窓から差し込む光は夕暮れのもの。
俺が精神的に落ち着いたのは空がオレンジ色になってからだと思う。
まだ、綾乃の家にいる。
「…もう、大丈夫?」
「うん。大丈夫、もう帰るし」
フローリングから立ち上がると綾乃は心配そうな目で俺を見る。
「大丈夫だよ。綾乃」
「な、何が大丈夫なの? 本当に?」
「俺の住所は店長達には教えてないし、あの商店街に行かない限り何も無いよ」
きっと。
でもあの店長…、なにか引っかかる。なにかはわからないが。
「ね、明日もうち来てよ。やっぱり、どんなに安全でも私心配だから」
さっきよりは安心した面持ちだったことにほっとした。
俺もその様子に心底安心。
そうかみしめていると綾乃がなぜか小指を差し出してきた。
…なんかの暗号か。
「一応、指きりみたいな」
照れくさそうに笑みを浮かべていった。
無言でソレに自分のを絡ませれば綾乃は頬を赤らめた。