1章 ―黒板の悪言―
教室の中はいたっていつも通りだった。
みんなギャーギャー騒いでて楽しそうで…
でも黒板だけ、いつもとは違う異様なオーラがあった。
何かが書いてある。
ただただ、度派手に大きく。
『寺田咲死殺〜〜!!!寺田は地獄行き〜♪』
ドサッ
…嘘でしょ?
肩にかけていたスクールバックが床にたたきつけられる。
嘘だ。
昨日はちゃんとあの席にいた。
学校に来てた。
咲は自殺なんて…しないよ・・・・・
「香奈〜 オハヨー!」
窓側にいた2人の女子があたしの名前を呼んでこちらに近づいてきた。
あの黒板に見向きもせずに、まるでいつもと変わらない黒板というふうに通り過ぎて…
嗚呼、よく見れば教室にいるみんなもそんなふうで、黒板に何が書かれているかなんて知らない感じで過ごしてる。知ってるんだろうけど。
「おはよー ね、ぇ 寺田さんって今日来てるかな…?」
きっと来る。咲は学校に来て生きてるはず。
ちゃんと生きて…
「プッ 香奈、それってギャグ?」
「ウケル〜 黒板見てみなよぉ〜」
「…?」
言われるがまま、また黒板を見る。
さっきと変わらず
『寺田咲死殺〜〜!!!寺田は地獄行き〜♪』
と、落書きがあった。
違う。嘘だ。自殺なんか、
咲が自殺なんて、
あたしは小刻みに小さく揺れる手をポッケに隠し、声を震わせないようにして聞く。
「寺田さんって自殺した…の?」
死んでない。きっときっと。
絶対
咲は生きて…
「うん。昨日自殺したって」
―――――――――ザアアァァァア