舞台のカーテンがユラリと揺れて少しの隙間ができる。
隙間からは女性の顔が見える。
「ユキヤー この荷物はどこに置くのよ?」
美しい声、よくとおった透き通った声。
そしてなにより、彼女の美貌に目がいってしまう。
彼女の身なりは完璧に外国人。
青い瞳、綺麗な長い金髪、透き通った白い肌、目鼻立ちクッキリ。
スタイルだっていい。
なんだ、この完璧すぎる美女。
童話の中にいそうだよ。こういう人。
『あー 今行くから、ちょっと待ってて』
そう言う見知らぬ誰かさん…いや、ユキヤさんは頬を薄ピンクに染めている。
なに、あなたあの美女さんに惚れてるのですか?
ホーホー なるほどねぇ
「随分、綺麗な娘だな。新しいアシスタントか?」
矢木矢さんが真顔で言う。
『うん、そう』
「前のアシスタントはどうした?」
『やめた』
「…相変わらずだな、おまえ」
『でも俺、今ヤベーかも。どーしよーヤギちゃーん〜♪』
ブラウンの瞳をクシャッとさせて子供のような笑顔でユキヤさんは笑う。
そしてふざけ調子に言った。
一方矢木矢さんは…
「ヤギって言うなっ」
嫌がってる。つんつん中だ。
『だってこっちのほうが言いやすいんだもん〜 じゃあ俺、準備あっからバイバーイ』
陽気に舞台の中に去っていくユキヤさん。
そして、ムッとしてる矢木矢さん。
この2人は犬猿の仲なのか、友達なのかわからないけれど、そんなのは今はどうでもいいや。
…ユキヤさんの笑顔可愛かったなぁ〜
ちょっと癒される。
ホワ〜って感じ。
「あいつ、可愛い…」
「え? 矢木矢さんとうとうBLに目覚めたんですかっ!?」
「目覚めてないから。あいつ、可愛い顔して結構腹黒だから気をつけろよ」
「えぇ!?」