小説『ハイスクールD×D ~古代龍の覚醒~ 』
作者:波瀬 青()

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目を覚ます。この数日で俺は何度、気絶しているんだろうか?
俺は起き上がり、辺りを見る。やはりオカルト研究会の部室で寝かされていたようだ。

誰もいない。外を見ると、陽が高く昇っている。みんな授業を受けてるのかな。
ここで寝てるのもなんだし、かといって授業を受ける気力もない。
どうしようかな……。

「起きていたのね。」

声に反応し振り向くと、扉の所に部長が立っていた。

「部長……。」
「部長だけじゃないぜ!!」

部長の後ろから声が聞こえ、ぞろぞろと部室に入ってきた。

「イッセー、姫島先輩、塔城さん、木場……。何でここに来たんですか?
今は授業中じゃないですか。」

俺の質問に答えたのは木場だった。

「今は昼休みだよ、古城君。君はあのあとずっと寝てたんだ。」
「……そうか、どうなったんだ?」

梓乃が消えて、俺が気絶した後…どうなったのか?

「とりあえずはぐれ悪魔の死体を処理して、大公様に報告しましたわ。もちろん、彼女の事は伏せてありますから心配は要りませんわ。」

姫島先輩は優しく微笑んでそう言った。

「梓乃のことは、俺が謝ります。まさか……あんな事するとはおもわなかったので。」

頭の中で日本刀で、仲間に襲いかかる幼馴染の姿がよぎる。

「確かに驚いたわ、人間にあんな強烈な殺気を向けられたことなんてないもの。」

部長はの言葉に部員全員が顔をしかめる。イッセーが口を開く。

「強すぎだよな。朱乃さんの魔力攻撃でも無傷だったし。」

塔城さんが続く。

「でも……その後の古城先輩には……もっと驚きました。」

俺の神器が発動して、梓乃を退けた。その時、あいつが泣いてたのを思い出し、俺は拳を握りしめた。

「俺は最低だ。仲間を守るために、違う誰かを泣かせちまった。あいつは本当に俺の心配をしてたのに…………!!」

長い付き合いだから分かる。梓乃の言葉に嘘がないことが分かっていた。

「でも、……ああしなきゃみんなが傷ついてたかもしれない。俺は、俺は!!」

知らずのうちに俺の目からは涙が流れていた。

「俺にもっと力があって!!みんなを守れる力があって!!あの時ちゃんと話し合ってれば、こんなことにならなかった!!」

俺の慟哭を聞いてみんな黙ってしまった。

「あのまま彼女との戦闘を続ければ、負けることはなかったかもしれないけど、大きな打撃を受けてしまうわ。あなたの選択は決して最良じゃないかもしれないけど、あなたは私たちを守ってくれたわ。」

部長は俺を励ましてくれた。でも…

「気にすんなよ!!お前のお陰でみんな元気でいられるんだからさ!!戦ってる時のエージ、超カッコよかったぜ!!」

イッセーが肩を組んで話しかけてくる、だがその顔が険しくなり

「それより、お前にあんな可愛い幼馴染がいるなんて……羨ましすぎだろおおぉぉぉぉ!!この裏切り者がああああぁぁぁぁ!!!!
お前は、松田と元浜の前で土下座しろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「結局女かよ!!どんだけ、スケベなんだてめぇ!!」

イッセーのお陰で、少しだけ元気がでてきた。
他のメンバーは俺たちのやりとりを見て笑っていた。



その日の夜、まだ本調子じゃない俺は部長に絶対安静を命じられ部室で休憩していた。
今、部員はみんなが仕事にでていて俺しかいない。丁度いいのでこれからの事を考える。
梓乃に謝って、今度こそ話し合って、誰も泣かないように…。

そんなとき、床の魔法陣が輝きだした。みんなが帰ってきたのか。

「お疲れさ……。」

労いの言葉をかけようとして、魔法陣の中心を見ると、素人目に見ても重傷だと分かる怪我を負った
イッセーの姿が映った。




「『祓魔師(エクソシスト)』に襲われたのよ。」

部長は怪我を負ったイッセーの応急処置を姫島先輩に任せ、状況を説明してくれた。
『祓魔師』教会に所属し、神の加護をうけ、悪魔を滅ぼす事を生業にしている存在。
悪魔の天敵だ。

「『祓魔師』!?なんでそんな奴が……。」

この辺りに教会のような信仰者の集まる場所はない。あるとすれば、町外れの
寂れた廃教会だけのはずだ。

「最近、私の活動領域で妙な動きがあるわ。それに、イッセーを襲った
『祓魔師』はおそらく『はぐれ』よ。」
「『はぐれ』?『はぐれ悪魔』みたいなものですか?」

俺の質問に神妙な顔で答える部長。

「だいたいそんなところよ。『はぐれ祓魔師』、信仰の心を失ったり、悪魔を殺すのに快感を覚える危険な人物が
教会を追放されて、今度は神ではなく堕天使の加護をうけて悪魔を狩りはじめる。
普通の『祓魔師』より厄介な存在よ。」

堕天使………!!!!また俺の友達を傷つけた。俺は拳を強く握りしめていた。

「あのまま、イッセーが『祓魔師』と闘っていれば殺されていたわ。今までは悪魔と堕天使の
関係を保つために黙っていたけど、こんどばかりは見逃す事はできないわ………!」

部長は怒りを圧し殺したような声で呟いた。その身体からはうっすらと紅い
魔力が浮かび上がっている。部長も怒っているのだ。
自分の眷族を大切に思っている。本当に皆を愛しているのだ。
俺は部長の下僕になってよかった。

でも、聞かずにはいられない。

「部長、その『はぐれ祓魔師』の特徴を教えてください。」

部長は怪訝そうな顔をする。

「そんな事を聞いてどうするつもり?まさか、敵討ちでもするつもりなの?
だとしたら、考え直しなさい。神器を使いこなせない貴方じゃ、殺されに行くようなものよ。」
「分かってますよ。でも、イッセーの分は死んでもぶん殴る。」
「悪いけど、教えられないわ。誰かの為に怒る事ができるのは、凄い事
だと思うわ。でも、死んでしまったら意味がないのよ。」

諭すように俺に言い聞かせる。すいません、部長……

「俺の我が儘だって分かってます。だからって、友達が襲われて、
黙ってられるほど俺は大人じゃないんですよ。」

扉を開き、部室をでる。不思議だ。さっきまで動かなかった身体が自由に動く。
神器が俺の気持ちに応えてくれているのか?なら、
もう少し力をかしてくれ。

俺は街へ向かって走り出した。

-8-
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