小説『君が死んだ日【完】1000hit達成!!』
作者:ハル()

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それはまるでスローモーションのような恐ろしい感覚だった

風がスースーと胸から背中に渡っていって

視界に広がるものはビルの雑踏

落ちる速度が思ったよりもゆっくりで

感じたことのない恐怖で

怖くて仕方なかった





――――ああ 死ぬんだ、あたし…



死にたくない

生きたい

どんな方法でもいいから、落ちる前に戻りたい

タイムマシンでもあったら飛び乗る

今なら、きっと

でも もう遅い

落ちてる

落ちてる

あたしが落ちてる

死にたくない

死にたくない

死にたくない





「死にたくないっ!」






咄嗟だった

咄嗟に出た言葉

叫んでいた

その言葉を

ただただ大きな声で




「う゛っ」


一瞬の合間に何かが起こった

下に広がる景色が近づいてこない

風も胸から背中に渡っていかない


体が下に落ちずその場で固まってる

宙に浮いてる

…誰かに背中を引っ張られてる

そのおかげであたしは宙に浮いてるみたいだった

宙ぶらりん状態だ



何が起きているんだろう


それに、だれがあたしを引っ張ってるの…?


だれ?


っ…


意識が遠のいていく


だんだん…

なくなって…

………




「おまえは死なせない」



―――――――――――――――。。。。

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