小説『ゼロの使い魔!?〜覚醒の邪竜〜』
作者:イザナギ()

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題名:助けられて転生


目を開けると、そこは闇だった。

何故に?待て待て待て、僕はさっきまで……何してたっけ?

えーと会社行こうとして横断歩道渡ってたら信号無視した車が突っ込んできて。
でも後ろから誰かに押されて歩道まで転がってって……記憶がないから今に至るんだとは思うけど。
いやそもそもそれ以外の記憶がほとんどないけどさ。

いやほんとどうしてこんなとこにいるんだか。
仮に死んだとしてもテンプレでは白い空間が普通だろ?

「目が覚めたようじゃな」
「…………誰?記憶ほとんどないけど幼女に知り合いなんていなかったと思うけど」
「……流石闇に属するもの、ということかの。いきなりそのようなことを口にするとは。私は神じゃ」

いきなり幼女に出会って、思ったことを素直に言ったら闇に属するといわれしかもかみと言われた。

「ヘアー?ペーパー?」
「違うわ!神じゃ神!ゴット!」

神なんだと。テンプレ?なら何故闇なのかと。いや、眩しいのよりは暗いほうがいいけどさぁ。

「神様でテンプレってならなんで闇の中なのさ?というかそもそもなんで僕ここにいるんだ?」
「一つ目は私が邪神じゃからじゃな。二つ目はお主の運命が変わってしまったからじゃな」

What?英語苦手な僕が英語使っちまうくらいびっくりだよ。

「一つ目はおいといて二つ目から聞くけど、運命が変わったからここにいるってどういうこと?」
「本来、おぬしは車に轢かれて死ぬはずだったんじゃが、そこをある人物が助けてかわりに死んだからじゃ。そのものは、私ではないほうの神が扱っておる。まぁ転生することになるのだろうな」
「助けようとした人には感謝。で、どうしてここにいるかって聞いてるんだけど?」
「うむ、人にはある程度の選択肢がある、もっとも私たちが予期した道を歩むのが普通なのだがな。とはいえたまにおぬしのように、私たちが予期せぬ道へ行くこともある。そのような道へ行ったものを、処置したりするのが私の仕事なのだ。ちなみに、歩道まで転がってったあと、工事現場から落ちてきた鉄骨で結局死んだがの。まぁ苦しまなかった分よかったのではないか?」
「いろいろ突っ込みたいがまぁ苦しまなくてよかった、ってところには同意するよ」

子供のころ、死ぬのは嫌だ、苦しいのは嫌だ、と思い続けてきたし。

「で、邪神って御伽話とかで出てくる冥王ハデスみたいな?」
「話が変わるのが突然じゃな。まぁそのようなイメージで間違っておらん。しかしお主は無神論者だと思っておったが?」
「記憶ほとんどないから分かんないよ」
「ふむ、なるほど。こっちに来る前に記憶が欠けたか。エピソード記憶だけのようだから生活に問題はないだろうが。ほれ」

幼女が宙に浮いて俺の頭を撫でると――――――――――すべての記憶がよみがえってきた。
いろいろ悲惨な過去が。

「うん、思い出さないほうがよかった気がする。ああ、無神論者ってのは違うよ。僕は八百万の神を信じてるから。そのなかに色々いるんだろう、って考えはあるよ。もっとも、私以外に神はいない!みたいな教えの神様は信じないけど」
「そのような考え方があるとはな。人間は愚かだが、やはり面白いものがある」

面白い?僕はつまらなかった。どいつもこいつも人のことを馬鹿にして、人を人と扱わない屑ばっかりだ。そのくせ自分の事は省みない、そんな連中ばっかだ。

「だからこそ、面白いのではないか?お主を傷つけたのも人間、じゃがお主を慰めたり、安らげてくれたのも同じ人間であろう?」
「そりゃそのとおりだけどね。ナチュラルに人の思考読まないでくれるかな」
「私もあまり人の考えを読み取るようなことはせんよ。じゃがいきなり負の感情をだしたら気になるだろう?」

