小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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第一章 終りと始まり

今日も退屈な時間を過ごしてしまった。
俺こと古城英志(ふるきえいじ)は帰路についていた。
道中、今日の出来事を振り替える。

いつものように俺が通う私立駒王学園に登校。教室で友人の兵藤一誠と会話をする。
授業を受け放課後。何故かイッセーのところに学園で一番人気のイケメン、
木場祐斗が近づいてきた。

因みに木場は俺とイッセーの気に食わない奴ランキングで堂々の第1位だ。

話しの内容は聞こえないが、イッセーの表情はいかにも不機嫌だった。
少し会話して木場とイッセーは廊下へ歩いていった。

こんなところか。
俺の趣味は観測することだ。自分の周囲で起こったことを振り替えり考察する。
あまり良い趣味ではないが幼い頃からの癖でなおらないのだ。

そういえば、最近イッセーの様子がおかしい。
以前、イッセーを俺と松田と元浜で大人のDVD観賞会に誘ってみたのだが
意欲こそ見せるが、参加はしないのだ。あの性欲の塊のイッセーがだ。
これは絶対におかしい……。

松田と元浜曰くイッセーは今日、学園の「二大お姉さま」の一人、
リアス・グレモリー先輩と登校したとか。羨ましい……。一回死ねイッセー。

いやいや、そうじゃない。もっと前にイッセーは何か言ってなかったか?
確か………そうだ。彼女ができたとか。写メまで見せてきてはしゃいでたな。

名前は……天野…夕麻…。

思考の海から浮上し、気付いたら俺は公園のベンチに座っていた。
どうやらベンチに座って考え込んでいたようだ。集中しすぎると辺りが見えなくなるのも俺の悪い癖だな。
学校から出たときは明るかった空が、夕日に照らされている。随分、時間が経っているようだ。

町外れにあるこの公園は、人気がなく不思議な静けさが支配していた。


せっかくなのでもう少し詳しく考察することにしよう。

しかし、なんで俺はこんな一大事を忘れてたんだ?
学校で一番の親友のこんな羨ましいイベントを忘れるはずがな………

ザクッ

突然、俺は激痛に襲われた。腹部を見ると、光かがやく槍のようなものが深々と突き刺さっていた。
それを認識した瞬間、口から血を噴き出してしまった。

「なん…だ…?これっ…………。いっ…てぇ……!」

腹部を中心に痛みが身体中を駆け巡る。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
あまりの痛みに悶絶する俺の目の前に立ちはだかる影。

「なんでか知らないけど……。あんたは記憶の消去が巧くいかなかったのよねぇ。
思い出されると厄介だし。ならここで存在ごと消してあげればいいわよねぇ。」

痛みに耐えながら顔を上げると、そこには夕日を背景に天使のように美しい少女が立っていた。
だがその顔はもがき、苦しむ俺を見て、醜悪に笑みのかたちを作っていた。

「天野………夕麻……!?」
「やっぱり覚えていたか。人間のくせに生意気な奴ね。」

不愉快そうにいい放ち、天野夕麻は俺の顎を蹴りあげる。

「があぁっ…!!」
「この計画には1%の不確定要素も存在してはならない。あなたはここで潔く死になさい。」

次の瞬間、天野夕麻の背中から漆黒の翼が出現し飛翔した。
公園にはベンチに縫い付けられるように串刺しにされた自分だけ。

「このままじゃ…マジで死ぬな……。ハハっ、洒落になら…ねぇ…」

人間は極限状態に陥ると笑いだすらしいが今の俺がまさにそうだな。
次第に視界が暗くなり、意識が遠退いていく。

「俺は、まだ知りたいことがある…。死にたく…ねぇ…。
死んで…たまるかよ…!!」

最後の叫びは虚しく公園に響きわたる。その願いに応える者が現れるのか?
古城英志の身体は完全に生命活動を停止した。

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