〜プロローグ〜
ちょっと状況を整理しよう。
今いるのは俺の部屋。
時間は夜の11時。
俺、小鳥遊悠騎は正座中。
そして俺の自慢の妹、小鳥遊ニコは謎の魔法陣を俺中心に描いてる。
おかしい。始まって五行目ですでにカオスだ。
「我が兄よ、覚悟は出来ているのだろうな?」
「なんの覚悟だよ!」
実際問題本当になんのことかわからない。
「とぼけるでない!貴様は我に秘密を隠しているな?」
「秘密?」
「こ、これは貴様の聖書だろう!?」
そう言ってニコが取り出したのは薄い本の束。
ん?これちょっと見たことがあるな‥‥‥。
なになに?えーっと、『お姉さんのヒ・ミ・ツを全部見せてあげちゃう本』?
っぎゃぁぁぁぁぁぁ!それ俺がずっと隠してきた『神作ベスト100』じゃん!
「お、おおお兄ちゃんはこんなHな本を100冊も持っていたんだね!」
『神作ベスト100』を見たニコの口調が中二病モードから普通に戻った。
「ち、違うんだニコ!誤解だ!それは俺の友人から借りたんだ!本当なんだよ!」
とっさに中学生みたいな言い訳をしてしまった。
あぁ、やばいついにばれたか。さよなら、聖書100冊。
「お兄ちゃんの友達から借りたの!?」
我が妹ながらなんて単純なやつだ!
「そうなんだよ!友達に親にバレそうだから俺の部屋に隠しておいてくれって頼まれたんだよ!
だからこういうHなことにはお兄ちゃん全然興味ないからな!」
ナイスフォローだ俺!これで妹も納得してくれるだろ‥‥‥
あれ?なんで逆に落ち込んでんの?
「Hなことに興味ないの!?お兄ちゃんは妹に興奮しないの!?」
「興奮しねーよ!興奮したら俺最低じゃねーか!」
「お兄ちゃんのばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
周りをよく見たらいつの間に魔法陣が書き終わっていた。
「罰としてお兄ちゃんを生贄にするんだか‥‥‥じゃからな!」
そしてまた中二病モード突入。
「我が心に潜む邪の心よ!お兄ちゃ、我が兄の体を生贄としこの地上に舞い降りてその力を振るうがいい!」
「誰か俺を解放してくれぇぇぇぇぇぇ!!」
こうして俺は妹の儀式で朝まで呪われ続けた。