今の所目立つ事件も無く、フォワードは訓練を繰り返している。
カズヒロもフォワード達と訓練する中で大分彼女らの特徴をつかめてきた。
そして、レジアスの望んだようなトラブルも無く今の所順調である。
隊舎の談話室で、スバルはメールを書いている。
内容は六課と・・・、
〔 父さんとギン姉へ
お元気ですか?スバルです。私とティアがここ、機動六課に配属されてもう一ヶ月になります。本出動はまだ無く同期の陸上フォワードの4人は朝から晩まで、ず〜と訓練付けしかもまだ一番最初の第一段階です。部隊の戦技教官のなのはさんの訓練はかなり厳しいのですがしっかりついていけばもっともっと強くなれそうな気がします。当分の間は24時間勤務なのでちょくちょく帰る事は出来ないんですが母さんの命日にはお休みを貰って帰ろうと思います。
それじゃあ、またメールします。スバルより。〕
で、送信するスバル。主に身辺の出来事などだ。
「待ちなさいこの杭打ち機!」
「誰が機械か!?」
「アンタ以外いないでしょ!!」
「うおぅ!?マジで撃つなよ!」
「今度こそ闇に沈めてやる!」
すっかり打ち解けたようで、ティアナはカズヒロにアンカーガンを向けて追い掛け回している。
「ええいちょこまかと!エリオ、キャロ!」
「「は、はい!」」
「なんとっ!?」
PSとっても面白い人が加わりました。
魔法戦記リリカルなのはStrikerS〜鉄の巨人と魔法少女達〜
4:ファーストアラート1
『以上か?』
モニターに映るレジアスが問い返してくる。
「はい。アルトアイゼンの運用データとデバイスとしての改善点は送った資料に記載しました。貴方の望むよ
うな種はありません。」
カズヒロは今、レジアスに経過報告中。何で直に地上本部のトップへかと言えばレジアス直々に報告しろと言う指示があり、ソレが機動六課の不祥事を内定しろと言う語外の指示だという事もカズヒロは知っている。
『・・・分かった。』
「ああ、一つよろしいですか?中将」
『何だ?』
「利用しているつもりで利用されないようにご注意ください?」
『ふんっ!』
最後に忠告したカズヒロはモニターが消えた時のレジアスはドキッとしただろう、表情に出さなくとも犯罪者とつながりあるという事を公には出来ないだろうしな。
「さて、今日は一日訓練日。行くか」
空が明るくなり始め、誰にでもなく呟いて歩を進める。
「えっと、ティアナ。」
「何よ?」
「一つ質問があるんだが、どうしてこうもカバー範囲が広い!?」
と食って掛かる、何せ理論上フロントからセンターガードまでカバーできる武装を持っているアルトと言えど使い手次第。
確かにカズヒロはフォワードチーム一立ち回りが利くとは言え、
「その馬力とスバル以上の突進力を活かしなさいよ。」
「あのな、相手が悪い。なのはさんに効くと思うか?」
「盾くらいにはなるでしょ?食らったら極刑だからね?」
「盾の意味ないんじゃないか?」
今はシュートリベーションの最中、なのはの攻撃を五分間かわし切るか一撃食らわせて終了と言うなんとも過
酷な無理ゲー。
そこで作戦会議、ティアナは模擬戦同様のカバー範囲をカズヒロに要求して、カズヒロが反発したと言う僅か5秒のやり取り。
『ティア〜!援護〜〜!!』
ウイングロードを駆け抜けるスバルは先手を取ってなのはに仕掛けたまでは良いが防がれ、ハンデとして二発
の魔力弾の片割れに追われている。
何でも壊したらまた作るからね、との事。ならばカズヒロの取る行動は決まっている。
ドカァン!
