小説『大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦!!【R-15】【完結】』
作者:はならむ()

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見知らぬ所に飛ばされ、見知らぬ男達に捕縛され、どこかも分からぬ所に連行されようとしているのび太達二人。

「あっ……あたし達どうなるのかしら……?」

「さっ……さあっ……?」

二人が不安と恐怖の声を漏らしていると、

「私語は慎めぇっ!!」

「「ひいっ!!」」

男のドスの利いた脅し口調の怒鳴り声が二人を萎縮させる。

円盤に乗りまるで迷宮のような複雑な構造をしている内部を移動していると、とある行き止まりにたどり着いた。
周りを見ると非常に広く3つの円盤型の装置が置かれている。それは数十人くらいなら容易に乗れそうな大きさだ。


二人と男達はその内の一番上にある装置に乗る。
すると上空から、

“行き先を呼応してくだい。現在エリア10からエリア25は都合の為、移動することは出来ません。そちらへ移動する場合は……”

音声が入り、男の一人が大きな声をあげる。

「エリア5に移動する。急いでいるので迅速に頼む!」

“了解。ワープに移行するため、この範囲中から出ないで下さい”

すると、装置内に凄まじい光が全員を包み、飲み込まれる。そして、

(バシューーッ!!)

目にも見えぬ速さで全員がその場から消え去った。

……………………………
「「……」」

二人は驚きのあまり唖然とした。数秒間の出来事でさっきとは異なる場所に移動していた。

「ここ……宇宙船か何かじゃないかしら……」


「どうしてわかるの?」

「だってあたし達が乗ってるお皿みたいな乗り物にしてもさっきの装置にしても……地球の科学力じゃ到底造れないくらいの進んだ科学力よ……。
あたしの勘だけど……ここ全体が移動してる感じがする……」

「えっ?」

そう二人が話していると、横にいた男が持っていた拳銃をのび太の方へ向ける。口10;
「喋るなと言わなかったか?これ以上喋るなら今ここで死んでみっか?」

「「ひいっっっ!?」」

二人はさらに萎縮する。男達を怒らせると本当に発砲しかねなかったからだ。

そんな状態がしばらく続き、移動していると不意に円盤が停止した。

そこは……。

「「うわあああっっ…………」」


まるで快晴の日中のような明るさで非常に広い。広いってもんじゃない、小さな村一つは入りそうな空間で周りには膨大な数の精密機械が至る所に配備されてある。中央には巨大な司令搭が置かれている。
天井には巨大なウインドウが多数張り巡され、そとからは様々な惑星が写る宇宙が非常によく見える。
まさに壮大、圧巻としかいいようがない。そして、しずかが言ったことが的中した。ここは宇宙船内部である。


「リーダー、連れてきましたぜっ!」

(ドンっ!!)

「「うわっ!(キャッ!)」」

二人は男達によって乗り物から突き落とされて地面に倒れ込んだ。
二人は上を見上げると、その高くそびえ立つ司令搭から先ほどの男と女性が二人を見下ろしていた。
すると男はそこから飛び降り華麗に地面に着地、二人の元へ歩いてくる。

「「…………」」

二人は男を見て顔が恐怖でひきつっていた。黒いタイツで全身を纏い、ぼさついた銀髪で顔の至るところに無数の傷が目立つがそれさえなければ非常に端正な顔立ちで、まるで自分たち地球人のような顔である。

しかし、その瞳はまるで紅蓮のような赤い瞳で狂ったかのような螺旋状である。
そして男からは身体中が震え出すほどの威圧感と殺気を帯びるオーラを放っている。

男はのび太達の元へつくと不敵な笑みを浮かべて見つめてくる。

「あなたは……一体誰?」
しずかの問いに応えると思いきや、男は左手をしずかに向かって突きだした。左手をよく見ると人間の皮膚ではなく、金属で精巧に作られた手…義手であった。

「えっ……?」

それだけでも充分驚きだがのび太達は突然何をするのか不思議がっていると、

(ガシャンっ!)
男の手首から4つの銃口のついたギミックが四方、しずかに向けて突きだした。

「なっ……なに?」

何をし出すか分からない男に対し、しずかは恐怖のあまり尻餅をついたまま後退りはじめた。しかしそれを逃がすような男ではなかった。

(ピイッ!)

