小説『大長編ドラえもん のび太の宇宙大決戦!!【R-15】【完結】』
作者:はならむ()

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……………………………………
「ドラえも〜ん!」

「のび太君どこにいってたんだい、心配したんだよ!!」

二人はあの裏山で再開を果たす。抱き合った後、互いの手を掴み、ぐるぐる回り始めた。

「それがさあっ!!僕、すんごい宇宙旅行をしてきたんだよっ!」

「ええっ!?どっどうやってっ!?」
ドラえもんは驚いたような口振りをする。のび太は後ろへ振り向いて、指を指した。

「僕ね、ラクリーマっていう……あれっ?」

のび太の後ろには誰もいない。
「あれっ、おかしいな……?確か着いてきたハズなのに……」

(ドワオオオオンっ!)

瞬間、のび太の住む町の方から何かが大爆発したかのような大音響が鳴り響き、驚いた彼はすぐに町の方へ振り向いた。すると……、

「はあっ……ああっ……」

なんと町は紅蓮の炎に包まれて、見るも無惨な姿に成り果てていた。家は倒れ、ビルは崩れ落ち、人々が悲鳴を上げながら逃げ回っている光景を目にした。
「どっ……どうしてぇ……あれっ、ドラえもん?ドラえもん!は?」

さっきまでいたハズのドラえもんがまるで神隠しにあったかののようにいなくなっていた。

「ドラえも〜ん!!」

ドラえもんを呼ぶ声が辺りにこだまする。が、本人の返事はすることがなかった。

「よお、のび太ぁ!」

「!?」

どこかで聞き覚えのある声に、彼はすぐにその方向へ振り向いた。それは……、

「らっ……ラクリーマ……レクシーさんっ……」

そこにいたのはラクリーマとレクシー、その他一同のアマリーリスの組織員がのび太に殺気を込めた視線を注いでいた。

「のび太、ワリィなっ!!地球侵略はしねえっつったけどありゃあウソだっ!!」

「なっ……なんだってっ……!?」

のび太は耳を疑った。それはあまりにも衝撃が走り、それと同時に恐怖や怒り、それ以上の悲しみが込み上げてくる。

「ラクリーマひどいよぉっ!!よくも僕の町をっ!!」

その訴えに反し、ラクリーマはニイッと笑ってこう言いはなった。

「けっ、あんな約束を守る奴がどこにいるか?俺らはこれでも幾多の惑星を侵略したアマリーリスだぜ?
騙される方がワリィんだよ!」
のび太の瞳から涙が込み上げてくる。周りではのび太を憐れんでいるのかニヤニヤと笑っている連中がほとんどだった。

「どっドラえもんはっ!?」

「なんだそいつは?ああっ、この青タヌキのロボットか?」

するとラクリーマはある部下を呼び、のび太の前に立たせた。しかし、その手に持っていたのは……、

「どっ……ドラえもんっ!!?」

なんとドラえもんの顔以外は全て無くなっていて、いわゆる生首のような無情の様と化していた。
のび太は家族であり親友のドラえもんがあのような姿になったことに絶望、それにしか頭になく、涙すら出てこなくなった。

「どっ……ドラえもん……っこんな……」

のび太は膝をつき、顔を下げて無気力と化した。そんなのび太を見て、ラクリーマ達は牙を剥き出しにする。

「心配すんな、しずかやおめえの仲間も同じ道を辿ったしてめぇもこいつらと再開できるぜ。地獄でなっ!ギャハハハハッ!!」

ラクリーマ達の狂喜の笑みが加速し、辺りには暴虐の晩餐と化していた……。

……………………………………

(のび太ぁぁっっ!!)

「うわあああああっっ!!……あれっ?」

のび太は気がつくと、部屋のベッドに寝転がっていた。目の前にはレクシーが歯ぎしりを立てて彼を睨み付けていた。

「れっ……レクシー……さんっ?」

「たくっ、いつまで寝てンだ!?何回叫んでも起きなかったじゃねえか!!」

のび太はすぐにベッドから起き上がる。さっきのは夢だったのか、体が汗でびっしょりで肌寒かった。
しかし、夢だと考えたら安心感になりつつも何か複雑な心境だった。多分、昨日のラクリーマの話を聞いたせいなのかもしれない。

「案内するから早く着替えろ。しずかが待ちくたびれてるぜ?」

「はっはいっ!」

のび太はパンツとシャツだけだったのですぐに服に着替え、廊下に出た。
そこにしずかがクスッと笑って待っていた。

「ホントのび太さんはねぼすけさんねっ!」

「いっ……いやあっ……」

のび太は顔を赤くして頭を撫でる。
するとレクシーが二人の前に立ち、手を腰につけて胸を張った。

「っしゃっ、なら行くか?間違ってもはぐれんなよ。艦内は非常に広いから探すのに骨がいる」

二人はうなずき、長い廊下を歩き出す。
するとのび太がこう質問した。

「レクシーさん、あの円盤みたいな乗り物には乗らないんですか?そのほうが速く進めるんじゃあっ」

「あれは艦内の巡察とか緊急時用なんだ。俺たちは身体能力が資本だから、あんなもんに頼ってちゃあ体が鈍る。だから全艦内エリアを仕事で回る時以外は使用禁止だ」

「そうですかぁ……っ」

のび太はがっかりして肩を落とす。レクシーはそんなのび太に励ますように促す。

「まあ、この艦内にはそのためにテレポーター行きとか各エリアへの最短ルートが沢山あるし1日で色んな場所に行けるから安心しろ」

それを聞いて彼は安心したのか大きな息を吐いた。

「まあのび太さんたらっ、ふふっ」

しすかも彼を見てクスッと笑った。

「なら最初は中央部、エリア5へ行くか。お前らとリーダーが初めてあった場所、中央オペレーションセンターがあるところさっ」
レクシーは右腕をぐるぐる回し、張り切りながら陽気に二人を率いて行った。

