服のボディーガードがバズーカーを放ったのを見て、矢野原さんが納得したという表情を見せる。
(あんたが一番危険だよ)
怖くてたまらない真水君は心の中で涙ものだった。もしかしたら現実でも少し涙が出ていたかもしれない。
「ついに見つけたぞ!矢野原家の娘!!」
金髪で黄色のタキシードを着用、バラを持っているどこかのお坊っちゃん風の少年が彼女に建物の上から顔見せに来る。
「えっと…どなたでしたっけ?」
建物を見上げる形になった矢野原さんは申し訳なさそうに訊き直した。
「何だって!?私のことを忘れたとでもいうのか!!」
どこかのお坊っちゃんらしき人物はショックを受けているようである。
「黙らせますか?」
迷彩服の男に物騒な提案をされたが、矢野原さんは自分にも落ち度があると認めた。
「いいえ…忘れてしまった私がいけないのですわ」
お坊っちゃんらしき人物が建物の屋上から何かをわめいていたが、彼らはそれを全て聞き流す。
「私の手で証拠隠滅♪」
そして矢野原さんが取った行動はというと、何の迷いもなく誰もが扱えるかのような手軽さで(実際はそんなことないと思われる)手榴弾をお坊っちゃんらしき人に投げつけることであった。
「ぎゃああ!!」