「キャアアアアッ!!」
「しっしずかちゃんっ!!?」

その銃口の一つから飛び出した青白い光線がしずかの右太ももを貫通し、鉛筆の幅ぐらいの穴と動脈を突き破ったのか、おびただしい量の出血をし出す。

「しずかちゃんっ!!しずかちゃん!!」
「いっ……いつ……」

のび太はなりふり構わずしずかを必死でゆするが、しずかは全身に大量の汗をかいて足を押さえてうずくまっている。このままでは大量出血でしずかの命が危ない。

「なんてことをするんだっ!?女の子だぞっ!?」

のび太は男にぐっと睨み付けるが男はそれを見もせず今度はしずかに近づき、

「いやあああっ!!」

なんと男はしずかの貫通した傷口を足でぐいぐい踏みにじる。彼女はあまりの激痛に大粒の涙を流してしまった。

「やめろぉぉぉぉっ!!」

のび太は踏んでいる男の足を抱き抱えて止めようとするが、当然男の力のほうが遥かに強かった。

瞬間、男が即座にのび太の頬に裏拳をかまし、のび太は吹っ飛ばされて床に倒れ込む。
すると今まで黙っていた男がついに口を開く。

「おめえ誰にモノ言ってやがる?」

のび太は悶絶しながら頬を押さえ、そして男の方へ見ると男はのび太に向かった狂気じみた笑みを浮かべていた。

「お前たちはここをアマリーリスの母艦、エクセレクターだと知って侵入したのか?本来なら、見つかった時点で殺されても文句は言えんのだぞっ!!」

それを聞いたのび太は不思議そうな顔をして立ち上がる。

「あっ……アマリ……リス……?エクセレ……クタ……?」


聞いたことのない名前である。男もあどけない彼の顔を見てきょとんとなった。

「なんだ、お前オレらの事知らねえのか?よほど辺境の宇宙から来たんだろうな……。
お前らどこの惑星からやって来たんだ?」

その問いにのび太は間を空けた後、震える声でこう言った。

「ちっ……地球からっ……」

それを聞いた男は驚いたような表情を取った。

「地球だと?ならお前らは地球人かぁ!?」

のび太はコクッと頷いた。すると男は周りにはいた大勢の部下の方へ向いて高笑いしだした。

「わはははっ、お前ら聞いたか!!地球人だとよっ!!」

それと同時に部下達も笑いはじめる。

「ギャハハハッ、こりゃあ奇遇だなぁ!!」

「なんて奇跡だよっ!?イヒハハハッ!!」

周りのざわめきを全く理解できないのび太。辺りを見てキョロキョロし出す。
すると男は笑い涙を浮かべて、のび太にこう言った。

「実はな、次の目標惑星が終わった次の侵略予定の惑星は地球だったんだよっ!!」

(! ?)

のび太は耳を疑った。【侵略】……ということはこいつらは悪の組織なのか。


しかも、のび太達の地球がこいつら狙われているという事実を知ってしまったのであった。

のび太は絶望する。侵略されたら自分たちどころか、両親、友達、いや地球人全員が殺されかねない。
それだけじゃない、そうなったら未来世界も改変され、残酷で劣悪な未来となりうるかもしれない。そう気づいたのであった。

「まあ運がなかったとしか言いようがねえなっ。安心しな、てめえらはこの場で死んでもらうし親やダチは後で地獄で逢えるだろうぜっ!!わはははっ!!」

男は豪快に笑いまくる。それを見たのび太は絶望もあるが怒りも膨れ上がる。

……しかし、自分の力では何もできないのが現状であった。
この男、見る限りただ者ではない感じがして、周りにも自分達より能力にしても装備にしても絶対的多数である。
しずかも大怪我でその場から動けない、それらがのび太にあまりにも無力だということがイヤというほど思い知らされるのだった。

…………………………………

その頃、ドラえもん達はすぐに謎の二人組を金属体から外に出し、その場で看病をしていた。
「どっドラえもん……この人達……どこから来たんだろ?」
「さあっ……けど多分……宇宙人だと思う」
「けっけどさ……この女の人、かなり美人だよなっ……」

女性の方はロングコートと言うべきものか丈の長い、白、黄色などの色を基調とし、ビシッとした軍服らしき服装であった。
顔は非常に地球人の顔に酷似しており、しかも誰もが見とれてしまうほどの美人であった。

一方、不思議な生物はモコモコしたピンク色の毛が印象的で、ウサギのような耳と手と足がある。シッポは……なさそうだ。
三人は静かに眠る二人を見て、頭をかしげていた。……すると、