……………………………
エリア5。
エクセレクター内の中央部でいわば、ここでほとんどの管理、運営がされている場所ある。
またのび太がラクリーマと決闘した場所、オペレーションセンターがあるエリアである。

のび太達はそのエリアの通路を歩いていると誰かが向こうから近づいてくる。どうやら見たことのある女性に見えるが。

「ユノンさんだ、お疲れさまですっ!!」

それはユノンであった。彼女は右手にパネル機器のようなデバイスを持ち、こちらを見ている。レクシーは足を揃えてお辞儀をした。

「……ラクリーマの隣にいた人だっ……キレイな人だなぁ……」

「ほ……ほんとに美しい人だわぁ……」

のび太どころか同じ性別であるしずかでさえ、見とれてしまうほどの美しさだった。しかしその瞳は寒気がするほどの蒼い瞳をしていた。

「…………」

ユノンは何も言わず、レクシーに軽くうなづくと三人とは反対方向へすれ違っていった。

「あの女の人、なんか気難しそうな雰囲気だったけど」

「ええっ」

するとレクシーは不思議そうに会話をする二人に、フッと笑いかけ、こう説明した。

「あの人はアマリーリスの副司令官でリーダーの秘書を務めるユノンさんだ」

「ええ〜っ?あの人が副司令官っ!?」
「あんな美しい人が……っ?」

あまりのギャップに二人は驚きの声をあげる。彼の説明はさらに続く。

「クククッ、確かにな。あんな美人さんが俺らより立場が上だなんて信じられないだろ?
けどな、あの人もホントに出来る人だからな、リーダーや俺ら野郎組もあの人を非常に信頼してるぜ」

三人はまた歩き出し、彼はユノンについて話はじめる。

「あの人は俺らの仕事である侵略作戦をリーダーと作成するのが主な仕事だ。
戦闘、侵略時はエクセレクターの代理艦長を務め、艦内の指示や戦線にいる戦闘員に指示をする役目も兼任してる。
リーダーは自ら目標地で先陣に立って俺らに直接指示するからサポートしきれないところや、不明な点を調べ、俺たちに指示してくれる。
それ以外の仕事は雑務や艦内で調査、各エリアの巡察などの色々な仕事をしている。まあ……非常に忙しい人だなっ」

言葉を失うのび太達。話の聞くかぎり多大な役割を任されていると知ったが、小学生ゆえか、全く想像がつかない。
しかし、どうしても二人に『侵略』という言葉が頭の中で引っ掛かる。やはり昨日の会話が問題であった。

するとレクシーは腰を低くして、二人の耳元でこう呟いた。

(気をつけろよ、あの人無口でホント冷めてるけど、キレると下手したらリーダーより怖いからな……)


((ええっ……ホントですかぁっ……?))

(ああっ、リーダーがユノンさんに正座させられて説教されてるのはもはや日常茶飯事だからな。仕事上はともかく……まあ……たわいないことをしてだなぁ)

(あっあのラクリーマが……たわいなことって……?)

するとレクシーは珍しく落ち込んだ表情をして、ため息をついた。

(…………覗きだっ……ユノンさんのな……リーダーは何回やって、バレて説教されても懲りねんだよっ。あと、ユノンさんの部屋に忍びこんだりしてイタズラしたり、セクハラしたりな……)

((…………))

二人はラクリーマのことに対して、非常に呆れ果てて、何と喋ったらいいのかわからなかった。
「そろそろオペレーションセンターだ。昨日見たしそんなに説明することはねえから、大まかなことを教えて次のエリアに行くか」

三人は数分後、目的地に着いた。
周囲には沢山の組織員が各モニターや装置を扱っていた。どうやらここではこの艦の操作も担当しているらしい。レクシーは二人にそう教えた。

「よおレクシー、地球人のおもりか?わはははっ!」

「うるせえっ、案内だっ!」

彼は仲間達の所へ行き、笑い声を上げなら話をしている。そんなレクシーを見て、微笑ましく思うしずか。

「レクシーさん、楽しそうよね。ねえ、のび太さん……?」

しかしのび太は妙に落ち込んでいるような表情だった。顔はにっこりとしているも何か腑に落ちないかのようだった。
「のび太さんどうしたの?考え事?」

「うん。ドラえもん達、今なにしてるかなって……っ」

「あっ、そうだわ。けど地球に帰れるんだし、あんまり心配しなくてもいいんじゃないかしら?」

「そうかな……?」

二人でしんみりとした話をしている矢先、レクシーがのび太の元へ帰ってくる。

「わりいわりいっ!!ついあいつらと話が長くなってなっ……んっ、どうしたんだお前ら?」

妙に暗い雰囲気ののび太達を感じて、レクシーが声をかけるも、二人はすぐに首を横に振る。

「なっなんでもないです!!」

レクシーは首を傾げてきょとんとした表情をした。しかし、すぐに手招きをして歩き出した。

「次は訓練エリアだ。俺ら戦闘員にとってこの艦内の仕事場と言えるエリアだ。多少、汗臭いかもしれないがまあ……いいだろ」

「はあ……っ」

「汗……臭い……っ」

妙に乗り気ではないのび太達。まあ……男の汗の匂いなんかわざわざ嗅ぎに行く気にもならないだろう。
しかし、案内してもらっている立場で行きたくないと発言するのも気が引けるのだった。

そう思いながら、二人はレクシーと共にオペレーションセンターをあとにした――。

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