それもそうだ。神って万能ってわけじゃないだろうけど、思考読み取る能力をほいほい使われたくない。
しかし、この幼女可愛すぎる。ロリコンの自覚はないし、ハーレム願望もあるけどかわいいな。
人の記憶を嫌なものとはいえ思い出させてくれたり、ちゃんと僕の話を聞いてくれるし。
さて、頭の中をほかに切り替えよう。僕はどうなるんだ。

「じゃあ邪神さん、僕はこれからどうなるの?まさか地獄とか?」
「いや、お主には転生をしてもらう」
「マジで?どこに?」
「ゼロの使い魔、おぬしたちの世界では略してゼロ魔と呼ばれていたな」

この人(神だけど)なんでいろいろ知ってんだろう。

「何故ゼロ魔?」
「こう見えて下界でよく暇つぶしにゲームや漫画などを手に入れにとったからの。本当は野菜坊主が主人公の世界に行かせたかったんじゃが、今は色々と無理なんじゃ。転生者がたくさんいてな、平行世界を作るのにも追いついていない。さっきおぬしを助けた奴がそこを選んでいっぱいになってしまったようでな」

いやまぁ別にゼロ魔でもいいってよくねえよ。

「そのままいったら即死ぬよね。オタクって呼ばれる分類に入るからそれくらいわかるんだけど」
「それくらいわかっておる。だからそなたの願いを聞き、私はそれをかなえる。こんな姿でも私はかなり力が強いのでな。上限ラインはかなり上じゃから、思うまま言うがいい」

死にたくないので言ったら、テンプレで願いをある程度かなえてくれるんだと。
しかも願いをかなえる、であり、能力を与える、じゃないところがいい。
この人いい神だ。なんで邪神なんだろう。

「なんであんた邪神なんてやってるのさ?僕からみたら女神なんだけど」
「簡単な話、属性が闇だからじゃ」
「属性?そういえば僕のことも闇に属する者っていってたけど」
「うむ、そなたの属性は闇じゃ。一般的に神と呼ばれているものは大概聖属性。他にも炎、水、氷などいろんな属性の適性を持った奴がいる。神にも、人にもな。熱血、と呼ばれているようなやつは炎。おぬしが闇なのは、自分でなんとなくわかるじゃろ?さて、そろそろ願いは決まったか?」

願い、チートな能力もほしいけど他にもあるから、生活とかのほうから叶えてもらおう。

「虫とか幽霊嫌いをなおして、人や動物の、生き物に分類されるのに好かれるように。虫には好かれたくないから虫はむしろ離れていく感じで。容姿を整えてほしい。童顔でもイケメンでもいいよ。黄金律と、料理スキルEXと幸運EX。それと鍛えれば大概のことができる才能がほしい」
「それだけか?」
「まだあるよ、生前僕によくしてくれていた人たちに幸運を、僕のことを蔑ろにしたやつらに不幸を与えてほしい」

とりあえずこれが僕の望むことだ。一度あいつらは絶望のどん底に沈んでしまえばいいと思ってる。

「………………………………」

邪神幼女は黙ってしまった。流石に無理か?あるいは呆れちゃったか?
そのまま沈黙が流れる。

「……く」

ん?いまなんか反応が。

「アハハハハハハハハ!!」
「うわっ、なんだ!?」
「面白いよ、本当に!そうだね流石だよ、今までそんなこと願う人はいなかった!面白いね、気に入ったよ!」

おーい、状況がさっぱりわからないし口調も変わっちゃってるぞー!
正直幼女の姿で普通の女性みたいな喋り方は違和感があるよー。

「ああ、こんなに笑ったのは久しぶりだよ。そうだね、君の事気に入ったから、こんな姿じゃ失礼だよね。よいしょっと!」

闇の中だが幼女の声と共に一条の光が差し、目を背ける。眩しいし。さっきまで上も下もわからない闇の中で姿だけ見える不思議空間の中でいきなり光が差すもんだからびっくりだよ。
眩しくなくなり、幼女のほうを向くと。

「これが私の本当の姿。人間に見せるのはご法度なんだけど、君の事気に入ったし、なにより私は邪神だから、聖の神の決めた法則(ルール)に従う必要ないしね」

今まであったことのないような美少女がいた。

「え?」

そんな言葉しか出てこない。

「君の事気に入ったし、どんどん願い言っちゃってよ」

いや、え?まって落ち着け、僕。あわてるな、いくら目を取られるような美少女でも、いくらものすごくフレンドリーに話しかけてきても、僕は僕、あわてる必要はない、よし落ち着いてきた。

「いや、もう特にないんだけど」
「……え?」

やばい可愛すぎる。何この子、抱きしめたい!って落ち着け僕!

