小説『俺の妹が中二病すぎて困る』
作者:陽ノ下 天音()

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〜第一話 不可抗力だよ!?〜

 俺はあの後、8時間にも渡るニコからの恐ろしい呪いの儀式をなんとか耐え抜いた。
 まぁ儀式というよりもただ中二病モードで悪口を言われ続けただけなんだけど。
「お前、今日も寝不足かよ・・・」
 そう言いながら廊下で俺に話しかけてきたのは俺の唯一無二の親友、矢岳康介だ。
 康介はすごくいいやつで人の話を聞くのがすごく上手だ。
 だけど康介は極度の女好きだ。
 そのせいで人生の半分を女の子につぎ込んでいる。
 簡単に言えば『女の子中毒』。そのせいでクラスの女子からはかなり嫌われている。
 クラスの女子からはいつもゴミを見るような目で見られているが本人曰く
「女の子に蔑まれると興奮するぜ!」だそうだ。
 もう変態でしかないよなぁ。
 ちなみに女の子なら幼女も熟女も二次元もいけるらしい。なんてやつだ。
 まぁ、そんな説明は置いといて‥‥‥
「なんでわかったんだ!?」
「いや、顔からっていうか全身から陰のオーラが出てるし。」
 多分、今俺は陰のオーラが見えるくらい見た目がひどいんだろう。
 でも康介は俺がやつれている理由は知らない。
 康介には俺に妹がいることを教えていない。
 ニコは見た目だけは一応可愛い。俺が太鼓判押すぞ。
 もし康介に教えたら間違いなく狙ってくる。
 だから絶対に教えるわけにはいかないんだよ!
「お前何でいつもそんなにやつれてるんだよ?」
 呆れた目で見てくる康介。
 しょうがない、冷静にごまかそう。
「いやぁ、昨日はオールナイトフィーバーだったよ」
 何言ってんの俺ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!
 まずい!俺ってば本当に嘘が下手すぎる!
 バレちゃうよ!嘘だってバレちゃうよぉぉぉ!
「‥‥‥どんなものを見たんだ?」
 我が妹と同様、コイツも単純だー。
 っていうか俺の周りは単純なやつばかりだな!オイッ!
 でもこれはチャンスだ!これを堺にごまかそう!
「『お姉さんのヒ・ミ・ツを全部見せてあげちゃう本』ってやつだ」
 俺のアホぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
 これは不可抗力だ!俺は悪くない!
 俺の口が悪いんだよぉ!
 っていうかまたこの本かよ!
 とりあえず本の内容が頭から離れないのは内緒の方向で‥‥‥
「俺にも貸してくれるよな」
 康介が超キメ顔だ!
 結構イケメンなのがまた腹立つ。
「あっ!やべ!そろそろホームルームだから!じゃあな康介!」
「おうっ!本は今度貸してもらうぞ!」
 やっぱ貸す前提なんだな。オイ。
 チャイムが鳴ったので俺は急いで教室に向かった。
 よしっ、そこの角を曲がれば教室だ!
 『角曲がったら女の子とぶつかるかな』とかちょっと思ってる俺は康介レベルだな。
 
 ドサッ!

 本当にぶつかってしまった。
 ぶつかった拍子にその女の子の胸を触ってしまった。すごい平面だ。
「ゴメン!大丈夫!?これは不可抗力で・・・・・・」
「はははっ!これくらいのことで我が負傷するわけがないだろう?」
 ん?この喋り方どこかで聞いたことあるような・・・・・・?
 見た目もよく知っている。
 綺麗な銀髪は丹念にケアされていることを鏡が如く表している。
 翡翠の色をした瞳に吸い込まれそうな勢いで俺は見つめられる。
 フリルが大量についた黒がベースのドレス、悪魔の尻尾。
 ・・・・・・そして必要な脂肪が一切ついていない胸元。
「なんでお前がここにいるんだよぉぉぉぉぉぉ!ニコぉぉぉぉぉぉ!!」
「お兄ちゃん失礼なこと考えて思い出したよね!?」

                                      第一話 完

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