「…なんですって?」
―――――――――ザアアァァァア
しずくの粒が勢いよく降ってきた。
「君は絶対に死ねない」
あの人が言った。
同じことを。
2回目の゛それ゛を聞いたとき、あたしのどこかがプッツンと音を立てて崩れだした。
なんだろうコレ。
頭の中がグルグルしてカーッと熱くなって、おさえられなくて…
…おさえられなくて仕方ない
おさえられない
終わったな。
もう、止まらなかった。
「あなたに何がわかるって言うんですか?あたしがなんだって言うんですか?ホント、なんなんですかっ。あたしはただ…ただ死にたいだけなんです…」
「別に君の事なんて下着の柄意外なーんにもしらないね。なーんにもわかんないなぁ。てか、自殺するのにはグッドタイミングなんだよ。今は。この雨ですべりやすくなってるしね」
――すべりやすいか…
―――いいかもね…
目の前に広がる手すりをつかみ、手すりを乗り越える。
手すりのないここから落ちれば命はきっとない。
終わる。全部。全部終わる…
学校も家族も汚れた友達も罪悪感も、みんなみんなバイバイ。
永遠に。
「さっさと落ちないとタイミング逃しちゃうよー?」
あの人の声がした。
この破廉恥人間ともさよなら。
「もう 行きます…」
…
…どうしてだろう
できない
落ちれない
落ちたいくせに
落ちない
なんで、なんで?
タイミングがつかめな…
「やだっ」
イヤだ
嫌だ
イヤダ
……もう遅い
だって今、
バランスを崩してる
すべったんだ
タイミングがつかめなくて
ズルッ
「あっ!」
って…
もう、遅いでしょ?
下に広がるものが近づいてくる
来ないで
来るな
やめて
死にたくない