「スバル、無事だな?」
すれ違い様にカズヒロは確認してスラスターを吹かす。先の魔力弾は破壊した、となればなのはが新たに放つ魔力弾を警戒して仕掛けなくてはならない。
『ボス!』
「分かって来たな、アルト。」
ならば、放てなくすれば良い。
「この距離でクレイモアッ!」
スバルを援護した矢先になのはに向かって一気に加速、数秒足らずの魔力弾生成中に肉薄すると言う暴挙に出たのだ。
「「なっ!」」
コレには隠れていたティアナもびっくり、師弟揃って驚きの声を上げる。
『プロテクション』
それでも虚を突いたとはいえレイジングハートが防ぐ。
「驚いたけど、それじゃやり直しだよ」
そうだ、撃たせなかったがなのはが防ぎながら撃てないわけは無い。
「今だ!」
そう、すべては布石。どの道スバルかカズヒロがこの役をやるしかないのだ。
「えっ・・・」
なのはがクレイモアの弾幕を防ぎきった刹那、脇からエリオが矢のごとく突き刺さった。
結論から言おう、一撃は通った。
エリオの特攻精神は見習うものがある。何せ恐れも無くブースター加速でストラーダごと体当たりなんて早々出来ないだろう。
「あの、声に出てますよ。」
「え、ああ。褒めてるんだぞ?」
「あんまり嬉しくないです」
「特攻は斉藤さんの専売特許でしょ」
エリオは引きつった笑顔、キャロも同じく。そこでティアナ、誰の専売特許だ誰の。
「皆チーム戦に慣れてきたね。」
「「「「ありがとうございます!」」」」
「ティアナの指揮も筋が通ってきたよ。指揮官訓練、受けてみる?」
ティアナは謙遜しているがカズヒロからすれば皆才能の塊、自分はアルトあってのだ。羨ましいね。
「カズ君も凄いよ。もう前線で戦えるんじゃないかな?」
「そんな機会がないほうが良い、平和が一番だ」
「あはは、そうだね。」
実際、そうは行かないんだけどね。
フリードが忙しなくきょろきょろとしている。そう言えば何処と無く焦げ臭い。
「そう言えば」
「焦げ臭いような・・・」
エリオとキャロがそう言うとタイミングよく黒煙が登り始める。
「あっ、スバル。アンタのローラー!」
「えっ?ああ!あちゃ〜、無茶させちゃった」
ティアナが気づいてスバルが指摘されて履いていたローラーを抱き上げる。
「ショートかな?後でメンテスタッフに見てもらおう。」
「はい・・・」
やっぱり落ち込み気味のスバル。
「ティアナのほうも厳しい?」
「あ、はい。騙しだましです」
思い出した、スバルとティアナは自分でデバイスを組んだと聞いたことがある。どうやら今までの無茶がココに来て祟ったと言うところか。
「ん〜皆慣れて来たし、そろそろ実戦用デバイスに切り替えかなぁ」
なのはがそう言った。
以前のあの子達と言うデバイスだろう、シャーリーがアルトにも太刀打ちできる子達にしたいからとデータを取っていた。
「実戦用・・・」
「デバイスですか?」
「じゃあ一旦寮でシャワーを使ってからロビーに集合しようか」
「「「「はい!」」」」
「了解」
流石は同期だろうか、フォワード一同返事がしっかりシンクロしている。
カズヒロはアルトのモニターに出た出力パラメータを確認し、更にはそこから設定を弄りだす、弄りながら歩を進めるのだが。
「あ、あの車って・・・って斉藤さん!?」
車に気づかず歩き続けるカズヒロは見事にぶつかった。と言っても撥ねられたわけじゃない、車は減速していたし、止まるか止まらないかってくらいだった。
「駄目だよ〜モニター見ながら歩いたら」
『問題ありません、ボスは頑丈です』
「アルト、これでも俺は人間だからな?」
なのはの注意にアルトがずれた返答、そこで笑いが起きる。
車の窓と屋根が消えて、中にはフェイトとはやての二人が搭乗していた。
キャロは「フェイトさん、八神部隊長!」と驚いたような声をを上げていた。
「すご〜い!これって、フェイト隊長の車だったんですか?」
スバルが目をキラキラさせながら質問するとフェイトは丁寧に返す。
「うん。地上での移動手段なんだ」
「みんな、訓練はどないや?」
「え〜と……あははぁ……」
そんなはやての問いにスバルは苦笑。
「良い感じだよ。」
「そっか、てっきりカズ君がワンマンプレーが過ぎるんちゃうかと思ってたんやけどな」
「俺はどんだけお荷物なんですか?部隊長」
なのはが返答して、はやてが冗談交じりに言うとカズヒロはがっくりと項垂れた。
「冗談や冗談♪気にせんといて。」
「まぁ、良いですが」
「エリオ、キャロごめんね。私は二人の隊長なのに、あんまり訓練見てあげられなくて」
「あ、いえそんな」
「大丈夫です」
何だろうか、フェイトがエリキャロをまるで自分の子供のように心配しているように見える。気のせいか?
所代わり、女子寮・シャワー室。
個室で区切られながらもスバル達は楽しげな会話をしている。
「ねぇ、ティア。昨日廊下で何があったの?」
そう、話題は昨日の晩のこと。談話室で繰り広げられた銃撃戦(一方的な)の原因を問われているのだ。
「ん、ちょっと…ね」
話してくれそうも無いと悟ったスバルがキャロに聞く。
「ねぇ、何があったの?」
「実は斉藤さんとティアさんがぶつかって」
「ふむふむ」
「斉藤さんはティアさんをかばって下敷きになってくれたんですけど、その時にティアさんの胸触っちゃったらしんです」
「ふぇ〜意外と大胆なことするんだねぇカズってさ」
この後もキャっきゃとガールズトークに花は咲く。
男性陣と一匹はと言えば、階段でガールズ待ち。
怪談に腰掛けて頬杖を着いているエリオと壁にもたれて腕を組んでいるカズヒロである。
「まだかなぁ〜」
「クル〜」
「仕方ない、女子の風呂と買い物は長い」
フリードはと言えばカズヒロの頭の上が特等席、重くて仕方ない。