小説『君が死んだ日【完】1000hit達成!!』
作者:ハル()

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―溜まり場はヤギの家―



「あっ」
ふと思い出した。
あの大切な存在を…
やっ やばい本当に。

「何?どうしたの」

「や、やややや、ヤギさん!」

「俺は矢木矢だから」
あっ こっちもやばい。
この人の怒りの炎がまた再燃してしまう!

「あ、あー えーと あーですね…ヤギはあなたではなくてぇえ…」
思いつけ。この人の再燃を消化する消化液の役割を働く言葉を…!!!
アーアー言ってないで何か、何か……

「顔が思いっきり『ヤギはあんたよっ!』て言ってますわよ?」

「いや、違う違う!ヤギ違いですからっ!てか、なぜマダム言葉なんですか!あーあーヤギはえっとあー…」

「観念しなさいよー 認めちゃいなよー 認めたら殴っちゃうかもだけどねぇー」
ぎゃああぁぁぁ!

「ちち 違うんですってばホント!! すす… はっ! そう、あたしのスクールバックにそれはそれは愛らしいヤギのキーホルダーがついててそのヤギのことを言ってただけでして、ハハハハハ」

「君のスクバにそんなプリティヤギちゃんはぶら下がっていなかったなぁ。ハハハハハ」
そのハハハハハ怖いです。ヤギさんっ!!!

「あっ 学校連絡! やっ やぎ…ゃさん、あたしのスクバはどこに??」

「そこの机の脇に置いてある…」
それぐらい気づけよという風にあきれ紛れにバックのありかを教えた矢木矢さん。
自分でもこんな近くにあったのに気づかないとは… なんて見事なドジっ子なんだ!

「学校に電話しないと…」

「あれー? プリティヤギちゃんやっぱいないじゃん。やっぱりヤギってのは」

「ああああ 違うんですこれはっ ヤッ ヤギちゃんはドブにどぼどぼと沈んでしまったんです!あたしが転んだばっかりに…」

「泣きまねするやつほどブスだったりするって教授が言ってたな。まぁ大丈夫さ、そのヤギちゃんは白ヤギから見事に黒ヤギへと変貌して人生を謳歌してるさ。ハハハハハ 下手な嘘ほど面白い事はないなぁ。あっ ちなみに学校には電話しておいたからっ」

「うっ 嘘だとばれたぁ…)え、学校に電話した?」

「した」

「なんて言ったんです?」

「君の親のふりして『娘は今日は休みます。風引いたらしくてぇ』って言っといたから」
なんて気がきくんだヤギャさん。
お父さんのふりなんだろうけどあたしのお父さんは語尾に 〜てぇ。 なんて絶対言わないよ。
おしいなぁ。
お父さんがリアルに〜てぇなんて言ったらオネェの雰囲気がその場をただよって周辺がギャーだよ。

「…今何時ですか?」

「5時20分」

「じゃあ…もうそろ帰ります」

「帰り道わかるの?」

「んー 微妙なところ」

「送るよ」

「え?」

「バイク乗って!」

「えっ あっはい! てか、乗るのはやっ!!」

「しっかり捕まってないと振り落としちゃうよー」

「ハハハ・・・」

グッ

「ウエッ し、しめすぎ…力入れすぎ…」

「あ すいませんっ」



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