小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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何もない闇の中。見渡す限りの闇の中で
古城英志は浮遊していた。

「ここは……どこだ…?」

必死に記憶を掘り返す。覚えているのは、夕日に照らされている公園。
そこから先は霧がかかったように思い出せない。

「思い出せない…。なんでっ……!」

くそっ!思い出せっ!!考えろ古城英志!!

自分を問い詰め、かかった霧を払うように頭を回転させる。
頭が割れるように痛いが構わず、記憶を呼び覚まそうとする。

ピキッ

そんな音が頭の中で響いたかと思うと、記憶を覆っていた
霧が晴れていくように感じた。

「そうだっ!!あの公園に誰かがいた!!」

頭を抱えて更に強く念じる。

「思い出せ!!思い出せ!!思い出せ!!思い出せ!!」

氷が溶けるように、次々に思い出されていく記憶。

「女だった…。俺はその女を知っていた…。
それで俺は…その女に…………」

殺されたのだ。光の槍によって腹を抉られて。
どうやって光の槍を造ったかは分からないが、あの女が造り出したのものなのだろう。
それに最後の一瞬、あの女は背中から漆黒の翼を生やして飛んでいった。
人間ではないことは確かだ。

「ハハっ……。下らねぇ…。俺の人生は……あんな化け物に
殺されて終わりなのかよ………」

その声は途中から涙混じりの声になっていた。

「生きたいか?」

!?
声が聞こえた。闇の中からゆっくり何者かが歩み寄ってくる。
次第に何者かの姿が明確に見えてきた。
それは女だった…。流れるような白い髪。意匠のこった青いドレスを着ている。
こんなに綺麗な女性を見たのは初めてだった。

「あんたは……」
「生きたいか?」

同じ質問を繰り返され一瞬、怯んでしまう。この言い様からして
やはり俺は死んでいるらしい。

「生きたいか?、ならば答えよ」

もう一度問われる。女の目はまっすぐに俺を見つめている。

「俺は…世界は不思議に満ちていると思ってる。
でも俺は、まだ知らないことだらけだ。俺は……生きて、世界の全てを知りたい!!」

そう叫んだ瞬間、俺の身体が発光しだした。

「その考え方は嫌いではない。貴様とは気が合いそうだ。
ともに世界の理の探求者となろう」

女が何か言っているが、意識が遠退いていく俺には
ほとんど聞こえていなかった。









○???

目が覚めると、知らない部屋だった。俺はソファーに寝かされている。
辺りを見回すが誰もいない。

しかし、変な部屋だ。天井と壁のあらゆる所に意味の分からない文字の
羅列がある。一番気になるのは床に描かれた大きな魔方陣。
ものすごく不気味だ……。


「いててっ……」

身体を起こそうと、少し力をいれるだけで身体が悲鳴をあげた。
痛みをこらえ、なんとかソファーに座る姿勢になった瞬間、

床の魔方陣が紅く光出した。
すると光の中からぞろぞろと人が出てきた。

「な、なんだ!?」

光は徐々に淡くなっていき、やがて消えた。

魔方陣から現れた人たちは、正面のソファーに座り、驚きに呆然としていた俺を
見て、声をかけてきた。

「あら、目が覚めたのね。気分はどう?」

この人、知ってるぞ!学園の「二大お姉さま」の一人!!
リアス・グレモリー先輩!!

「あ、えと…お陰さまで。リアス・グレモリー先輩ですよね?」

女の子と喋る機会が少ない俺は、緊張して声が裏返ってしまった。
は、恥ずかしい……!!もう死にたいよ……!!