「うっ……うん……」

女性が意識を取り戻したようだ。それを見て喜ぶ三人。

女性は少しずつは目を開いていく。しかし、

「きゃあっ!!」
突然、女性は目を手で押さえてうずくまり始めた。

「「「だっ大丈夫ですかっ!?」」」&#010;
すると女性は震える声でこう言った。

「サン……グラスは……どこっ……?」

それを聞いたドラえもんは何か気づいたのか、手をポンと叩いた。

「もしかしてこれですかっ!?あの中に落ちてました」

四次元ポケットから地球とは異なる形のサングラスを取りだし、女性に渡した。

女性はサングラスをつけると起き上がる。

「ふぅ……助かったわ。ありがとう」

すると女性は何か思い出したか、辺りをキョロキョロ見る。そして地面で寝ている生物に気づくととっさに生物をグラグラ揺らした。

「ミルフィっ!!起きてっ!!」

するとそれに応えるかのように生物の目を開き出した。

「えっ……エミリア……?」
その生物も起き上がる。寝ぼけているかボーッとしている。が、すぐにそんな状態が終わる時がきた。


「ああっ!?エミリア、ここはっ!?」

この生物の能力なのか、風船のように宙にふわふわ浮かんでくるくる回っている。

「ここは地球よ。どうやらあたし達はここに不時着したようなの……」

「なんだってっ!?」

三人をほっといて話を続ける二人。

「あのぅ……話の途中に割り込んで悪いですけどいいでしょうか……?」

ドラえもんが恐る恐る声をかけてみると、二人はハッと気付き振り向いた。

「あっ……ごめんなさいっ!焦ってたもので……」

「エミリア、この人達は?」

「この子達が私達を助けてくれたのよ」

「へえっ、いい子達なのね〜っ。ありがとうございました〜♪」

二人はドラえもん達に対して深くお辞儀をする。それに対し三人は急に照れくさくなった。

「いやいやっとんでもないっ!
ところであなたたちは……?」

すると二人はドラえもん達の方へ行き、手を差し出した。どうやら握手のようだ。

「あたしはエミリア・シュナイダー、銀河連邦所属のこの銀河系及び、太陽系周辺の偵察と保護を担当する部隊の士官よ。
エミリアと呼んでくれたらいいわ」

「あたしはミルフィ。エミリアのパートナーで銀河連邦所属のオペレーター担当ヨっ!よろしくね♪」

二人は自己紹介するが三人は初めて聞く言葉にポカーンとなっていた。

「「「ぎっ……銀河……連邦……?」」」

三人とも頭を傾げる姿を見たエミリアは苦笑いをした。

「わっ…わかったわっ、分かりやすいように教えるわ……」

……………………………………
【銀河連邦】

宇宙の平和と秩序を守る正義の連邦組織のことで、いわば宇宙規模を誇る警察である。
多数の様々な先進種族が集まり、様々な部隊に分かれていて、エミリア達は話であった通り、ここの銀河系周辺と太陽系内の保護、偵察を担当する部隊に所属する。

…………………………………

「すっ……すっげぇっ!!カッコいいじゃん!!」
「ぼっ僕も入りたいなぁ!!」
歳相応の男の子らしくスネ夫とジャイアンは凄く関心を持っていた。

「ここでのび太もいたらさぞかし羨ましがるだろうな?」

「そうそう、のび太が……?」
ドラえもん達は約三秒くらい沈黙したあと、


(あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!思 い 出 し た あ ぁ ぁ ! !)


三人は突然、大声を上げて慌てふためきだした。それを見てびっくりする二人。


「忘れてたっ!!のび太としずかちゃんはどこに消えたんだ!?」

「ドラえもん、何とか探し出せないの!?」

「ちょっと待ってて、えっとあれでもないこれでもない!!」

ドラえもんは慌ててポケットから物を出すがワケの分からないものがたくさん出てくる。

「こんな時に焦んなっつうの!?」

ジャイアンとスネ夫は情けなくなりひどく呆れている。

「あったぁっ、『タイムテレビ』っ!!」

手応えを掴んだドラえもんはポケットから多数のボタンがついた液晶テレビみたいな道具を取り出した。

「とりあえずどこでもドアよりは遥か先まで見渡せるけど……上手く映ってくれるかな?」


ドラえもんはタイムテレビを出して操作をする尻目にエミリア達はとても不思議がっていた。

「ねえっ、これはなに?」

スネ夫がエミリアに顔を向けてかっこつけるかのようにこう言った。

「これはどの時代、どの場所でも入力した所を映し出してくれるドラえもんの秘密道具だよっ!」

「どの時代って……あなた何者?」

「ドラえもんは22世紀、つまり今から100年後の未来からやって来たネコ型ロボットなのさっ」

それを聞いた二人は驚きの表情を隠せなかった。

「100年後の……未来からですって……?」

「ひゃあ〜っ、君はスゴいんだねっ!」

その間にドラえもんは必死で操作していると少しずつだが何かが映りこんできた。

「んっ?なんだ?」

「よく見せろよっ!!んっ?」

画面の砂嵐から徐々に視界が良くなってくる。

しかし、その後にみた全員が目を疑うこととなる。

「なっ何なんだこれは……っ?」

「しずかちゃんが……倒れている!?」

「あと、こいつらは一体何者なんだ?」


画面に映ったのは、とても広大な場所に無数の装置と機械が置かれた場所でのび太としずかは謎の男達に囲まれていた。
しずかは倒れてこみ全く動かず、すぐそこにもっこり黒タイツを着用した筋肉隆々の体躯の男が対峙しているのび太を追い込んでいた。

「こっこれは一体……?」

三人が驚くなか、突然エミリアがドラえもん達を割り込んで画面を覗いた。

「こっ……こいつは……まさかっ!?」

エミリアの身体はぶるぶる震えだし、顔もだんだん険しくなってくる。まるでこの黒タイツの男に対して憎悪を剥き出しにしているかの如く。
「エミリア、もしかしてこいつらはっ!?」

ミルフィも画面を見て、顔色が変わった。どうやらこの二人はこの男達の素性を知っているようだ。

「……アマリーリス……あいつは……ラクリーマ……ラクリーマ・ベイバルグっ!!」

エミリアは震えるような口調でそう言いはなった。しかしその声から憤怒の感情がこもっていた。

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