一方その頃、
とある少年の勧誘に失敗してしまった男女二人組と言えば。
「おいおい、やべーよあいつ!!このままじゃ死んじまうぞ!!」
薄紫色の髪をした少年が声を荒げて少女に言った。
それに対してあすかと呼ばれた少女がとった行動は、とてもシンプルなものだった。
「仕方ないから撃つ。」
余りにそっけなく言われてしまったので少年はおもいっきり驚愕した。
「はぁ!?ちょっと待てよあすか!今だったら仲間からの増援だってまだ間に合うんじゃ…」
「そんな時間もう残されていないわよ。」
言葉虚しく彼の提案は一刀両断されてしまった。
だが正直なところ彼女が言っていることは確かに正しい。
今仲間を呼んだとしてもここまで駆けつけてくるのに最低でも数分はかかってしまう。明らかに時間が足りない。
少年は覚悟を決め、つばを飲み込む。
「本当にするんだな?」
「ええ、遺言はないわ。」
あすかは無言のまま静かに銃器を目の位置まで移動させて標準を合わせた。
カチャリ。
銀色に輝く狙撃銃は短い音を立てていつでも打てる、と少女に合図するかのようだった。
「だけど可愛そうだよな、あの新しいの。」
「そうねあの新入り君は今までに味わったことのない激痛を体験することになるわ。まっ、ここに来る以前の記憶が無くなっちゃってるわけだし、どっち道初めてなんでしょうけど。」
「お前、絶対恨まれるぞ…」
「覚悟の上よ。」
今更ながら説明しておくと、あの少年とアンドロイドは真正面に重なり合ってしゃべっているのでどうしても狙撃には少年も巻き込んでしまうのだ。
「心臓狙うなよ?」
「私はどこのスナイパーよッ!そんなことする訳ないじゃない!!」
二人で苦笑し、この会話を最後に少女は引き金に指を添えた。
そして言う。告げる。
「彼には一度死にかけてもらう。」
言うだけ言うと、少女は今度こそ引き金を引いた。
De-tao-ba-araibu5 end