「ええ、そうよ。あなたは古城英志君で間違いないかしら?」

リアス先輩は苦笑いしながらも答えてくれた。

「はい、古城は俺で間違いないです。」
「じゃあ、聞かせたいことがあるから、もう少し待っていてくれないかしら?
そろそろ帰ってくると思うわ。」

帰ってくる?一体誰が……
「ハァ、ハァ。部長〜!!ただいま戻りました!!」

勢いよく開かれた扉の先には、学校一番の親友

「ハァ、ハァ。あれ、エージ?」
「イッセー?」

肩で息をしている、兵藤一誠の姿があった。
イッセーは驚きの表情をして、リアス先輩に詰め寄る。

「ハァ、部長!!なんで、ハァ、エージが!ハァ、いるん、ハァ、ですか!?」
「言いたいことは分かったから、とりあえずイッセーは呼吸を整えなさい」

呆れたような声でイッセーを諭す。

「スーハー、スーハー、スーハー、スーハー。完璧です、部長!!」
「そう、よかったわね」

リアス先輩は苦笑して、イッセーの質問に答えはじめた。

「彼がここにいるのは、堕天使に襲われたからよ」

その一言で、イッセーの表情は固まり。次第に暗くなっていった。

「まさか……夕麻ちゃんが…?」
「それは、当人に聞けば分かるわ。古城君、あなたは何か見ていないかしら?」

堕天使…やはりあの女のことなのだろうか?

「すいません、堕天使ってなんですか?」
「ああ、説明がまだだったわね。どれからいえばいいかしら……?」

すると、魔法陣からいっしょにでてきた一人がリアス先輩に進言する。

「部長、やはりここは僕たちのことから説明しましょう」

ん……?コイツ、この感に触る声は………

「てめぇ!!木場じゃねぇか!!いつからいやがった!?」
「いや、部長と一緒に出てきたんだけど……」

困ったように笑うコイツは学園一のイケメン木場祐斗だった!!くそぅ!!
その爽やかな笑顔を俺にむけるなっ!!悲しくなる………っ!!

「あらあら、また面白い子がきましたわね」
「兵藤先輩と思考回路が同じなだけだと思います……。古城先輩も有名な変態の一人なので……」

顔に手を当ててほほ笑んでいるのはリアス先輩と同じく「二大お姉さま」の一人
姫島朱乃先輩!!
リアス先輩に勝るとも劣らないダイナマイトなボディの持ち主だ。

激辛なコメントをくれたのは一年生の搭城小猫ちゃん。常時無表情な一年のマスコット的な存在だ。
しかし、俺はあの性欲の権化イッセーと同列に見られてるのか……
ちょっと、いやかなりショックだ……

沈む俺にリアス先輩から声がかかる。

「じゃあ、そうしましょう。簡潔に言うと私たちは悪魔なの」
「はい。……………はい?」

突然の発言に間抜けな声を出してしまう。

「冗談ですか?」
「冗談でもなんでもないわ。私たちは正真正銘の悪魔なの」

そう言ってリアス先輩は背中から羽を出して見せた。わお〜、本物だ〜
見ると木場、姫島先輩、搭城さん、あのイッセーの背中からも蝙蝠の様な羽が出現した!!

「これで信じてもらえるかしら?」
「はい…………」

その後、リアス先輩は今の悪魔の現状を説明してくれた。
天使、堕天使…そして悪魔の戦争によりどの勢力も大きな打撃を受け。現在は休戦中。
純粋な悪魔が減った悪魔は人間を転生させ悪魔にする方法を編み出した。
イッセーはどうやらこの方法で悪魔になったらしい。

「あなたを襲ったのは堕天使と呼ばれる存在よ。地獄の覇権をめぐって昔から悪魔と争っているの。なにか心当たりはない?」

天野夕麻は確かに漆黒の翼をはやしていた。

「確かに…………俺は堕天使に………天野夕麻に殺されました…」

静かに告げると、リアス先輩は眉を寄せる。それでも美人だなぁ。

「待って。なんであなたはその名前を知っているの?それに殺された?あなたは
公園で気を失っなっていたのよ?」
「えっ……」

リアス先輩は続ける、

「私が駆けつけたのは、先日イッセーが殺された時と同じ堕天使の力を感じたからよ。
公園であなたは血塗れで倒れていたの。出血のわりに腹部の傷は浅くて死なずにすんだわ。
で、看病するために、ここに連れてきたの」

話を聞いて、俺は自分の腹を確かめる。包帯が巻いてあって、痛みはほとんどない。
でも、あの時確かに光の槍は、俺の腹を貫通していた……

「でも、俺は覚えてるんです!!俺は、天野夕麻に光の槍で腹を抉られて…。」
「それに、なんであなたは天野夕麻の名前を……いえ、存在を覚えているの?」

俺の言葉をさえぎり、リアス先輩は問いかける。

「それは、イッセーから聞いて」
「覚えてるはずがないのよ。堕天使はイッセーに関わった者の記憶を消したのだから」





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