小説『君が死んだ日【完】1000hit達成!!』
作者:ハル()

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―裏の過去・3年前―




「なぁ矢木矢〜 今日の帰りカラオケいかね?」

そう言いながら俺の肩にぐいぐい手を引っ掛けてくる奴。おい、やめろ。

「悪ぃ草山(クサヤマ)、行けない」

「はぁ〜? なんでだよぉー」


今度は俺の腕に手を絡ませてクネクネしながらそう聞いてきた草山。おい、マジでやめろ。そこいらのニューハーフより100倍キモイ。


「バイトだよ、バイト」

「マジかー。てか、今週ずっとバイトしてっだろ!? どうしたんだよ! バカになったのか!? 頭に何か住み始めたのか!?」

「何も住んでねーよ。バカはおまえだろ草山」

「そーそー模試の結果がクソでさぁ32て…って何言わすんじゃいっ!!」


はい、でましたー。のり突っ込みキター。あー眠いー。金ほしー。

「はぁ…全く、マジでカラオケ行けねぇのか? 今日は女も来るってのに、男子校の俺らにとっちゃ貴重な栄養だぜ?」


女=栄養ってなんかヤるみたいに聞こえんだけど。性欲処理に聞こえんだけど。


「…ま、頑張ってこいよ」

「おぅ! 綺麗な彼女つくってくるからな〜!」


黄色に近い茶色を風で揺らしながら草山はニカニカ笑いながらこっちを見て手を振ってる。後ろ歩きをしながら。最後まで動作がキモイよ。草山。


そして俺はバイト先へ足を急がす。
数秒後地面に何かが激突する音がしたが気づいていないふりをした。
…草山。









しばらく道を進んでいくとある病院に差し掛かった。
汚れで灰色がかかった病院。そんでもって俺の母さんがガンで入院してる。結構、長い。





俺はバイトを4つ掛け持ちしている。
コンビ二、スーパー、パン屋、カラオケ屋。
よくここまで続けられたものだ。掛け持ちしてからもう少しで一年になる。
でも金が足りない。金が。この不況だから仕方が無い。ギリギリ。


生活費の半分がこのバイトにかかってるから休めない。真面目に必死。
高校はなんとか留年せずにすんでいる。暗記の強さはあの糞男からの唯一の貰い物。
鏡を見るたびにあいつとそっくりな自分の顔に嫌気がさす。

体の弱い母さんと中学生だった俺を捨てて愛人と仕事を取ったあいつ。
サイテーな奴。

ふざけんな糞親父。アイツと血がつながっていることすら嫌になる。
母さんを支えることができるのはもう俺しかいないんだ。





「じゃあ、今日もバイトするか…」

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