小説『IS 〜化物は原作に関わらず教室の隅っこで〜』
作者:書きミン()

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一話常人ならざる者
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―私には人に触れてはならない理由がある。











「え?死んだ?」

「そう、君は死んだ」
「飲酒運転の車に突っ込まれてね」
「それはうちの部下の者によるミスだ」
「上司として謝罪させてもらう」

私に話しかけてくるのは
オフホワイトの髪で碧の目を持った青年だった。
そして神様らしい。

「すまなかった」

「え…あ……」
私の両目から涙が溢れでる。

思い出した。
とはいっても覚えているのは突然暗くなった視界と
背中から全身にいきわたった激痛だけだが。

そんなことを言われても
謝られたって……

きっと私はもうあの世界に戻る事はできないんでしょう?
友達と冗談を言って笑いあうことも
両親にお帰りなさいと言ってもらうことも無い。

「君に私からの謝罪の意として『第二の人生』を送ろうと思う」

え?

「あいつ等のバカがこんな所で役に立つとは思わなかったが」

無表情で誰かを辛らつに批評している。
こ…怖い。
涙が引っ込んでしまった。

「IS<インフィニット・ストラトス>を知っているか?」

「え…あ…はい」
ラノベですよね。

「その世界に行ってもらおうかと思う」

「えっ!?」

「ただ、この世界は戦闘がある世界らしいから」
「それなりの戦闘能力もこちらでつけて置く」

「え?あっいや……」

「どうした?」

「それなら別に、IS(原作)に関わらなければ安全だと思いますよ?」

「……原作に関わろうと思わないのか?」

「だって危ないじゃないですか」

「他のやつとは違うのだな……」
「まぁ一応念のためだ、もらえるものは貰って置くといい」

「他の奴?」

「君と同じような境遇の者達だよ」
「大概が『容姿と特殊能力をくれ』と要求してきた」

「私が行く所にも居るんですか?」

「居る」

「……一応、貰っておきます」
他の『転生者』に殺されないために

「殺されないためって……」
「何か欲しいものとかある?転生特典ってことで」

「『防衛手段』は一応あるので他には特に無いです」

「……何と言うか、欲が無いね」
「それだと悪いからこちらで勝手に付けさせてもらうよ」

「ありがとうございます」

「お礼を言われる筋合いは無いんだけどね……」
「第二の人生楽しんできてね」

「いってらっしゃい」

私は第一の人生の最後の眠りについた。
















―別に人嫌いって訳じゃないよ?















私が転生した所は日本のとても小さな村だった。
私は両親にも恵まれて普通の生活を送っていた。

転生3年目私の村は……

先に生まれた『転生者の実験』によって焼け野原となった。


どおぉぉおおおおおん!!!!!


いたい痛いイタイイタイイタイ―――!!!!!!!!

私は生きていた。
神様がくれた『絶対防御』のおかげで。
ただ私は幼すぎて力を完全に使いこなせていなかった。
だからその防御壁はとても『絶対防御』とはいえなかった。

さっきから身体の左が燃えるように痛い。

かろうじて動く目を動かして驚愕した。

そこには血の池しか無かった。

腕も
足も
あるべき身体が何も無かった。

「あははははは!!コレが転生特典か!コレでオレは――――」

幼い声とハッキリした口調が気持ち悪い笑い声と
村が燃える音だけが私の耳に響いていた。

―まだ生きてる。

その時、私はあの子の声を聞いた。
私の半身で
命の恩人で
たった一人の大切な家族
















―普通の人にはちょっとね、あの子は刺激が強すぎると言いますか。















最初は現代医療ではカウンセラーしか手段の無い
精神医療の治療を目的とし
最終的には全ての医療を行うために造られた機械だった。

今は一つだと目に見えないくらい小さい(ナノサイズの)生き物。
再生医療用に増殖もできます。

触れることで人の心を理解し
自分もまた、それに近い知性を持っている頭の良い生き物。

それゆえに『兵器』として目を付けられた。

集まると赤黒い触手の様になってしまうのが難点。
正直言って見た目はエグいです。

正式名称:総合完全医療用郡体寄生生物『心包』(こころづつみ)
又の名をバイオ兵器『H―44』
名前が長いので私は心って呼んでます。

















―心は触られると握り返すクセがあるといいますか。

注意:握り返すのはもちろん赤い触手です。



















私の無くなった身体の左半分は、心によって補われ現在治療の途中。

全治20年
全身皮膚及び心臓・肝臓に重症の火傷
左足・左腕・左肺焼失。

仮初の身体はとても冷たかった。












―きっと、温もりが欲しいんだと思う。











赤ん坊が手に持ったものを握ってしまうのと同じような
そんな可愛い条件反射。
……心は自分で熱を作れないから。












―けどやっぱりその見た目は見られたらアウトだと思う。















私達は同じ事を繰り返さないために
『害を成す転生者』の『記憶』を狩っている。

あの日私は最強の『攻撃手段』と『人間じゃない家族』を得た。












―そう
―私は触れられてはならない。
―私の左半身は今だに心で出来ているから。











「げっ関羽」


原作に介入するつもりは無いけど
『転生者』が沢山来ると思うので、とりあえずIS学園に入学しました。



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衝動で書いてしまったので更新不定期かもしれません。
コメント・アドバイス待ってます。

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