「あとは任せるよ、一応この場で能力もらって試しておきたいけど」
「まかせる、ね。よし、思いっきりチートにしてあげるからね!ドラクエとFFの魔法と技を覚えさせて、威力は某魔王レベルでいいね、これはメラゾーマではない、メラだ、って憧れだよね。ああ、私邪神で君も邪、闇属性だからこの間やった覚醒のギムレーの姿と覚醒の能力にしよう、スペックは天元突破で数千倍、全部のスキルを覚えさせて常に使用できるようにする。流石に滅殺は10%が限界になっちゃうけど他のやつは任意で使えるから問題はなし、全部の武器取り出せるようにして、邪竜のブレスは人のときは手から出せるようにして、邪竜(ギムレー)の姿にも当然なれるように。あ、竜石使って一度竜になってからじゃないと無理か。まぁデメリットがあるわけでもないしOK。あれ、そっか+系のスキルは一度死なないと使えないけど死んじゃっても1000年眠りにつくだけだし、その間はこっちですごせばすむし、そもそもスペック高すぎるから死ぬこともないだろうけど。む、非戦闘時は力は普通レベルに下げないとまずいか。防御系は下がらないから不意打ちで死ぬこともなし。屍兵も召還できるようにしよう。攻撃対象はこっちで決められてステータスは職業で差があるけどまぁゲームの二、三倍にして、弱い屍兵も召還できるようにして召還はしようとした時魔方陣が現れるようにして強さはイメージで変えられるようにして。あ、このままだと不老不死みたいなもんだから君を好きになった子も君みたいな不老不死になるようにするねっと」

いきなり空中に画面のようなものが現れたかと思ったらなんかものすごいチート仕様。
そしていきなり何の前触れもなく、能力が僕に流れ込んできた。

「ぐ、ぁぁぁぐぎがぎぐっぐごぐぐがああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

痛いいたいイタイ苦しいくるしいクルシイ!!!!
なんで、どうして、痛いよ助けて!

「やばい忘れてた、えっとドラクエとFFの能力を消去!」

と、かなり楽になった。まだ痛いけど耐えられるレベルになった。
その痛みもすぐに消える。

「ごめん、FFとドラクエの魔法と技は君には合わないみたい。それで拒否反応がおきたんだ。ちゃんと確認しておけばよかった。ごめんね」
「いや、苦しかったけど死んでないし大丈夫だよ。僕の事を考えてくれたんだしさ」
「じゃあ他の能力を変わりに追加するよ。正確にはオリジナルのスキルを追加なんだけどね」
「オリジナルのスキル?」
「そ、例えばこんなの」

と言うと、僕の前に画面が現れ、スキル表示がされた。

連撃:同じ武器を二つ持っていた際、攻撃回数が二倍になる

「こんな感じ」
「じゃあ、それよろしく。あと、ほかにいいかな?」
「いいよ、痛い思いさせちゃったみたいだし、私にできることなら何でもするよ」

な、なんでも!?いやいや落ち着けって僕こればかりだな。

「回復だけでいいからテイルズの術技を使いたい。攻撃系も覚えたらややこしくなるから」
「わかった、えっとテイルズシリーズの知っている回復系術技の使用、拒否反応はなしっと」

今度はすんなりと能力が流れ込んできた。

「ありがとう、ところで僕の容姿ってどうなってるの?」

と、音もなく鏡が現れた。

「え?マイユニ?」
「うん。君が使ってるデータのマイユニの姿を使わせてもらったよ」
「まぁいいか。それで修行がしたいんだけど」
「はいはい、わかってるよ、それ、転送!!」
「転送ってうわぁあぁぁぁぁあぁぁ!!」

そのまま意識を失ってしまった。

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ゼロの使い魔 (MF文庫J)
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