―灰色の楽園―
じゃりっと、レインブーツが砂を踏みつけた。
白い、薬品の匂いがする病院が今日は灰色に見えた。
雨が降ってるせいかそう見えて、なぜか心は苦い。
「はぁ」
吐いた息が白い気体になっていく。
今日は11月並の寒さらしい。
どうりで寒い…
外から病院の窓を見ていると無意識に姉を自分は探してしまう。
姉は、姉ちゃんは寒くしてないか、とか風邪引いてないかとかこれもまた無意識に考える始末。
今、姉に会いに行きます。