序章
目が覚めると少年は大の字になって地面に倒れこんでいた。
真っ先に目に飛び込んできたのはきれいな夜空。
暗闇に染まった天空には無数に輝く小さな星たち。
「ここは…どこだ?」
左右に首を振って辺りを確認したところ、どうやらここはどこかの学園らしい。
地上を照らすように光を発す数えきれないほどの惑星が妙にまぶしく感じられて思わず瞳を横にそらす。
「…何も思い出せない」
彼がそう小さく呟いたその時。
「目が覚めた?」
突如前方から少女らしき声が聞こえた。
その言葉に操られるかのように、少年は地面に引き付いた体の上半身を無理やり起こす。
最初に視界には入ってきたのはきれいな少女だった。
どこの学生服かは分からないが少女が着込んでいたその制服がやたら彼女に似合っている。髪は茶髪でショートヘヤ―より少し長めといった所だろうか、そよ風にあたりきれいな髪が美しくなびいていた。
彼女は少年に背を向けて肩肘を地面にくっつけたままの姿勢を維持している。
そして彼が一瞬目を疑うようなものを両手に持って構えていた。
ボルトアクション型の狙撃銃。
あまりに現実離れした光景に少年は驚愕する。
喉がつまり、今にも消えてしまいそうな声が少年の口からかすれ出た。
「あんた―――」
だが彼がそう言い終える前に少女が笑顔でこちらに振り返る。
そして言う。
「ようこそ。新しい世界へ」
De-tao-ba-araibu1 end